ビジネスモデル 商材による違い

ビジネスモデル 商材による違い

同じサービスでも売るのか、貸すのか、使用許諾を与えるのか(ライセンス)で考えることや守り方が大きく変わってきます。
今日はその違いを簡単に紹介しますので、商材を考える上で参考にしてください。


■商材の類型
①有体物

 日本の民法では、対象となる物(所有権を主張したり、売ったり渡したりできる物)を有体物に限定しています。(民法85条)
 有体物とは、独立の価値を有し排他的に支配可能なもの、と考えられています。
 例えば、自動車や書籍、食品はもちろん、電気、蒸気力等も含まれます。電気はリンゴの様に手に持てませんが、物理現象の一種(電子の流れ、川。)で、同じ電気は同時に複数の場所に存在しえない。

②無体物
 
 有体物に該当しないもので、こちらは商標法、特許法、著作権法等の特別法によって守られるものです。逆にいえば特別法がないと、契約条件に入れない限り権利として守られません。
 例えば、人間の創作活動の結果(アイディア、発明、著作物等)やブランド(商標、商号)、営業上・技術上の秘密(営業秘密、ノウハウ等)がこれにあたります。
 いわゆる情報資産と呼ばれる類で、物理的に支配できないことや、IT技術の発展に伴い複製が用意になってことで、「守る」という面ではかなり難しくなってきています。

 映像クリエイターが納品する作品、コンサルタントが提案するアイディアやクライアントに提出するレポートなど、納品する際は「物」に落とし込まれるものであっても、価値の本質は「無体物」というケースはかなりありますので注意しましょう。

※この辺りご自身のビジネスで何をどう守るべきかは、弁護士や弁理士に相談ください。

■提供方法の種類

商材の提供方法としてはおおまか下記5種類があります。

①売買(例:車や雑貨の卸・販売、書籍・DVDの販売、有価証券の売買等)

 特徴:物の引渡しと売買代金がセット。物の所有権が相手に移る(会計上、自身の資産から相手の資産に移る。)。買った物をどう使うかは原則買った人の自由(契約時に、目的を限定する(転売禁止、ネット配信禁止など)ことは可能)。

②賃貸借(例:不動産賃貸、レンタカー、カーシェア(都度課金型)、融資等)
 
 賃貸借には、通常の賃貸借のほか、無償で貸す使用貸借、お金や食べ物等の消費財のを貸す(借主は同じ物ではなく、同じ価値の物を返却する。)消費貸借がある。

 特徴:物の所有権(資産)は相手に移らない。借主は借りている間、借りた物を独占して使用可能。賃貸借の目的の範囲内で借主は使用可能。貸主は借主が使用できるよう状態維持をする義務がある。賃貸借期間中の返却は原則お互い求められない。不動産賃貸、金銭消費貸借等、特別法で許認可や契約方法が決まってるものもある。

③使用許諾、ライセンス(例:カーシェア(月額定額使い放題)、商標利用、ソフトウェアの利用、著作物の利用、特許発明の利用等)

 特徴:無体物を対象とすることが多い。賃貸借に似ているが、許諾を受けた側が独占せず、許諾者は複数の人に同時に許諾して使用させる事が可能。シェアビジネス、サブスク等はこの類型にあたる。

④役務の提供(例:コンサルティング、治療や診察、弁護士業務、占い、SES(工数管理型)、料理教室)

 特徴:物ではなくサービスの提供。納品物がある場合(コンサルタントのレポート、弁護士が作成した契約等)もあるが、結果責任ではなく、過程がきちんとしているかが問われる(結果に責任を持たない。)。タイムチャージ制が多い。

⑤仕事の完成(例:企業向けの商品紹介動画の作成、ウェブサイトの作成、プログラムの作成、講師業)

 特徴:④の役務の提供に似ているがこちらは完成したものに対する結果責任を負う(不具合があれば直す等)。④より高額になる傾向がある。着手金や進捗に応じた都度支払い等がある。完成した物は依頼者の資産。

■まとめ
ビジネスモデルを考える上で、ご自身の商材がどちらで、提供方法がどれにあたるか又はどの特徴で行くか、を考える上で参考にしてください。

繰り返しになりますが、似たようなビジネスモデルでも「なにを肝にするか」で適切な提供方法が変わりますので、契約書作成とあわせて弁護士に相談いただくといいでしょう。

だいたい初回の相談料が30分5000円~1万円。
契約書作成が5万円~10万円。契約書作成まで依頼すると、初回の相談料を免除してくれる弁護士も多いです。

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