ビジネスモデル 知的財産の発生と処理

ビジネスモデル 知的財産の発生と処理


今回は、聞いたことはあるけどよくわからない知的財産権について頑張って簡単に話します。

知的財産権(通称「知財」)に関する条項が特に意味を持つのは、業務委託契約(準委任、請負)やライセンス契約等です。

業務委託とは具体的にはコンサルタント契約や動画制作、プログラム制作などのBtoBだけでなく、BtoCを含む教育事業(セミナーや検定、○○教室等)などです。

ライセンス契約は主に自社のソフトウェアを使用させたり、自社のサイトを使用させる場合等です。

■知財とはなにか
こちらの記事でも触れましたが、知財は「無体物」の一つです。

https://note.com/nakashima_2020gn/n/nbde4122cfcef

法律で定められた知財は色々ありますが、この記事を読む方に関していえば、関わりそうなものは主に下記二点です。

・著作権
・商標権

そして法律で権利化されていない
・アイディア、ノウハウ

これら以外だと有名どころとして特許権や意匠権がありますが、これらは専門性が高いので、ここでは扱いません。

また商標権は、ご自身が商標を取得するかという部分と、自社サイトで実績としてクライアントのロゴを勝手に掲載していいかという部分で関わるくらいです。
ビジネス内で発生することはあまりないので、同じくここでは扱いません。

■著作権とは

 著作権法では「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義されます。
 後半の記載から一見すると「芸術的価値があるもの」に限定されそうですが、これらはあくまで例示とされており、芸術的価値は必要とされません。
 幼稚園児の落書きも著作権で保護されます。
 人が作る文章、音楽、音声、映像、図解、実演等一切が対象になるイメージです。
 文章には、日本語、英語だけでなく、プログラム言語を含みます。なのでSEのプログラム等も著作権の対象となります。

 ですのでデザイナが―が作成する映像やロゴデザインは当然として、コンサルタントがクライアントに説明する際に使用するコンサルタント自身が作った図やSEがウェブ制作依頼時に制作したプログラム、教室で生徒に教える際に使用する教材等は全て著作権の対象となると思ってください。

 著作権の対象にならないのは、冗談抜きに請求書と契約書くらいでしょう。

■著作権がないとできないこと

 著作権を持っていない場合、勝手にコピーしたりウェブサイトや商品に掲載したりできません。もちろん、自社のものとして公表することもできません。更に、手を加えて変更や修正もできません。

■アイディア、ノウハウ

 こちらは法律で定めがないどころか、特許法も著作権法も、文字等で出力されていないアイディアやノウハウの権利性は否定しています。

 なので現状契約の中で縛るしかありませんが、実際にはかなり困難です。
 長くなるので詳細はここでは扱いませんが、アイディアやノウハウが流出しても大丈夫な状態を考えておく方が現実的です。

■著作権の発生と移転

 原則、著作権は元になる文書や画像等の著作物を作成した人に帰属します。
 業務委託の場合は受託者(コンサルタントやSE側)に発生することが多いです。

 そして発生した権利は、契約条件で移転する旨決めない限り、そのままです。

 ただ例えば、あなたがデザイナーだとして、企業から会社のロゴを作ってほしいと依頼され、デザインしたロゴを納品したとします。
 もしロゴの著作権があなたに残ったままだとしたら、依頼した企業はロゴを受け取っても、自社のウェブサイトや商品、文書に表示することができません。
 なのでこういったケースでは原則、著作権を委託者に移転や譲渡することになります。

 今度はコンサルタントの場合です。企業から依頼され、お店の売上の分析レポートを文字や図にして納品したとします。企業側では当然納品されたレポートをコピーして社内に配布したり、そのレポートを土台に検討を重ね、新規事業の資料に組み込んだりしたいわけです。
 他方、コンサルタントも、そのレポートでは確かに数字やロゴ、商品名等は依頼企業のものを記載していますが、分析した図や分析方法、レイアウト等は自身の知識や経験に基づくものであり、他の仕事でも同じ用に使用したいはずです。
 この場合には、コンサルタントに著作権を残しつつ、委託者である企業には自由に使用していい「実施許諾」を与えることになります。
 ここでコンサルタントが契約書に誤って「移転」「譲渡」としてしまうと、今後の仕事にかなり支障をきたす可能性があるので注意が必要です。

■まとめ
ビジネスモデルによって知財の発生の有無がかわり、かつ移転すべきかどうかが変わります。是非弁護士や弁理士さんに相談して、ビジネスを守れる状態にしておきましょう。

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