コーヒータイムがなくなっても

家族が増えて、気持ちの変化があった。

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先日、息子のお世話を母に任せて、久しぶりに夫と2人でお昼ご飯を食べに出かけた。
行き先は近所に新しくできた洋食レストラン。
その日は都内でも雪が降った日で、滑って転ばないように足元に気をつけながら、でもどことなくふわふわとした気持ちで目的地へ向かった。

息子が生まれる前、夫と出かけるときは、決まって手を繋いで横並びだったが、雪のせいもあって手は繋がず、1列になって歩いた。

レストランに着くと、ドアには「ただいま満席です」のプレートが。
一応店員さんに聞いてみると、1時間ほど待つという。
家で息子も待っているので、流石に厳しいか、と急遽予定変更し、以前行ったことがあったイタリアンのお店にいくことにした。
目的のお店を諦めるのは、事前予約を取らない行き当たりばったり主義の私たちにとってはよくあることだった。

久しぶりの夫婦2人きりの時間。
出かけるまでとてもワクワクしていたのに、いざとなったら話すことがなかなか思い浮かばない。
せっかくの機会なのに、口から出てくる話題は息子のことや、最近眠れてる?といったどうでもいいようなことばかり。

息子が生まれる前って、どんな話をしていたんだっけ?

しばらくしっくりこない会話を交わしていると料理が運ばれてきて、早食い夫婦の私たちはあっという間にそれぞれ注文したパスタを平らげ、お店を後にした。
お出かけついでに食料品の買い足しをすることになり、帰りは夫はスーパーへ寄ることになり、授乳時間の関係で私はまっすぐ帰路に着いた。
楽しみにしていた1ヶ月ぶりのデートはあっけなく過ぎ去ってしまった。

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そういえば、と、妊娠中の夫の言葉を思い出した。
赤ちゃんが生まれてからも今までと同じようにこんなふうにふざけ合ったりできるの?と聞く私に、いやぁもうしないでしょう、親になるんだから、といなした夫。

息子が生まれる前はよくじゃれあったりした。
夫がリモートワークの日は決まって午後の仕事前に、デロンギのコーヒーメーカーのスイッチを入れる。
コーヒーを挽いているときのリズミカルな音に合わせて、私が夫を突っついてちょっかいを出し、ものの数分だが2人でふざけ合う時間が楽しかった。

家路の途中、夫婦時代の心地よい空気感はもう戻ってくることはないのか、と少し寂しくなった。

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しばらくして、夫のリモートワークの日。
いつも通り夫はコーヒーメーカーのスイッチを押す。
コーヒーのいい匂いが香ってくると同時に、思い切って指で夫を突っついてみる。
久しぶりだったが、夫は以前と同じ笑顔を見せてくれた。
ものすごく、ものすごく嬉しかった。

家族の形、話題、ライフスタイルが変わっても、私たちは大丈夫。
今後、このコーヒー前の時間がなくなっても、2人で新しいコミュニケーションを作っていけばいい。
新メンバーが加わって、変わっていく私たちを楽しんでいこう。

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