考え方を変えたら、生きるのが楽しくなった話
先日、通院していた心療内科を卒業しました。
うつ病手前の抑鬱状態になってから、約10ヶ月間の通院期間。
心療内科での診察とカウンセリングによって、29年間の人生で築き上げられた厄介な思考パターンを抜け出すことができたような気がします。
生きることが穏やかに、毎日が苦しくなくなったので、私個人の体験について書いてみたいと思います。
心療内科に通うきっかけ
初めて心療内科にかかったのは、今年の1月末のことでした。
夜眠れない、息苦しい、油断をすると勝手に涙が出る……など、今までなかったような症状が出始めました。
当時まだ会社勤めだったのですが、仕事中も自分のマイナスな考えを止めることができなくてトイレに駆け込んで泣き出す。
1番びっくりしたのは、日常的に「死にたい」と考えるようになり、ハサミで手首を切ろうとしていたことに気づいた時でした。
「このままだと死んでしまう」
そう思い、夫に相談したのち、隣町の心療内科を予約しました。
初めての診察
恐る恐る、診察室のドアを開けました。
先生はメガネをかけたキリッとした印象の女医さん。
少しクールな印象を受けました。
「どうされましたでしょうか?今、どんな状態か教えていただけますか?」
そう先生から言われ、口を開いた瞬間、ブワッと涙が溢れました。
ハンカチで涙を拭きながら、少しずつ自分の症状や、どんなことがあったのかを話しました。
「ずっと自分を責めてらっしゃったんですね」
「無価値な人なんていませんよ」
「うつや心の不調は脳の病気です、しっかりと治療すればよくなっていくから」
「ゆっくり心を休めていきましょう」
先生の一言一言がとても優しく感じられ、自分の今の状態が受け入れられたような感じがして、初診からすごく救われたような感じがしました。
自分のせいではなく、病気のせいだ、とおっしゃってくださったことに、安心したのかもしれません。
1回目の診察では、抗うつ剤と副作用予防の吐き気止め、漢方を処方していただき、その後数ヶ月間隔週ペースで受診しました。
不調の原因
複数回にわたる診察、またカウンセリングを併用することによってわかってきたのは、発症するきっかけとは別に根底にある原因は私の人生をかけて構築された価値観・考え方にあるということでした。
「承認欲求」
「自己肯定感」
皆さんも聞いたことがあると思います。
私は、ひたすらに他人からの承認欲求が強い人間でした。
自分でも心の奥底で自覚していたくらいです。
(直接的な発症要因となった出来事や、具体的な人生の振り返りについては、別の機会に記してみたいと思います)
「人に喜んでもらいたい」
「誰かのために生きていたい」
そういった気持ち自体はとても素晴らしいことだと思います。
その気持ちが仕事や人間関係、人生のモチベーションになる人もいらっしゃると思います。
私自身もそのうちの一人だと思い込んでいました。
でも、私にとって「自分以外の誰かが望むことをする」ということは必ずしもいいことばかりではありませんでした。
本当にしたいことが自分で考えられなくなり、人生の目的を常に自分の外に探すようになりました。
また何かを実行したあと、思った通りの感謝の言葉や見返りがないと不安でたまらなく感じました。
そして自分が失敗してしまったとき、全世界から見捨てられてしまうのではないか、役に立てない自分は生きる意味がないのではないかと、とてつもない不安に襲われるのです。
私の生きるモチベーションが、
「誰かに認められる」
になってしまっているのを理解しないまま生きてきてしまったのです。
心の治療
服薬以外に心療内科への通院、カウンセリングで行ったのは主に4つ。
①自分が今何を考えていて、そのきっかけは何なのかの洗い出す
②なぜそう思うのかを分析する
③辛い、しんどいと感じるものから極力遠ざかる
④リスクを考えず、興味のあること、少しでもやりたいと感じることに気楽に取り組んでみる
言葉にすると少し機械的な感じもしますが、先生と話し合いながら時間をかけて行いました。
私の場合は、とにかく他人と比べたり世間的に見劣りしたくない!という気持ちが強く、それが自分自身を苦しめていたようでした。
そこで、他の人の声や様子が目に入ってこないようにTwitterやInstagramなどのSNSを断ちました。
学生時代や会社の同僚からの近況報告などが定期的に入ってくるLINEのグループは、一部の友人にだけ事情を話し心が落ち着くまで、ということで抜けさせてもらいました。
幸いコロナ禍ということもあり、外出自粛の風潮のおかげか仕事以外でのオフライン上の人との交流はほとんどなく、その点少し気楽だったかもしれません。
外の世界から一時的に遮断されると、心が少し軽くなった感じがしました。
のちに新しい命を授かり、仕事を辞めることで、さらに色々な刺激から解放されるようになりました。
自分と夫と、お腹の中の赤ちゃんの三人で過ごす静かな日々。
スマホやテレビも、必要最低限以上に見るのを避け、在宅ワークの夫が別室にいる傍らのんびりと時間を過ごしました。
家事以外にはすべきこともなかったので、読書をしたり、文章を書いたり、裁縫をしたり、気になっていたことを勉強してみたり、在宅ボランティアに参加してみたり……
不安要素となるものから離れることで、自然とそわそわした気持ちは無くなっていき、今まで怖くて着手できなかったことを色々と試すことができました。
(怖い、という気持ちも、途中で挫折してしまったときに周囲から見放されるのではないか?という思いから感じていたものだったようです)
「結果を残せなくたっていい、今自分が抱いている気持ちを大切にしよう」
日々その気持ちを抱きながらゆるりとした時間を過ごしていく。
その結果、日々感じていたソワソワ感や絶望感、不安や自分への失望の気持ちが小さくなっていっているのを感じました。
「あれ?思ってたより自分嫌いじゃないかも」
「今、結構楽しいし、幸せなのかも」
少しずつ、そんな実感を得ながら毎日を過ごせています。
最後に
10月の診察の日。
先生に今自分が感じていることを率直に話しました。
周囲の評価で自分の価値や幸せが決定されるのではないと気づいたこと。
できなくても、今自分が好きなこと、やりたいことを見つけ、その気持ちを大事にしたいこと。
食事、睡眠が問題なくとれるようになったこと。
感情の起伏が穏やかになったこと。
毎日楽しいと思えるようになったこと。
先生からも、また調子が悪くなったらいつでも予約していいからね、と服薬と診察の終了を了承していただくことができました。
診察終了から2週間が経ちますが、心身ともに健康な日常を過ごせています。
心の不調は一見してわかるものではないし、一時的なものでは?と思い込んだりして気付いたり認めたりするのが難しいように思います。
また、世の中にはそれを「甘え」「逃げ」と呼ぶ人もいるかもしれません。
でも、甘えてもいい環境にあるのに、敢えて毎日死にたいと思う必要があるでしょうか?
逃げてもいいのに、自分を苦しめていくのが人生なのでしょうか?
あなたの命、人生、時間はあなたのためにあります。
あなたの幸せはあなた自身が決めるのです。
何か大きなことを成し遂げなくってもいい。
日々、なんか楽しいかも、と思いながら過ごす。
そのためには、自分への期待値を少し下げてみて、心も体も休んでみたっていいと思います。
休み方は人それぞれ。
時間を決めて一気にいろんなものから離れてみたっていいし、しんどいと思うものを1つだけ手放してみたっていい。
頑張り方を変えるのだって1つの方法です。
たくさんの人がむしゃらに頑張っているこんな世の中だからこそ、それを忘れないでほしいと思います。
長くなりましたが、私の心の治療体験記はこれでおしまいです。
改めて、本当にいい先生に巡り会えて感謝しているし、毎日穏やかに過ごせている今を大切に感じます。
この記事を読んで、あなたが少しのんびりしてみようかな?とちょっとでも思ってくれると嬉しく思います。
ハイスピードな毎日に、少しだけ徐行運転を。
読んでいただきありがとうございました✨
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