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中長期方針には意外な顔ぶれ ?決算から読み解く「エン・ジャパン社」の戦略。HRのIR

元リクのなまリクです。HR領域のIRについて書いています。今回はエン・ジャパン社のIR分析です。

※この回は、エン・ジャパン社「2022年3月期 第2四半期決算」をもとに解説しています。

気になる2Q業績。堅調に推移か?

エン・ジャパン社。「エン転職」を中心に人材紹介、海外事業そしてHRテック事業を手掛けるHR大手企業。HR領域を中心に様々な事業を展開していますが、昨期はコロナ禍により大きな事業影響を受けました。

昨期の2021年3月期は減収減益。人材業界他社に漏れずコロナ禍によりかなり厳しい状況でYoYで売上およそ△24%、営業利益でおよそ△40%落としています。一方で、2022年3月期通期予想は、売上510億、営業利益は100億の増収増益。YoYでそれぞれ+19%、+29%の回復を見込んでいます。ビフォーコロナの2019年度比ではおよそ△90%と戻しきるまでには行かないという予測です。

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エン・ジャパン社 2022年3月期 第1四半期 決算資料より。なまリク作成。

さて今回の2Q(2021年7月〜9月)決算ですが、YoYで売上およそ+21%、営業利益でおよそ+62%と堅調な推移で着地しています。

来期に向けた先行投資を行うも、売上の増加により利益は大幅に回復。正社員の採用需要は引き続き堅調に回復を続け、特にハイクラス領域はコロナ前を超える需要・売上水準という市況です。

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セグメント別に見ると、看板のエン転職の「国内求人サイト」がYoYで売上およそ+34%と売上面においては2Q決算を牽引。尚、「HR-Tech 」の成長率+239%はセグメント変更の影響を受けていて参考にはなりません。

注目の「engage」の成長は?

さて、注目の「engage」の成長ですが、2Q累計売上は8億、営業利益もわずかながらですが黒字転換し、総利用社数37万社と一見堅調に推移しているようには見えます。

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一方で、黒字化とは言え非連続的成長の兆しは今回の決算からは見られません。2021年3月に採用HP制作SaaSの「engage」で作成した求人を集約したサイト「エンゲージ」をロンチさせました(ややこしいですが、無料の「engage」をタネとした、アグリゲーション求人サイト「エンゲージ」をあらたにロンチさせた。詳細は以下記事で。)が、今回の決算では何も言及されていません。

また、6月には最大手リクルートが「Airワーク採用管理」という競合プロダクトをロンチしています。

採用HP制作SaaS・ATSの趨勢はいかに?今後も注目ポイントです。

中長期方針は「engage」に加え意外な顔ぶれ?

今回の決算の興味深い点は、「今後の方針」として中長期方針に触れているところです。

そこでは「engage」への投資強化に加え、意外なことに「ミドルの転職・AMBI」の投資強化が名言されています。また、現在主力の「エン転職」には触れられていません.... ジョブボード事業が衰退期に入ったことを感じられますね....

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いずれにしても、「engage」には6月には最大手リクルートが「Airワーク採用管理」という競合プロダクトをロンチしており、「ミドルの転職・AMBI」にビズリーチという圧倒的な先行者に加え、11月には最大手リクルートが「リクルートダイレクトスカウト」という競合プロダクトをロンチしています。

この競合の中で、エン・ジャパンはどのような存在感を出していくのでしょうか?

今回の記事はお楽しみいただけましたでしょうか。また次回の記事でお会いしましょう。なまリクでした🐶🐶🐶


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