生きづらさを感じているあなたに、『嫌われる勇気』を読んでほしい
「HSP」のあなたへ
突然ですが、「HSP」という言葉を聞いたことはありますか?
Highly Sensitive Personの頭文字をとった言葉で、不安や恐怖を感じやすく、他人からの反応を必要以上に気にしてしまったり、否定的に感じやすいタイプの人を指します。
「繊細さん」「劣等感」「自己肯定感」などの言葉がよく使われるようになり、SNSでもプロフィール欄でHSPを自称される方が多くみられるようになりました。
そしてHSPの方々の多くが、その繊細さゆえに日々「生きづらい」と感じていることが多いのです。
今回は世の中に生きづらさを感じている方にぜひ読んでもらいたい『嫌われる勇気』という本を紹介します。
『嫌われる勇気』とは
『嫌われる勇気』は、哲学者の岸見一郎氏の著書です。
岸見氏はヨーロッパ哲学と並行してアドラー心理学を研究し、数々の本を出版されています。
その中でも『嫌われる勇気』は発行部数100万部を超え、岸見氏のベストセラーとなりました。
本書は、とある青年が哲人の部屋を訪れ、「人は変われる、世界はシンプルである、誰もが幸福になれる」という哲人の持論を真っ向から否定するというところから始まります。
そしてアドラー心理学によって説かれた人の生き方についての教えを、哲人と青年の対話方式で展開していくのです。
私たちに必要な勇気とは
なぜ、HSPタイプの方に『嫌われる勇気』をオススメしたいのか。
その理由はひとえに、生きる上での考え方がグッと楽になる驚きや気づきが詰まっているからです。
まず私が衝撃を受けたのは、この文章です。
アドラーの考え方によると、変わりたいのに変われないのは、現状が心地よいから「変わらない」という決心を自ら下しているからだといいます。
この考え方は、ビジネスの場でも「コンフォートゾーン」として時折紹介されています。
自分の人生をどのように作っていくのか、自ら決定する勇気がないため、現状に留まってしまっているというのです。
また、多くの人が悩まされる劣等感についても新たな視点が与えられています。
アドラー心理学によると、劣等感は主観的な思い込み(64ページより引用)であって、主観であるからこそ自分でいくらでも考え方を変えることができるというのです。
世間でよく知られている劣等感とは、他者と自分を比較し、「私は劣っている、価値がない」と感じてしまうことを指しますが、あくまでその結果も、そもそも他者と比較していること自体も、「客観的な事実」ではなく、「主観的な解釈」(67ページより引用)から生まれたもの。
健全な劣等感こそ、自分自身を奮い立たせ、さらなる高みへ導くものになると説いているのです。
私自身の人生を、私が望むように生きていい
HSPタイプの方のほとんどは、周囲を気遣い、自分を犠牲にして相手を優先しようとする心の優しい方ばかりだと思います。
『嫌われる勇気』の中でも、他者貢献という生き方自体は肯定的に捉えられていますが、留意すべきは、貢献感に他者からの承認は必要がないということ。
この本の中では、他者は他者、自分は自分、というようなことが度々触れられています。
それはもしかすると少し冷たい印象を感じさせるかもしれません。
しかし、アドラーの視点からこの言葉を解説すると、他者が私にどう生きてほしいと感じ、評価するかは他者の課題であり、自分がそれを受けてどう生きていくのかも私の課題である、それぞれが自由な存在なのです。
このメッセージこそ、タイトルである『嫌われる勇気』の最大のメッセージでもあります。
『嫌われる勇気』は、すなわちあなたが生きる勇気
実をいうと、私自身が一昨年、この本に大きく心を動かされました。
生きる価値がわからなくなり、心療内科に通いながらなんとか命を繋ぐ日々。
そんな中、この本に刻まれている「私自身の人生を、私が望むように生きていい」「私は私を変えられる」というメッセージは、私の目を覚ましてくれ、勇気づけてくれたのです。
今も周囲と比較し、自分を卑下してしまいそうになるときは、この本を開いて勇気をもらうようにしています。
心理学や哲学というと、少々難しく感じられるかもしれませんし、自分を責め、さらに自信をなくしてしまうのではないかと心配される方もいるかもしれません。
でも大丈夫。
当事者である私が、この本を手に取って小さな変化の一歩を歩み出せたのだから。
『嫌われる勇気』には、小さな勇気のヒントがたくさん詰まっています。
生きづらいと感じている方、自信がない方、周囲の目が気になって窮屈な日々を過ごしている方。
あなたの人生はあなただけのものです。
ぜひ一度この本を手に取ってみてください。
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