神保町で自分とデート。古本の街でマンガ漬け。カレーに珈琲、ときどきタイヤキ。
私は私とデートする。
これは、究極に贅沢な休日の過ごし方だと思う。
大好きな人に優しくするように、自分のことを大切にする。
簡単なようで、実は難しいこと。
これまでの人生、自分に尽くすことは全くできなかった私だけど、最近は、自分で自分の機嫌をとるために、さまざまな方法を模索している。
緊急事態宣言が解除され、少しずつピリついた街が穏やかさを取り戻してきた今日このごろ。
私は、久々に東京の街に出かけることにした。
行き先は、神保町。
神保町で、漫画に浸る。
神保町で、自分と向き合う。
これが、今回のデートプラン。
私と「私」の旅が、始まる。
美容院を制するものは、この街を制す。
まずは、とびきりの美容院探しから。
その土地で一番輝いている美容院に行くことで、これから始まるワクワクを加速させることができる。
運が良ければ周辺観光のリアルな情報を教えてもらえるかもしれないし。
「感度が高い人」から仕入れる情報には、間違いがないと思う。
その日は、1日5組限定の、髪質改善に特化したサロンを訪れた。
カットとトリートメントで3時間。しかも、私の髪に合う薬剤を完全オーダーメイドで調合してくれるというから、驚き。
美髪のための情報を、これでもか、というくらい伝えてくれる素敵な場所だった。
私のなかに眠っていた「美意識」が目を覚ます音がした。
「マンガ漬け」が叶う場所
正直、マンガが好きかどうかと尋ねられたら、返答に困る程度には、マンガは私にとって「好きでも嫌いでもない存在」だ。
ただ、振り返ると、人生で大切なことは「マンガ」が教えてくれていたように思う。
好きとか嫌いとか以前に、マンガは完全に私の中に溶け込んでいた。
幼い頃は、りぼんやちゃおをよく読んでいた。
「グッドモーニングコール」という少女漫画が、好きだった。
「恋愛のいろは」は全部、少女マンガが教えてくれた。
弟に借りた「コロコロコミック」を見ることも、しばしば。「でんじゃらすじーさん」とか、「ケシカスくん」とかが、なんとなくツボだった。
学園ものとか、スポーツ系とかも、大好き。
男の人の頭の中をのぞけているような気がして、面白かった。小さい頃から、「男同士の友情っていいな」とずっと思っていた。
少女マンガのようなドロドロした部分がなく、その代わりに描かれるアツい絆で結ばれた成長ストーリー。
昔から、男同士の人間関係に憧れめいたものがあったのかもしれない。
話が脱線した。本題に戻す。
神保町に「マンガアートホテル」というホテルがある。
マンガアートホテル。漫泊。ここが本日のお宿。
チェックインはイマドキ、非接触型。
テレビ電話での本人確認はあるものの、基本的に全てタブレットでの操作でチェックインが完了する。
誰にも会わずに、ホテルに入る。
カプセルホテルが初体験の私。
最初は「天井、低い??」「隣の人の声、聞こえそう」「眠れるかな?」
不安ばかりだった。
不安は、15分で消えた。
面白い。
とにかく、チョイスされているマンガたちが、面白すぎる。
それぞれのPOPには、かなりマニアックな視点での感想が書かれている。
真のマンガ好きが選んだであろう、とってもコアなマンガたち。
これは、ハマる。
そう確信した私は、自分の興味のあるジャンル(健康、恋愛、ライフスタイル、食事)に関連しそうなマンガたちを手当たり次第、パラパラとめくった。
そして、これだ!と決めたマンガを手に、個室へ。
誰にも邪魔されない、私だけの空間。
何を読んでも、自由。
買うのが恥ずかしいようなマンガだって、読めちゃう。
(「あなたがしてくれなくても」という作品。買うのが少し恥ずかしくて、なかなか読めていなかったから、ここぞとばかりに読んでみる。男性目線、女性目線が両方あるため、共感と発見の連続。)
思いっきり泣いたっていい。
(「式の前日」という作品は本当ずるい。初めてできた彼が私に買ってくれた思い入れのある作品。冒頭5ページ。既に涙が止まらない。)
笑って、泣いて、お腹がすいた。
夜の神保町に繰り出そう。
なぜか、たいやき。なぜか、クリーム味。
お腹がすいた。
飲食店は、時短営業が解除されたことで、どこもかしこも賑わっている。
チキンな私は、なかなかおしゃれなお店に足を踏み入れることができず。
(バーの目の前まで来て、引き返す。)
どうしようかと思っていたら、こんなものを見つけた。
「神田達磨」
TAIYAKI!!!!!
絶対美味しいやつ。わかんないけど、溢れ出る「老舗」オーラ。よし。
「ひとつください。えっと…ク、クリームで!」
いや、あんこでしょ。王道いこうぜ。そして、夕飯はどうした???
自分で自分にツッコミをいれながらも、豪快に頭からパクリ。
外側は、パリパリパリッパリ。
中は、とろとろとろーり。
これは病みつきになる味。
食前の、タイヤキも、悪くない。
たまにはクリームも、悪くない。
カレーの街、神保町。
本を片手に、スプーンだけで食べることのできるメニュー。
それが、カレー。
学生が多かった神保町では、いつしかカレーは、学生たちのソウルフードになっていたとかいないとか。
カレーって、そもそも自分で作っても美味しいし、レトルトでも美味しいし、スキー場で食べるのとかはもう、めちゃくちゃ美味しいし。
それなのに、「美味しいカレー」って一体なに!!!
ただでさえ美味しいものがもっと美味しくなるとか、それはもう反則だ!!!
(ライターらしからぬ文章力ですみません。美味しいって7回くらい言ってる。あえて、あえて。笑)
ということで、たまたま、ホテル近くで「ビビッと」来たカレー屋さんに入ってみた。
Bondy…
試しに食べログを開いてみると、かなりの名店と発覚。
調べずに入った店が名店だと、自分のセンスを肯定されたみたいで、ちょっと、いやかなり嬉しい。
「ビーフカレー」が絶品との情報を仕入れ、オーダー。1500円なり。
サイドには、福神漬けやレーズン(大好物)、らっきょうもあるという、至れり尽くせりのサービス。
驚いたのは、大きなじゃがいもがバターとともにをお通し」かのごとく運ばれてきたこと。
「そのままでも、カレーに入れてもok」とのこと。
終始ニヤニヤしながら、完食。
感想は言わずもなが。
ひとことだけ。
こんなに美味しいビーフカレーを、私は知らない。
神保町で、ハワイを感じる。
プチ旅行の時は、あえて化粧品などの日用品を持っていかず、現地でいいと思ったものを試してみることも多い私。
気分がノッているときには、「ここ!」というおしゃれな店を見つけるスキルが飛躍的にupする傾向にあるからだ。
カレーで膨れたお腹。お次に訪れたのは、おしゃれなハワイのセレクトショップ「LAULE'A」
店自体に一目惚れ。
店主の方のセレクトする商品が、どれもおしゃれで、繊細で、とにかく最高なのである。
初めてのカプセルホテルを堪能するため、よく眠れるようにと、アロマバームを購入した。
爽やかに、リラックスできる香り。
香りは、旅の記憶をより濃くさせてくれると思う。
これを指先に塗り込んで、今日は休むとしよう。
これぞ、漫画滞在。
あとは寝るだけ。その状態で、いくらでもマンガを読むことができる。
これを幸せと言わず、なんというだろうか。
寝そべって思い切り、世界に浸る。
私が、夜中にハマった作品。
「さめない街の喫茶店」
素敵な喫茶店でのたくさんの人と人との交流が、とても繊細に描かれている。
しかし、主人公は、なにか大切なことを、忘れてきてしまっている。
どこか遠くに、何かを置いてきたような、そんな。
でも、「いま」を楽しむ。居心地のいい「いま」を。
美味しそうで心がホッとするメニューが目白押し。
おすすめ。
寝転がりながら、1冊。
ダラダラしてから、返却して、また1冊。
そんなふうに、時間を全く意識することなく深夜まで、いろんな世界を堪能していた。
気づくと、朝。
スマホばかりみて眠ると、寝起きはものすごく悪いのだが、この日は違った。
ぐっすり。
本当に、よく眠れた。
感受性が刺激され、脳がいい感じに疲れたんだろうか。(アロマバーム効果もあるかもだけど)
ホテルに泊まるときは、いろいろな音(冷蔵庫とか換気扇とか、隣の部屋の人とか)が耳障りで眠れないことが多い。
「マンガを読む」ことが目的のホテル、漫泊。
ここでは、飲食禁止。(ペットボトルok)
冷蔵庫がない。だから、変な音もせず、食べ物のいやな匂いもしない。
改めて、思い返してみると、滞在中はずっと「無音」だった。
一人一人が創り出す、無の空間。
素晴らしいな、と思った。
私は、人生の悩みは全て本が解決してくれると思っている。
しかし、それにも限界はある。
「本を読むほどの体力すらない時」があるから。
しんどいときは、本すら開けない。
手軽なインターネットで得た情報を鵜呑みにして、どんどんしんどい方向に行く。
そんなとき、もしかすると、マンガがあなたを救ってくれる
かもしれない。
珈琲の香りとともに、さよなら、神保町。
至る所にある、カフェや喫茶店。
大人になるにつれて好きになる、濃ゆ〜い珈琲の味。
行きたい店が多すぎて、大混乱。
今回は、ひとまず、ホテルの目と鼻の先にある、お店へ足を運んでみた。
豆工房というお店。
スペシャリティーコーヒーが日替わりで楽しめるのだとか。
私はお腹が空いていたので、パン2個と珈琲という「モーニングセット」をオーダー。
それで500円。安い。
珈琲を飲みながら、この滞在を振り返る。
最近、自分のことを大切に扱えるようになってきた。
自分のことが、好きになってきた。
自分のことを、認めてあげられるようになってきた。
そんな自分とのデートは最高の思い出になった。
また、この珈琲を飲みに来よう。
新しいカレー屋さんも発掘して、
それを美容院のオーナーに伝えてあげよう。
いろんな悩みを抱えて、この街に来よう。
漫画や古本たちが、私にきっとやさしく寄り添ってくれると思うから。
神保町。
歴史あるこの町は、これからも未来ある若者のためにたくさんの気づきを与えてくれる。
うん。薄々気づいていたが、私は、この街に一目惚れしたようだ。
この街で生きてみたい。
そんなことを、思った。
さよなら、またね。
神保町。
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