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会議の前提を共有する1枚の地図

テレワーク普及とともに会議も増えました。

前時代(会社行ってた時)よりも気軽に設定しやすくなったこともあります。ZoomやTeamsのURLを送るだけ、会議室の予約もいらない(前時代はこれが意外と大変だった)

会議大好き!という人は少ないと思います。
私もあまり。

でも会議が悪者なのではなく、会議のやり方が悪者、と思います。

前提の不一致

私はもともと喋るタイプではないので、ガンガン発言はしません。
むしろ寡黙です。

それでも会議の中盤以降、我慢してても口が出てしまう時があります。
それは「前提が合ってない」議論が延々と続いている、みんなが不幸になる会議です。

”前提”の定義は色々ありますが、以下と思います。
・会議の開始時点で、
・参加者全員が、
・Aについて共通の認識をしていること

Aの主なものは
1:事実・現状
2:前回までの議論経緯と背景
3:(今日の会議の目的)

特に1、2は現在地点(イマココ)を定義するものです。
これがズレていると、それはそれは悲惨な会議になります。

複数の地図

前提が合ってない会議は、参加者それぞれが違う街の地図をみて「今日はどこに行こうか、何を食べようか」と話し合っているようなものです。

鈴木さんは東京の地図を持っている、田中さんは南アフリカの地図、佐藤さんは北極の地図。

行ける場所、できること、食べられるもの、全てが違います。

また「(一見同じ地図だけど)情報の格差がある」場合もあります。

鈴木さんと山田さんは東京の地図を持っています。鈴木さんは東京23区の地図を持っているけど、山田さんは渋谷区と江東区と多摩市の地図を持っている。鈴木さんより多くの情報を持ってますが、多摩市の情報は山田さんしか持ってない。

この状態で「一番美味しいレストランに行こう」と議論始めても時間の無駄です。

これを実際の日々の会議に当てはめてみましょう。

参加者がどんな地図をそれぞれ持っているか、会議開始時点ではほとんどの場合わかりません。

参加者が同じ地図(前提)を持たずにいきなり議論を始めていることは意外と多く、私はこれまで何度も失敗しました。

”自分の地図と相手の地図は同じはずだ”(実際は確認してない)

この状態で議論をしても、お互いの主張を繰り返すだけの、噛み合わない空中戦になります。

1枚の地図にする

地図を1枚に揃えましょう。どうやるか。

1:事実や現状
2:前回までの議論経緯と背景
3:(今日の会議の目的)

これを端的に書くだけです。

その時のポイントは
・口頭ではなく、文字で書き下す(紙やWordやPPTに)
・こんなのみんな知ってるよね、という初歩的なことも書く。

●なぜ書き下すのか?
A:口頭で言っても聞いてない人は聞いてません。聴覚より視覚で伝えましょう。
B:英語会議になると、ますます口頭では伝わりません。
C:言語化(文章化)することで自分自身の認識も確認できます(逆に自分の認識不足も分かる)
D:議論が脱線したり、違う地図を持ち出してくる人の対策になる(もう一度紙を見せて、議論の軌道修正できる)

実践上ではDで結構役に立ちます。その会議の北極星として、道を外れそうになったら、広い心でその紙を掲げてあげましょう。脱線する人・違う地図の人も現在地を再認識できます。

●なぜ初歩的なことも書くのか?
参加者の”地図”がどういう状態かはわかりません。特定の地区だけ抜け落ちている地図を持っている人が参加しているかもしれません。「私の地図はこの地区が無いんですけど」といってくれればいいのですが、何かを知らない人が「無いことを認識する」ことはありません。

欠けてしまっているその地区がその会議の論点に関わってくる可能性もあります。その時その人は取り残されてしまいます。

議論に参加できない気持ちは、納得感の低下とその後の行動のモチベーションにも関わりえます。これは良い会議ではありません。

なので、細かくなりすぎず、しかし初歩的(大事かもと思われる)点は書きます。

会議はなぜあるか

私自身は会議は大事だと思っています。

メンバーのコミュニケーション、意思疎通、仕事を次のステップに進める合意、には会議が一番適した形態だと思うからです。

ChatやMailでもできなくは無いですが、議論の末の納得感(腹落ち感)とそれに伴うその後の活動のモチベーションまで考慮すると、会議や議論はやはり大事だと思います。

でもやり方次第で会議は善にも悪にもなります。

悪い場合は、単なる時間の浪費になり「今日も無駄な会議ばかりだった」というよくあるグチを助長します。

”1枚の地図”をまず最初に参加者全員が共有する。

同じ地図を持っていれば、自然と生産的な議論・結論に進むと思います。

なぜならその会議に参加している時点で、参加者はなんらかの共同体(会社・プロジェクト等)に所属しており、目指すべき方向性は大きくは違わないはずだからです。

現在地を正しく認識し、共同体としてのざっくりした方向性があれば、自然と議論は噛み合うはずです。

という意味でも、1枚の同じ地図を持つように働きかける、ことは特に意識してやるべきだと思います。

一見地味に見える活動ですがこれは「チームメンバーの力を引き出すこと」そのものだとも思います。1枚の地図を用意し、その上でメンバーが迷わずに自分の考えや能力を発揮できるようにする、という。

私が主催の会議の時は意識的に行っていますが、それ以外の時でも(主催者に配慮しつつ)途中から行うこともあります。

どんな形にせよ、参加者が同じ地図(前提)を持って議論できれば、それは良い会議だと思います。

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