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2001年就職氷河期、新興の就職情報誌にそそのかされ、超ブラック企業に入社

21世紀最初の年、2001年。就職氷河期と言われる時代です。
当時、新卒採用コンサルティングで一世を風靡した会社が発行する黄色い就職情報誌に惑わされ、僕はとんでもないブラック企業に入社してしまいました。

1.全く受かる気がしない就職氷河期の中での就職活動

時は正に世紀末。1999年大学3年生の秋。就職氷河期真っ只中で、僕の就職活動は始まりました。
この頃は既に、一般家庭にもインターネットはかなり普及していましたが、まだ電話線でつなげるダイヤルアップ式接続です。
今の若い人は知らないかもしれませんが、接続するときに「ピーーー、ギョーーー、ザーーー」みたいな音が鳴るアレです。
従量課金だったので、データ通信するたびに電話料金が加算されていました。

話がそれましたが、この頃はまだ就職活動もデジタルが登場し始めたばかりの時期で、リクナビなどのインターネット媒体で募集をかけている企業はまだ少なく、大手企業ぐらいでした。
そんな時代ですから、エントリー方法はまだハガキが主流でした。
就職活動の時期になると、電話帳の様に分厚い就職情報誌が自宅に送られてきます。
そこについているハガキで、まずは会社説明会から申し込むのです。

腱鞘炎になるかというほど、何十社も手書きでハガキの申込書を記入し、エントリーします。
大学では大した事はやっておらず、大志も抱いていなかった自分は、何社受けても受かりません。
そっけないお祈りの手紙が届くだけです。
(不合格通知の手紙の事。貴殿のご活躍をお祈りします、という言葉が文末に来るのがテンプレの為、そう呼ばれる。)
当時、自己分析など面接突破法を指導する塾もあったぐらいですが(今もある様です)、そんな所に何十万も払って入塾しそうになった事もありました。

そうやって迷走している中、僕の人生を狂わせた(?)のは、ワイキューブという会社の就職情報誌です。
中小企業の新卒採用コンサルティングで一世を風靡した会社です。
この会社は、企業のブランディングがものすごく上手くて、ただの中小零細企業であっても、いかにもイケてるベンチャー企業の様に、その就職情報誌で会社案内の記事を作るんです。
当時はサイバーエージェントなどのネット系ベンチャーが台頭してきている時期で、ベンチャーブームでもあったので、世の中を知らない自分はまんまと騙されてしまったんですね。

それで最終的に内定をもらい、新卒で入社する事になった会社がとんでもない会社だったのです。
元、暴走族頭の社長が経営する会社でした。

2.はじめてのブラック企業-元暴走族社長の会社

社長が元不良だな、というのは入社する前からわかってました。
住宅リフォーム及び、その時は複数の事業も手がけている会社でした。

面接の時も社長はそんなことは語っていたし、そもそも就職情報誌の会社紹介の写真が、ヤクザの写真みたいでした。
白黒の写真で、ダブルのスーツにオールバックを決めた社長を先頭に、社員たちがその後ろにずらっと並ぶ。
なんでそんな会社に入ってしまったかというと、社長との面接で男気を感じてしまったんです。
そもそも社長直々に面接をしてくれるというだけで、世間知らずだった僕には十分なインパクトがあります。
元不良だけあってすごく迫力があったし、そういう人でもビジネスマンとして成功できるみたいな、少年漫画的な魅力もありました。
実際、その社長は頭が切れる人で、めちゃくちゃ人を惹きつける話術とカリスマ性を持っていました。
サンデーやマガジンの不良漫画で育った世代なので、こういうのにめっぽう弱かったんだと思います。
面接は選考というよりも社長が熱く語り、一緒にやろうぜと最後にガチッと握手を求めてくる感じ。
極めつけは、その場で社員を呼んで、自分への内定通知書を作らせます。
普通に考えたらどう考えてもヤバいシチュエーションですが、その時はそのムードに飲まれてしまったんでしょうね。
お祈りの手紙もいっぱいもらって精神的に弱ってたところに、自分が認められた!
そして、不合格理由も述べずに一方的にお祈りの手紙を送りつけてくる大半の会社とは打って変わって、なんて素晴らしい会社なんだろう!と。

さて、とうとうブラック企業の世界に片足を突っ込んでしまいました。
その恐怖は内定後から始まりました。

まずは入社前に会社から課題を出され、内定者同士で活動をしました。
具体的に何をやったかは忘れてしまったのですが、内定者用のネット掲示板を作って、そこでやり取りしていました。
僕はそこで、ちょっと会社をディスる様なふざけた書き込みをしてしまったんです。
そしたらその書き込みを社長がしっかりと見ていて、内定を取り消すぞという話になり、直接会社に謝りに行って、何とか許してもらうという事がありました。
冷静に考えれば掲示板を会社側に見られていてもおかしくはないわけですが、その時はそんなことも想像できず、無邪気に書き込みをしてしまいました。
会社側としては内定者の素を見たり、やらかした奴に一発脅しをかけることで、内定者は完全に社長の手中に収まるわけです。
最初が肝心、ってやつですね。

しかし、これはまだほんの序章です。本当の恐怖はこれから始まります。
次回は入社直前に新卒研修としてぶち込まれた静岡県にある、まるで刑務所の様な「管理者養成学校」でのお話しです。

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