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3/4【モロッコ】憧れの青い街へ

最初に、今回のモロッコ大地震で亡くなられた方に深く哀悼の意を表し、心からお悔やみ申し上げます。また、被災された方、一日も早い回復をお祈り申し上げます。

先週モロッコに滞在しているとき、このnoteを書き始めたときも、まさかモロッコで地震が起こるなんて1ミリも思ってませんでした。

「ほんの一週間違っていたら、私たちもあの大地震に巻き込まれていたかもしれない」とニュースを見る度に思います。

こんな時に、モロッコ旅のnoteを書くのは不謹慎かもしれないかと思いましたが、一日でも早く普段の暮らしに戻ることを願って、モロッコのnoteを書こうと思います。

マラケシュでお世話になった宿の人たちは、どうやら無事のようです。
マラケシュ旧市街でも一部、家屋の破損や壁の崩れがありますが、公共バスや鉄道は通常通り動き初めているようです。(23年9月10日時点)


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古都フェズでの町歩きを楽しんだ後、次の目的地として選んだのは「シェフ・シャウエン」という街。

ここは街全体が青い街として知られ、世界各国からこの青い街を求めて多くの観光客がやってくる。

フェズからシャウエンまでは、バス移動で5時間ほど。地元の人々も使うCTMバスに乗って、山間部にあるシャウエンを目指す。
明け方、フェズのバスターミナルから、シャウエン行きのバスに乗り込む。

モロッコの田舎道を抜けて、バスはずんずんと進む。途中、広大なオリーブ畑や、砂丘のような一本道を抜けていく。日本では見られないような景色をずっと眺めることができるのも、長距離移動の醍醐味である。


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シャウエンは高い山に挟まれた場所に位置しているので、街に近づくに連れて、だんだんと青い建物が見えてくる。

バスターミナルを降りて、街の中心部へと向かう。モロッコの写真で見たことあるような「青さ」がどんどん目の前に広がってくる。想像以上にちゃんと青いのだ。


シャウエン自体は、かなりコンパクトな街で、一日もあれば回れてしまう。歩いているだけで、自分が絵本のなかに入り込んだかのような、かわいらしい街だ。

この街が青い理由は、諸説あると言われている。虫除けだの、夏の暑さ対策だの、その理由はさまざま。どこを切り取っても絵になる。


地元の方々が被っている帽子


そして、もちろんこの街にも、猫がたくさんいる。


きっと猫好きにはたまらない街だろう。

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夕方から夜になると、シャウエンの街全体を見渡せる丘に、どんどん人が集まっていく。市街地から徒歩15分くらいの場所にある丘。


猫も丘の頂上を目指す


街と山が夕日によって照らされ、幻想的な風景を作り出す。
本当に「自分は今、こんなところにいるのだろうか」とあまりの美しさにそう思ってしまう。


街に灯りが灯り始め、夜のシャウエンが浮かび上がってくる。
美しい時間は、ほんの一瞬だけ。
登ってきた時間の方が、もしかしたら長いかもしれない。

でも、あの数分間は、シャウエンに来てよかったと思わせてくれる。


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来た山道を戻り、夕食の場所を探す。
Googleマップでレビューが高いレストランを調べるでもなく、自分の嗅覚を信じて、なんとなくお店に入ってみた。

そこは大通りに面した、地元の人も行くようなお店だったようだ。

私たちは、シャウエン出身の女の子ひとりと相席になった。席につくやいなや、とりあえずビールではなく、店主から「ハリラ(モロッコ伝統のスープ)」が勝手に提供される。

同席した女の子も緊張しているようで、お互いその空気感に押され、出てきたスープをとりあえずみんなで静かにすする。

一言、また一言と会話をするうちに、お互いに聞きたいことやしゃべりたいことが湧き出て、ぽつりぽつりと会話が弾んでいく。

相手の女の子は、ほとんどアラビア語しか話せないようで、グーグル翻訳を駆使して、なんとか互いの言葉が会話になっていく。会話が通じたときのあの嬉しさと言ったら、なんとも言い難い。とても嬉しいのだ。

文字を打ち込んで、翻訳ボタンを押す。「ん〜なんか違う。うまく変換されていない…」というやりとりを繰り返し、単語変え、話を変え、やっと通じる。(グーグル翻訳、助けてくれて本当ありがとう)

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イスラム教の教えなのか、旅びとには優しく接しよ、という感じで、彼女は私たちに「シュバキア」というモロッコ伝統のお菓子を恵んでくれた。これが甘くてカリッとしていて美味しい。(外が真っ暗だったので、写真を撮っていなくて残念)
さらには、バナナパフェのようなスイーツを一口、また一口と分けてくれる。本当なんていい子なんだろう。見ず知らずのアジア旅行者に、こんなに優しくしてくれるなんて、と自分の日頃の行いが恥ずかしくなる。


その後、30分も一緒の空間にいなかったけど、とても楽しい時間だった。
知らない街で出会った人が、その街の印象を決めるというけれど、本当に素敵な彼女に出会えてよかったな。多分もう会うことはないと思うけど、シャウエンに行ったら会えるかもしれない、と思うだけでうれしいのだ。



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