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インターネットは永遠にリアル社会を超えられない 古谷経衡 読了

【まとめ】


インターネット万能論が謳われる中に対して疑問符(Q)を提示する本。結論⇒インターネット(SNS、仮想通貨、動画配信、仮想空間)は1枚の亀の甲羅に過ぎず、現実を超えられない。
SNSのほとんどは「読むだけの人」ROM専で、投稿頻度が多いTwitterでも1日に5回投稿するアクティブユーザー12.9%で1割程度。その主張も世論の代弁者ではなく、ごく一部の人たちによるものである(インターネット白書引用)
アマゾンの日本でのシェア率に関しても運輸業者のキャパオーバー×今後頼みの無人ドローン宅配も法規制や無電柱化が中々進んでいない状況では波及効果は局所的と言える。Kindleという書籍界の黒船も市場規模の内訳はコミックが8割と局所的、背景として電子媒体での長時間視聴向かないとの見解。
現実と仮想をテーマにした映像作品(攻殻機動隊、アバター、涼宮ハルヒなど)をいくつか紹介し、仮想は現実を超えうるか?検討し、仮想は仮想を超えないと著者は判断。


【感想】

半ば結論ありきで恣意的?なデータや論の進め方な部分も見られるが、最近インターネット万能感を私自身感じていたので良い意味で「相対化」した視点で物事を見るきっかけになった。出版後(8年)の現状を見るとネットを制したトランプ大統領誕生、コロナ渦下でTwitterの世論によって定額給付金が特定層⇒一律へ、芸能人の自殺問題を皮切りに加熱したSNS上での誹謗中傷への対策の法案提出など仮想の意見が現実を変える現実≒仮想が現実を超える?を垣間見たことで著者の主張には懐疑的となる結果となった。個人的には落合氏の掲げる現実と仮想は最終的には溶け合って境界線がなくなるデジタルネイチャーという世界が今の所ですが現実的なのかな?と思いました。

【おまけ】

アマゾンは地域宅配業者と連携してラストワンマイルを委託や軽貨物車を持っている個人事業主と契約し、決められたエリアを宅配(アマゾン版ウーバー)等で宅配者の確保(これで宅配の4割)を行っている1)。更に今回のコロナ渦によって加速した置き配サービスは、運送業の最大の悩みである「再配達」削減の一助になる期待があり熾烈な攻防を織りなしています2)。ドローンについては千葉市や楽天が試験運用を行っておりますが、無電柱化などの物理的課題や安全性についての法改正3)4)などがあり無人化によるゲームチェンジは国内ではまだまだ先の様に見えます。

【参考文献】

1)Amazonの配送会社が急変し、熾烈になる競争。2020年EC物流大予測
https://agenda-note.com/retail/detail/id=2353
2)「置き配」は再配達削減の切り札になれるのか?
http://cargo-news.co.jp/cargo-news-main/2012
3)国土交通省:無電柱化の整備状況
https://www.mlit.go.jp/road/road/traffic/chicyuka/chi_13_02.html
4)国土交通省:無人飛行機などの飛行による危害
https://www.mlit.go.jp/report/press/kouku02_hh_000149.html

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