2018年 44冊目『重力波 発見!』
アインシュタインが存在を予言した「重力波」が2016年に初観測されました。
しかし、重力波って何だっけ?
きちんと説明できないな。
と思い、手に取りました。
この半世紀の基礎物理学の成果は3つあります。(あるそうです)
・W粒子・Z粒子の発見:1968年に存在が予測され83年に初観測。弱い相互作用を媒介する素粒子。
・ヒッグス粒子の発見:質量発生の仕組みを説明するための「自発的対称性の破れ」理論を裏付ける粒子。
・重力波の初観測:この本のテーマ
重力波が見つかると何がうれしいのか
・相対性理論:時間と空間に対する考え方の革命
運動している時計はゆっくり進む
運動している物差しは縮む
宇宙がニュートン方程式ではなく、アインシュタイン方程式で支配されていることを直接的に証明できる
1916年2月11日午前10時30分重力波の初観測発表
・地球から13億光年離れた場所で太陽の36倍と29倍の質量をもつ2つのブラックホールが合体したときに発生
→かなり具体的!
相対性理論までの物理学の歴史
・17世紀にニュートンが天体力学と地上の力学を統一する重力理論
・19世紀にファラデーとマクスウェルが電磁気学
・20世紀にアインシュタインの特殊相対性理論:ニュートン力学+マクスウェル電磁気学
ニュートンとアインシュタインの重力への考え方
・ニュートン:物体と物体の間に一瞬で働く遠隔作用
・アインシュタイン:4次元時空である重力場がもたらす
電磁気学の電磁場、同様に重力場の存在を想定
・重力が弱い場所ではニュートン方程式もアインシュタイン方程式も成立
・重力が強い場ではアインシュタイン方程式だけが成立
ファインマンのビーズ玉思考実験
・頭の中で棒に何個かのビーズ玉を通す。重力波が通り過ぎるとビーズ玉は動く。しかし棒は動かない。棒の原子内の電磁力が原子の位置を変えないように働いているから。だから、ビーズ玉は棒と摩擦を起こす。摩擦は摩擦熱となってエネルギーを放出する。このエネルギーは重力波が運んだ。だから重力波はエネルギーを持っている。
時間についてどう考えていたのか
・ギリシャ思想:円環する時間。時間を数として考えていた。
・ユダヤ・キリスト教思想:終末論とあいまって、始めと終わりがある線分でとらえる
・ニュートン:絶対時間、実態空間の存在→重力波の存在により否定
・重力波とは時間のゆがみを伝える波
1905年
・特殊相対性理論、光電効果の解明、ブラウン運動の解明
が発表
1916年
・一般相対論の基礎を発表
重力が存在すると、4次元時空の座標系の目盛りは場所ごとに間隔が異なることに気づいた
・場所を特徴づける10個の数値セットは
1)時間と長さの目盛りを大きさを決定する
2)重力場を表すもの
この両方の機能があることにアインシュタインが気づいた
いろいろ難しいですが、知的好奇心を刺激する本でした。
▼前回のブックレビューです。
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