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学歴なんか犬も食わない。

大学全入時代と言われて久しい。
一昔前までは、大学卒が高学歴だと言われていたのに。
今は大学のランクで高学歴か否かが語られている。

私は大卒だ。
でも、高学歴ではない。
地方の小さな公立大を卒業していて、私の出身校を知っている人に会うことはあまりない。
出身大学を聞かれても、言ったところでピンとくる人が少ないので、進んで人に言うことはほとんどない。
(たまに知っている人がいるとちょっとうれしい。)
偏差値だけで言えば大学のランクとしてはまあまあ、といったところ。
けれど、知名度のない大卒出身者は地元の私立大学(所謂ボーターフリーといわれている大学だ)よりも下の扱いだ。

私の勤める会社(地方の中小企業だ)中では、どこの高校出身?なんて聞かれる。
この会社の「高学歴物差し」は、出身高校の偏差値なのである。
高卒者と大卒者が同じ職場で肩を並べて働いているから、比べるなら高校の偏差値というわけだ。
しかも地元出身者を中心に採用している会社なので、よくわからない他県の大学よりも、地元高校のランクの方がしっくりきて分かりやすいのだと思う。

対して、夫は高学歴だ。
都会の知名度のある私立大を出ている。
世間でも高学歴と言われる大学だが、偏差値だけを見れば私の母校とそう変わらないのだ。
知名度が高学歴というイメージを作っているのだなぁ、と思う。
そして不思議なことに、夫自身は高学歴だと思っていない。
というのも、都会にはもっと高ランクの大学がたくさんあって、自分より上がいるという意識が常にあったことに影響を受けているようだ。
また、夫の勤める会社の同僚や上司が、その「もっと高ランクの大学」出身者ばかりなためにその意識を持ち続けていることも一因だと思う。

私からすると夫は高学歴であるし、よい大学で面白い学びをしていたのだから、もっと自信を持てばいいのにと思うけれど、
夫が言うには、自身の学歴くらいが「ちょうどいい」らしい。
というのも、彼の勤める会社には学閥があり、その大学出身者は入社当時から期待されており、出世すればさすがだな、失敗すれば大したことないな、と言われる立場にあるとのことで。
その点、自分は学歴によるプレッシャーがなくていいのだとか。
なるほど、属している組織によって色々な事情を抱えているものだ。

その人がどんなことを学んでいて、どんな経験をして、どんな考えや信条があるか。
その人の本質的な所が一番大切なはずなのに、学歴という分かりやすいネームバリューのラッピングに惑わされてしまう。
大学の名前を聞いて、ふーん、そうなんだ、なんて簡単に人をランク付けするのは面白くないことだ。

学歴の話題は下世話な感じがしてあんまり好きではないから、会話に出てもなんとなく聞き流してしまっていた。
けれど、敢えてもっと踏み込んで話を広げてみるのもいいかもしれない。
偏差値に惑わされずに。
研究の内容や、専攻して得た学び、バイトとかサークルなんかの話。
その人のルーツが見えてきて、もっと仲良くなれるかもしれない。



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