マガジンのカバー画像

逃避行

76
グロテスクな現実世界からしばしのお暇。
運営しているクリエイター

#由布院

空溶ける

空溶ける

コバルトブルーの温泉が有名な束ノ間という温泉に行ってきた。
ここに行くのが最大の目的だった。
そのために魅力的に思えた人力車のお誘いも断った。
携帯の充電が残り少なかったけど、迷って辿り着かなかったら意味がない。
人力車のお兄さんが言ってたけど、ちょっと山の方にあるみたいだから、ナビを繋げずに向かうのは、私の命を守るためにもやめた方がいい。
赤色の悲鳴をあげているiPhoneにもう少しだけ頑張って

もっとみる
エンターテイナー

エンターテイナー

世界一美しい村と言われるイギリスのコッツウォルズ地方の村を再現したフローラルヴィレッジ。
中は小動物とお土産屋さんでいっぱいだった。
うさぎやリスに餌をあげて可愛いと歓声をあげている彼女を愛でる彼氏や、インスタ映えをと、必死に可愛い角度を探して撮影する女子の隣を通り過ぎながら、美しく造られた長閑な町並みを散策した。
100円払えば可愛い小動物に餌をあげることができるから、みんな喜んで100円を箱の

もっとみる
癒しを求めて

癒しを求めて

湯の坪街道にでる。
由布院駅をまっすぐ行ったらすぐに着く。
いくら方向音痴の私でも、いくらなんでも、無事にたどり着くことができた。
それくらいまっすぐ行ったところにある。
ここには2、3年前にも行ったことがある。
その時の記憶がまだ頭の片隅にあったようで、でも、ずいぶん変わったように思える。
コロナのせいでどざしてしまっているお店もチラホラ見かけた。
コロナマエニモドリタイ。
人は思ったよりいた。

もっとみる
未知の領域

未知の領域

毎度毎度、なぜこんなに体が重いのか。
重力が周りの倍ほど働いている私の体を、なんとか地球に戻そうと湯布院へ向かった。
切符を買う暇がないくらいバタバタでぎりぎりなのはいつものこと。
日田駅から由布院駅へ。
ここからは未知の領域だった。
1時間近く山と民家と時々学校。
そのうち学校や民家がいなくなって、山だけになった。
たどり着く駅に人はもちろんいない。
この先に自分が行きたい場所はちゃんとあるのだ

もっとみる