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英語リスニング力UP★音を認識する仕組みがわかれば、効果的な学習法もわかる!

リスニングがなかなか伸びなくて、困っていませんか?

いろんな教材を試しているのに。。。
何時間も英語を聞いているのに。。。
なかなか聞こえるようにならない!!!

そんな人は、「聞こえない原因」を知ることから始めるといいですよ!原因がわからずにやみくもに勉強しても、時間の無駄になりがちですからね。

そこで今回の記事では、脳が音を認識する仕組みについて説明していきます。

脳の働きを知ることで英語が聞こえない原因を知り、効果的な学習を行いましょう!

<目次>
1. 英語が聞こえないという状況
2. 「音」を認識するのは耳ではなく脳の働き
3. 脳が英語を認識できない理由
4. すべての音は「リズム」として認識されている
5. 英語を「意味ある音」として認識するために

1.英語が聞こえないという状況

リスニング学習の最初の段階では、人や都市の名前など、はっきりと発音される単語しか聞き取れないことが多いです。

「あっ、今『ワシントン』って聞こえた」
「"apple"って聞こえた」。。。。という感じですね。

他の部分に関しては、単語と単語の切れ目がわからずモヤモヤと聞こえたり、聞き取れたと思った単語が実際の単語とは全く違っていたり(boxがbackに聞こえてしまうなど)、aやthe、前置詞、代名詞などの弱く発音される単語が聞こえなかったり、RとLを含む単語が認識できなかったり、細かくあげるといろんな現象があります。

でも、リスニングが得意な人にはどれもきちんと聞こえるのです。なので、聞こえない人がどうして聞こえないのかがわからなかったりします^^;

聞こえないのは、なぜなのか。

これは、脳の働きを考えてみるとよくわかります。

2. 「音」を認識するのは耳ではなく脳の働き

私たちは、日々いろんな音を耳でとらえ、脳で認識しています。ポイントとなるのは、「認識しているのは耳ではなく脳である」ということ。

私自身、長年リスニングが苦手だったので「耳が悪いのかな?」なんて思っていましたが、ある特定の聴覚障害を持つ人でない限り、音そのものは誰にでも聞こえるはずですよね^^;

実際、聴覚神経が識別できる音の範囲は、周波数16~20,000Hz、音の大きさは1~120dB で、音の大きさの差は0.5%と非常に敏感であることがわかっています。

「英語が聞こえない」というのは、脳が音を認識できていないということであって、脳の働きの問題なんですね。

耳自体は、音を情報収集する装置のようなものです。その耳がとらえた音は、脳のさまざまな場所に運ばれ、最終的には前頭葉で「意味を持った音(もしくは言葉)」として認識されます。

さらに言えば、音には大きさ・間隔・高低・方向・遠近など、さまざまな情報が含まれています。音は、こういった要素に分解された上で電気信号に変換され、各神経を通り、分解された情報処理を担当する脳の部分に伝達されていきます。

科学的に考えれば、英語が聞こえないのは、この「流れと処理がうまくやれていない」ということだと言えます。

3. 脳が英語を認識できない理由

3-1.脳が英語を言語として認識していない→スルーされる

英語に慣れていない段階では、脳は英語を言語として認識できていません。だから、特に何も考えずに英語を聞く場合、脳は英語の音をスルーしてしまいます。

脳は生存に関係のない情報をどんどん淘汰していきます。テスト前の暗記を考えればよくわかりますが、生きていくのに必要のない、使わない情報はどんどん忘れていきますよね。

それと同じで、脳は「英語の音は生きていく上で重要な情報ではない」とみなし、無意味な音として処理してしまうのだと思います。

3-2.日本語にない要素は認識できない

もちろん、英語を勉強するときは、英語を言語として認識しようと努めながら英語を聞くはずです。日本語に慣れ親しんだ人(日本人)の場合、脳は日本語のルールを用いて英語を聞こうとします。

ここで重要になるのが、言語に含まれる要素です。

どの言語にも、音をとらえ意味を理解する上で重要な要素というものがあります。たとえば、音節、音の高低、子音・母音といった音素がそれです。

日本語にある要素で英語にもある要素であれば、脳は認識できますが、日本語に含まれない要素に関しては、無視されてしまいます。これが厄介な問題となります。

この例としてわかりやすいのはRとLの問題です。RとLは日本語にない発音なので、判別しにくいという問題です。

でも、それ以上に重要なのに無視されてしまっている要素がもっとあります。

英語にあって日本語にない要素の代表例。それは、息の音と強弱です。

実際、英語は発声でかなり息の違いを使う言語です。

たとえば、fは唇を閉じて息を漏らすように発音しますし、hは「ハッ」と息を吐くように発音するのが正しいですが、日本語にはそうした発音方法がないため、できている人はかなり少ないです。

また、日本語と違って英語は息継ぎをする場所が限られているので、正しく音読をすると息が苦しくなります。でも、音読をしていて息が苦しくなったことがあるという人はあまりいないと思います。

ですが、息の音の違いを認識できるようにすることは大事です。というのも、これがわかっていれば、話し手がどこで意味の区切りをつけているのかがわかりますし、発音変化が起きる理由がわかるようになるからです。

また、日本人は英語の強弱を認識するのも苦手です。

「強い」・「弱い」の2パターンくらいであればわかりますが、ネイティブはもっと細かく強弱をとらえており、5段階くらいの幅は認識しているようです。私自身も、ここまで細かな強弱はとらえることはできません。

私たちは実際、強弱といっても、その判断は音の高低で判断していることが多いように思います。

日本語には強弱はあまりないですが、音の高低はあるので、高低で判断したほうがわかりやすいからです。強いところは同時に音程が高くなる場合が多いです。実際、「あ~~」と声を出していて、出す息をより強くすると音が高くなります。日本語では「音が高い」と「音が強い」は、ほぼ同じと認識されているのです。

日本語は、強さが一定のリズムを持つ言語であり、強弱という要素があまりありません。結果として、英語の弱く発音されるところがほとんど聞こえてこないという状況になってしまうのです。

このように、母語である日本語にない要素というのは、指摘されないとなかなか気がつきません。大きな盲点になってしまい、それがリスニングの障害になるのです。

4.すべての音は最初に「リズム」として認識されている


もうひとつ、とても大事なことがあります。

それは、耳でとらえた音はすべて、まず脳幹でリズムとして処理・認識されるということです。

下の図を見るとわかるのですが、耳から入ってきた音情報は最初に脳幹を通ります。この脳幹の役割が、音のリズムを処理し認識することなのです。

(注)脳と身体(内臓や筋肉など)を繋ぐ脳神経は12対あるが多くを省略している。 カラー図解 神経の解剖と生理 (メディカル・サイエンス・インターナショナル 大石実訳)をもとに加工編集

なぜ、何よりも先にリズムが認識されるのでしょうか。

もし地鳴りの「ゴゴゴ・・・」という音を聞いたら、本能的に恐怖を感じますよね。また、野原で「カサカサ・・・」という音を聞けば、何かが動いていると本能的にわかります。この「ゴゴゴ・・・」も「カサカサ・・・」もリズム中心の音です。

人間が生きていく上で一番大切なことは、目の前の危機を察知することです。そして、その重要な情報源となる音の本質をとらえるのに一番重要なことが、リズムだからだと考えられます。

リズムは本能的な脳の部分で処理され、音の正体を認識するよりも早く情動(※)に作用します。恐怖を感じる音を聞いたら、とっさに身をすくめるなど本能的な行動をとった後、わずかに時間差をおいて音の発生原因を考えようとするはずです。
(※)情動はいわゆる感情を「科学の分野」で表現したものです。感情と読み替えても問題はありません。

さて、もう一度図を見てください。

耳でとらえられた音はさまざまな要素に分解されます。それが脳幹でリズムとして処理された後、要素ごとにそれぞれ担当の神経を通り、脳の各箇所に伝達されます。そこで視覚など他の感覚器官からの情報と合わせて処理されます。最後に前頭葉で統合され、認識・理解に至ります。

この流れを英語のリスニングに応用しましょう。そして足りない部分を補い、脳を強化する練習をすればよいのです。

5.英語を「意味ある音」として認識するために

さっきの図に従えば、英語のリスニング学習においても、リズムを最初に認識しているということになります。

日本語しか知らない私たちの脳は、日本語のリズムで英語を聞こうとします。英語のリズムと日本語のリズムはかなりちがいますから、この時点で多くの音情報を逃してしまいます。わかりやすく言えば、最初に通過する脳幹ですでにフィルターがかかってしまっているのです。

まずは、英語のリズムを知り、脳に認識させることが大事です。そうすることで、英語の音情報を漏らさず次の神経へと渡せる修飾された音情報をつくることができるのです。

次に大事なのは、日本語にない英語の音の要素(先述した息の強さや強弱など)を徹底して学習することです。

図を見ればわかるとおり、脳幹を通った音情報は次の処理を行うための「重みづけと選択」がされ、それぞれの神経から担当の脳の部分へと伝達されていきます。この「重みづけと選択」という段階で、脳は重要な要素と重要でない要素とに取捨選択しているのです。ここで、日本語にない英語にとって重要な音の要素が排除されてしまうのではないかと推測できます。

重要なのは、脳は学習することで「回路を強化することができるし、それぞれの脳の認識力を高めていくことができる」とうことです。

ただやみくもにリスニング学習をするのではなく、この回路の流れに沿った練習を行うことで、効率的に、英語をスルーせず意味ある言葉として理解することができるようになるはずです。

今回の記事を読んで、聴覚の科学に触れ、リズムが言語を認識する際とても重要だということがわかったと思います。

では、どう学習すればリズム認識力を鍛えることができるのか?
知りたい方はリズムに関する他の記事も読んでくださいね!


まとめ
音が意味ある言葉として脳で理解される流れを知ろう
脳の働きにしたがってリスニング学習を行おう
→英語のリズムを学ぶことが大事
→英語にあって日本語にない音の要素を学ぶことが大事


聴覚プロセスについての参考図書

1 カラー図解 神経の解剖と生理
(メディカル・サイエンス・インターナショナル 大石実訳)

2 音を追究する (放送大学教材)
(放送大学教育振興会 大橋理枝 佐藤仁美 著)


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