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英語教室の体験レッスン 20分の小旅行

 今年も無事体験レッスンシーズンが終わった。
私の英語教室では、体験はマンツーマンか友達同士と出来る限りの少人数で行うことにしている。それは、私自身がただ英語の生徒が増えたら良いとは思っていないことが理由。体験レッスンの中でお子さんの様子を拝見させてもらいながらおうちの方とお話をして、今後このお子さんを囲むチームとして一緒にやっていけるかどうかを一緒に見極めたいと思っているからだ。

たかが英語の体験、されど…

 英語の体験レッスンに見えたということは、英語をしたがっているかさせたがっている。そして子どももめちゃくちゃ嫌がってはいない。それがわかる。その上で、体験に来たお子さんには最初に日本語で雑談をする。

「今日は○○ちゃんが英語習いたい!って言って来たのかな?それともお母さん / お父さんが行こう!って言った?」

 ほとんどの子どもは笑いながらおうちの方を見る。私はその様子がとっても好きだ。正直、私はどちらの答えが正解だとも思っていない。ただその時に伝えるのが「英語知ってたら、これから○○ちゃんがもっと楽しくなるだろうな、って思って力になってくれるおうちの方に感謝だね」ということ。この言葉で私は「英語はただの小手先の技術じゃない。人生を豊かにするツールなんですよ」ということを子どもにだけでなくおうちの方にもやんわりと伝える。

 学校で英語を習い始めてから好きになる子もいる。でもほとんどの子が学校で英語への苦手意識を持つ。残念ながら幼い頃から英語を習っていて英語は楽しいと思っている子にも、それは降りかかる。
 でも楽しく英語に触れた経験はそこで力を発揮する。それは英語に苦手意識を感じても「英語は敵だ」と思えなくなるところ。あの時みんなで笑って遊んだ時にも「英語」はそこにいた。その思い出が英語を自分の敵にはしない。私はその「英語は友達で居続けてくれる」という根っこを育てるパートを受け持っている。

 学校の先生でも上手に楽しく英語の世界を開いている方はたくさんいる。ただそこに「テスト」があり、そのテストの点数に一喜一憂する大人がいる限り、英語は「自分をジャッジするもの」という側面も持ち始めるから厄介だ。学校以前に英語を知っている子の利点は、「英語は楽しいもの、英語は伝え合うもの」を知っている。それに尽きる。

英語の力

 体験レッスンである程度「色」で一緒に遊んだら、じゃ、クイズね。お母さん/お父さんの好きな色はなんでしょう。それを英語で尋ねる。不思議とその日に英語の体験に初めて来た子でもそこまでくると英語だけで尋ねても「うんとね...」と考え出す。
そして色を言ってみる。英語でも良いし、忘れちゃったらカードを指差してまた一緒に英語で言う。大好きなおうちの方の好きな色を当てるなんて、楽しい挑戦だからなんとか英語で言おうとしてくれる。私の仕事はこの「使いたい」を引き出すこと。

 でも目的はそれだけじゃない。ここから何が見えるかというと、おうちの方が自分の話をどれくらいしているかということ。間違っても「子どもがどのくらい親のことを見ているか」なんて見ていない。子どもによって注目する部分は違うし、自分のことで精一杯の子だって多い。
大事なのはおうちの方が「自分」を語っているか。それで合格、不合格、ではなくて、おうちの方が自分のことをお子さんにもっと伝えるきっかけ作りができたらいいな、と思っている。ただそれだけ。

 子どもが親の影響を受けたり兄弟の影響を受けたりする話はよく聞く。ある程度の年齢になって「うちの子何にも関心がない」と嘆くおうちの方もおられるけれど、もしかしたらおうちの方の趣味や好みって、お子さんにとってはとても良い選択材料になり得るんじゃないかって思う。視野を広げるって言ってもそれは遠い世界の国々のことだけじゃない。すぐそばの大好きな人の見る世界。その人が好きなこと、そこからも世界は広がる。

 英語は受け止め伝える言語だから、そのベース作りを一緒に楽しんで欲しいと思っている。おうちの方々が自分のことを語ることが、お子さんが自分を語ることに繋がっていくから。

 日本の教育では受け取る学びが多く、自分の考えや意見を本当の意味で述べる場がなかなかない。(ある程度形式や雛形があるイメージ)ルールや決まりも多く、自分で決めることや判断することからも遠ざかっている。そこから「自分が思ったことを英語で」なんて超えるハードルが多過ぎる
 そんな環境で育ってきた大人の私たちだから、自分はさて置き「自分の思ったことを」という作業を子どもに託すのが精一杯になっている。でも、子どもが英語を始めるのをきっかけに、おうちの方自身も自分自身に目を向けて自分を語る楽しさをまずは味わって欲しい。私が考える「英語の醍醐味」はそこだから。そして世界中の英語学習者の中でも英語を通して、これほどまでに見える世界が変わる体験を出来るのは、私たちの特権でもあるから。
是非楽しんでいただきたい。

 親子一緒に英語を通して見える世界を楽しみましょう、というのが私の体験レッスン。20分の自分旅行。


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