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きさらぎ駅編~乗車ージョウシャー~


サタンたち悪魔であるつみねこたちが住んでいた場所“アンダーエデン”。過去彼らと戦い、勝利した天使たちである“かみねこ”たちの住処となっている、“エデン”。

かみねことつみねこ、エデンとアンダーエデン。所謂天国と地獄のような関係に近いらしいが、人間たちが一般的に想像しているような場所…というわけでもないらしい。わかりやすく説明すると天界と魔界のような場所なんだそうだ。

エデンには監獄所も存在し、そこには過去悪魔軍を唆し戦争を巻き起こした黒幕や人間を好き勝手弄ぶなどと言った大罪を犯した邪神や魔物たちが収容されている。エデンの住人は奴らを捕らえ、人間たちを守るために動いているのであった。しかし、如何にエデンの住人たちが血眼になって邪神たちを探していても、彼らの包囲網をいとも容易く掻い潜る者が存在した。

『ふふ、今日はあの子で遊ぼうかな。』

電線の上に立つ、一人の男が居た。男が身に纏っていたマントを翻すと顔が全くの別人へと変化している。

『うーん…今回はこの顔でいいか。』

男が見つめる視線の先に、英語の教科書を開いて電車を待っている不知火陽太が姿があった。


――――――同刻。


――5月の始め。初夏が近づいているせいか日中は少し汗ばむもののまだまだ日が暮れれば昼との寒暖差があり、日暮れは肌寒い。今日はアルバイトもないし、まっすぐ家に帰ろうと定期券を使って駅の改札口をくぐる。家に帰るための電車が来るまでの間、僕はカバンから英語の教科書を取り出す。中旬にある中間テストに向けて目を通す。
電車が来るまであと2分くらいかな。電光掲示板に目を通し、黄色い点字ブロックの前で立ち止まりながら教科書に目を通していると僕の後ろに人が並ぶ。特段何も気にすることなく教科書を読み続けていると後ろの人が僕の耳元で囁いてくる。その声は今まで聞いたこともない、体内の内臓を蛇に這われるような、不気味な声だった。

『夢は何だと思う?』

金縛りにあったように、僕の体が動かなくなる。その次の瞬間、僕の体は後ろの人に押され、ホームへと投げ出される。

「えっ!?」

―――パアァアッ!!

眼前に迫ってくるのは、僕がいつも帰宅するために乗る急行電車。え、待って待って待って。

















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