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オンライン授業で見える問題とその解決

 新型コロナウイルスの影響で学校の学びが止まった。私は自分の英語教室をどうするか、選択を迫られ安全を取った。教室がクラスターになっては学びどころではない。オンライン授業にします、と数日で決めて各家庭に連絡。月曜日からのレッスンの為に週末は各家庭とのテストに明け暮れた。
 そうして始まったオンライン授業から2ヶ月。英語教室でお月謝をいただいている以上、クオリティを下げてはいけない。むしろオンラインで触れ合いが制限される上、休校や自粛で不安や淋しさを抱える子どもたちに、いつもの明るさや雰囲気、触れ合いを感じさせたいととにかく必死だった。
 
 2ヶ月経ってお互い慣れてきて。オンラインを使った他のイベントなども経て今、世の中は自粛の長期化を見据えてオンライン授業が始まっている。私と同様に数ヶ月前からオンラインを始めている方々、日頃オンライン授業をされている方々のレッスンを見て感じたことを書いてみたい。

観客にさせない授業

 私の場合は英会話のレッスンなので、常に生徒とコール&レスポンスの感じ。レッスンの最初にOKサインをそれぞれに考えてもらう。手で小さな丸を作る子もいれば、両手で大きなマルを作る子もいる。指ハートやサムズアップ(親指だけを上げる仕草)も。私が話す中でちゃんと届いているか確認をする時には、そのサインを見せてもらうことにしている。
 オンラインの他の公開レッスンなどを見ていると「聞こえたら手を振って」と言われている方もいて、相互のやりとりを大切にしていることがわかる。特に人数が多いレッスンでは、生徒が観客やテレビの視聴者になってしまわない様に、先生方が声をかけて年齢が上の生徒には「〜はどうしてだと思う?」とテキストを打たせる場面も見た。それを見て先生が答える。テキストが打てない年齢の生徒には、先程のジェスチャーが有効だろう。
 双方向の授業で自分もそこに参加している実感があった方が、それぞれの子どもたちに届くと思う。
 
 ただ例外は、進学塾や予備校で生徒が「みんながそれなりにやる気」であったり、大人の学びなど元々自分が進んで学ぶためにそこにいる場合なら、一方的なセミナー形式でも十分だ。目的や対象によってオンラインも方法を変えるべきだろう。

知識詰め込み型ではなく考えさせるきっかけに

 オンラインは視聴者と演者になりがちだが、視聴者にも出来ることがある。投げかけられた疑問を自分の頭の中で膨らませることだ。授業は全て答えを言ってしまうのではなく、クイズの様に少し間を置いて考えさせるなどの工夫は必要だろう。
 画像教材や映像教材は必須ではないが、答えそのものを見せてしまう、というよりもそこから何かを探したり、それにまつわる問いのヒントを見つけたり、という材料にするとただの資料で終わらないものになる。

オンラインの利点

 オンラインの利点は、先生との距離を近く感じること。先生の顔はいつもより近くに見えるし、英語の発音練習などでは口元がクリアに見えるので、かなり有効。小さなカードも目の前に大きく映し出されるので、教室で後ろの方の席にいるよりも見え方は良いだろう。
 後は前述の心の距離だ。自分もその授業の中にいる、という感じを得られたら手元で自分だけ違うことをすることも減るだろう。一定数そういう生徒もいるだろうが、それでも相手が自分を見ているという安心感は対面レッスンでもオンラインでも同じ、必要不可欠なもの。

自分の出来ることで対応

 私はオンラインは「いつも出来ることが出来ると思わないこと」と人に伝えている。いつも出来ていることが、画面一つ隔てるとスムーズに出来なくなって指導者側がパニックを起こしたりイライラしたりしないためだ。
でも、かと言って突然全く新しいことにチャレンジするのは、更にストレスになる。指導者は画面一つ隔てる分、より学習者に安心を届けることを意識しなければならない。自分がイライラしたり取り乱したりする材料を出来るだけ減らしていこう。「いつも出来てるのに、なぜ?」とならない。「これはオンラインだから、仕方ない。」とある程度諦める。その代わり、機器を使う時に避けて通れない「機材の不具合」にはいつものアナログで対応するのだ。私の場合は、手元に100円ショップで売ってある小さなホワイトボードを3-4個とマーカー、消すものを置いている。それに自作で表裏にYESとNOを大きく書いた小道具を用意して、子どもたちに何をすべきかを明確にするために工夫をしている。機材トラブルも怖がらずに済む。かえって、自分で文字を書いて見せたり、いつも使っている小道具を使うことで自分がリラックス出来るものだ。

 オンライン授業は怖いこと。でも飛び込むのは指導者だけじゃない。子どもたちや子どもたちを飛び込ませる親にとっても全員にとってのチャレンジ。先生が出来ることは、そんな子どもたちや保護者に安心感を届けること。効率的に学びを届けることや、いかに映像や画像を使いこなすか技術的なことばかりに目が行きがちだが、今はただのオンラインではない。国民全員が不安の中にいる中、画面に映るいつもと変わらない先生の笑顔は子どもたちや各家庭の光となり得るのだ。今日も笑顔で挑もう。間違ったら謝ればいい。笑いに変えたらいい。安心感を共有する時間の上に、再び学びが訪れるのだ。

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