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デコボコがあっても

生きづらさなどに関する本の紹介です。

よかった本①
雑誌『いいね』     クレヨンハウス

”あらゆる「バリア」をなくし、みんなが生きやすくなる新しいバリアフリーを!”
と題して、社会の中にあるバリア(障壁)をなくしていくためにさまざまな分野で活動されている方々と活動について紹介されています。

                                          「いいね」69   2023.10

本文より

社会的障壁(バリア)が「障害者」をつくる
 
いま障害を考えるうえで必要とされているのが、「医学モデル」ではなく「社会モデル」で理解すること。
「医学モデル」は、従来からあった考え方で「そのひとに障害があるから暮らしづらい」、つまり、障害を個人の側の問題として捉えるもの。これに対し「社会モデル」は、社会が〈健常者〉にだけ使いやすくなっているために、障害というものが生まれてしまっている」と考えます。

「いいね」p6より抜粋


世界ではじめて盲ろう者の大学教授となった福島智さんが代表をされている、東京大学先端科学技術研究センターではバリアフリー研究がされています。その研究室の研究員である大河内直之さん(表紙の方・視覚障害者当事者)のインタビューの言葉を読んでハッとしました。

「障害は社会が生み出した『害』であり、個人に原因があるものではないという観点から、被害者や被災者と同じく、『障がい者』や『障碍者』ではなく『障害者』と表記するべきだと、わたしたち福島研究室は考えている」

「心身の特徴を『差し障り』としている社会に対して、問い直す必要がある」
(大河内さん)

p6より抜粋


”障害は社会が生み出した『害』である”
そういうことだなぁと感じました。
身体的・精神的な障害がある方、病気や疾患がある方、生活に困窮している方など…
当事者と〈健常者〉との間には断絶があること。
その違和感のような感覚をずっと感じてきたけれど、それはここに書かれていることだったなぁ…と思いました。
(病気や障害がある人に対して、個人の側の問題として捉えられること。その人に問題があるから生きづらいのですよ、という考え方に対する息苦しさ。)

“病気”や“障害”は誰でもなる可能性があるけれど、たとえば理解されにくい、孤立しやすいなどの精神的問題の他にも、現実的に多くの問題が重なって起こってくることが多いと思います。
私の場合の例をあげると、履歴書に空白の期間(働けなかった期間)があることで面接の書類選考の時点で落ちやすい、など。その時に理由を聞いた訳ではないですが何度も同じような経験をしてきました。
また、就労の問題や困窮など経済的問題を抱える人たちに対して、その個人の ”努力が足りない” という捉え方もふつうによくあることだと思います。
 

きれいなことばかりじゃなく、簡単じゃないことばかりだけど。好きなことを思ったり、誰かを思ったり。
心にお守りを持つことかなぁと思う


よかった本②
凸凹あるかな?わたし、発達障害と生きてきました
著 : 細川貂々 監修 : 山登敬之 平凡社


漫画家・イラストレーターである細川貂々さんのご自身の発達障害の経験のお話。絵が素朴でかわいらしくホッコリ。発達障害のさまざまな特性などについて詳しく書かれていて勉強にもなります。
たいへんだった経験を漫画で伝えることでいろんな人の励ましやちからになっていること。とっても素敵だなぁと思います。

※私自身は強迫症(OCD)の症状でてんてこまいできたので、発達障害について受診して調べるようなことはなかったのですが、HSP(繊細で敏感な体質)という体質はあるし発達障害もあるんじゃないかなとは思う。

私は自分に発達特性があると知った日のことを今でも鮮明に覚えています。
先生に「特性があります」と言われたとき、目の前が真っ暗になりました。「ということは、もうフツウに生きていけないの?」と絶望的な気持ちになりました。私は何が何でもフツウになりたかったし、ある程度うまくいってるのかなと思って生きてきたのに、特性があるのだとしたら全然ダメなんじゃないかーー私にとって「フツウ」に生きられないことは恐怖でした。

「凸凹あるかな?わたし、発達障害と生きてきました」p198より抜粋

自分が楽になって、まわりを見てみると、同じような特性を持った人がいっぱいいて、そして、生きるのがとても難しそうです。「発達障害だとまわりに知られたら生きていけない」と言う人もいました。私と同じように「フツウ」に生きられないことで苦しんでいるのだと思いました。

p199より抜粋

監修の精神科医の山登先生が後書きにこのように書かれています。

“発達障害の人たちは社会的にはマイノリティです。この世の中は当然ながらマジョリティ仕様にできていますから、発達障害の人たちはさまざまなところでストレスを感じることがp199より抜粋

p196より抜粋


最初に紹介した「いいね」のところでもあったけれど、社会が〈健常者〉仕様にできていて、〈フツウ〉を求められ〈フツウ〉が良しとされている。そこのレールから外れることは恐ろしいから、体調を崩すほど頑張ることになったり、自分を見失ってしまうのかと思います。

社会のあり方と本当の自分のはざまで、困難や生きづらさが生まれるかと思います。精神的・現実的にさまざまな壁がある中で、自分らしく生きるって決して簡単ではないこと。

けれども世界中でさまざまな出来事が起こっている今、本当に多くの人が強い不安を感じたり問題にぶつかっているとも思います。
大きなことをなんとかしなくちゃ…と思うと滅入ってしまうから、身近なことを大切に、小さなことからと思って過ごしています。
冴えなくて全然駄目だったなー…そんな日ばっかりだったりもしますが、小さなよろこびを探していけたらと思います。


とある生きづらさのお茶の会♪
人は心の内を少し話すことができたらそれだけで少なからず気持ちは変わる。 ひとりの時間も大切だけれど、人も必要。ほっとできるような時間が必要。