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2023年 30冊目『キャッチ・アンド・キル』

MeTooのきっかけになったハリウッドで有名なプロデューサ ハーヴェイ・ワインスタイン(恋に落ちたシェイクスピアでアカデミー賞作品賞を取っている。イギリスやフランスから叙勲されている)のハラスメント事件のノンフィクションです。

浜田啓子さんに紹介してもらった、『その名を暴け』はニューヨークタイムスの2人の記者が書いた本でした。

この本は、アメリカのテレビ局NBCで働いていたジャーナリスト、ローナン・ファローさんという方の本で、ピューリッツァー賞も取られている方が同じテーマで書かれた本です。

どうやら彼もニューヨークタイムスもワインスタインのセクハラを追いかけていたのですが、彼が本筋だったようにも思えます。

ワインスタインは露骨にテレビ局の上層部にもプレッシャーをかけ、彼のセクハラが表に出ないようにします。

彼の上司たちは最後まで隠ぺいしようとしていたことが本に書かれています。

セクハラ被害者への取材も直前でNGを出します。

たいした理由もないのに、役員会でのNGを出し、プロジェクトを遅延させます。

このテーマを取り上げなければ、他の部署での昇進を仄めかします。

業務委託メンバーの契約を切り、彼を孤立させます。

今までは、それで何とかなっていたのでしょう。

今回は、著者のファローさんや同僚が腹を括ったことで陽の目を見たのです。

少しの違いで、結果、ワインスタインの悪事が世の中に出たのが良く分かります。

現場の担当者の強い思いと職業観が世界的なムーブメントを引き起こしたのです。

でも、この本を読むと、お金があって立場がある人は、悪事を働いても簡単にもみ消す力があるのが良く分かります。

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