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サウナレビュー サーマルクライムスタジオ富士(静岡)~マウンテンの頂上を目指すサーマルアドベンチャー~

徐々に体温を上げていくことを目的とした「熱の登山」がコンセプトの会員制サウナ施設。非会員の一般利用も可能なので、会員は年会費の代わりに利用料が安くなるのがメリットとなっている。

施設自体のデザインや雰囲気はかなり良く、随所に富士山をイメージしたデザインが散りばめられていて面白い。

フレンチのフルコースを楽しむかのようなサウナフルコースを楽しめる施設ということで、既存のサウナ施設とは一線を画す存在といえよう。

評価:★★★★★


サウナ

マウンテンサウナ

日本最大級の高低差を謳うメインサウナ。アウフグースイベントなどもこちらで実施されていた。最高温度は130℃という驚異の熱さを誇る。ただし、この温度はアウフグースの際に全四台のストーブをフル稼働させた時のみということで、通常時は暴力的なほどではないので安心して欲しい。

段差の高低差が大きく、一段ごとに10℃の温度変化が楽しめる設定となっているそう。サウナの練度に差がある仲間とも楽しめる設計で、シンプルなサウナのなかにも一工夫が垣間見える。

ケロサウナ

こちらも日本最大級のケロサウナということでなんと総工費は6000万円とのこと。高級ハウスメーカーで建てる広々とした一軒家と変わらないお値段のサウナである。

その理由としては何といっても木の宝石とも呼ばれる最高級木材であるケロ材(樹齢200年の木を100年かけて立ち枯れさせたものだそう)で作られていることに由来している。

国内にも内装に薄くスライスしたケロ材を用いただけのなんちゃってケロサウナは数多く存在するが、こちらは建物構造そのものにもケロを使用していて、圧倒的にケロを全身で感じることができる空間となっている。

テルマリウム

古代ローマにもあったといわれるテルマリウム。スチームボタンを押すことでしっかり湿度を上げて熱めのセッティングにすることが可能。
さらに日本初となるクールアウフグースもボタンを押すことで体験でき、サウナ内での温冷交代浴を実現するという非常に面白いコンセプト。

ベンベルグサウナ

非常にコンパクトでロウリュの対流がサ室内に伝わるタイムラグを極小化したサウナ。温度、湿度、雰囲気の三拍子が揃った非常に優等生なサウナである。特徴的なのは天井が平面でなくところどころに凹凸があることで熱気の対流をコントロールしている点である。デザインとしてみてもかわいらしい積み木細工のように感じられ、非常に整った機能美ともいえよう。

エコサウナ

50~60℃程度のゆったり温まれる採暖室のような薪サウナ。太陽光などの自然の熱も有効利用しているとのこと。サウナとしての利用というよりは談話室のような使い方を想定されているよう。天井がガラス張りになっていて、夜は満天の星空を眺めながら、Bluetoothを利用して室内で好きな音楽を楽しむといった最高にお洒落な使い方ができるらしい。

水風呂

ツインウォーターと名付けられた二種類の水風呂が用意されている。それぞれの温度は季節によって変わる。富士山の伏流水を利用した天然水の柔らかさを存分に感じられる。

COLD(14~19℃)

しっかり冷やせるいわゆるノーマルな水風呂。

WARM(30~35℃)

不感湯と呼ばれる暖かくもなく、冷たくもない絶妙な温度帯の水風呂。水風呂に入った後の外気浴タイムに利用することで得も言われぬ浮遊感を味わえる。また、ぬるめのサウナに入った後の穏やかな温冷交代浴にも最適である。

桶水風呂

ケロサウナが設置されている野外スペースには動線を意識して桶タイプの水風呂が設置されており、こちらも十分な冷たさ。

外気浴

外気に限らずラウンジスペースでのガウンを着ての休憩も可能。ソファや絨毯が敷かれており、リラックスには最適。

椅子はそこかしこに用意されており、特に不自由を感じことがなかったのでもはや意識の外側だった。

野外スペースにはしっかりリクライニングできるチェアも完備。

サーマルアドベンチャー体験について

1合目~3合目までスタッフのガイド付きで熱の登山を楽しめるコース。初めから自由に好きなサウナに入る選択肢も選べるが、初回はこちらの体験をオススメしたい。特に最後の〆以外では水風呂に入らないというところが、これまでのサウナ体験の常識を覆すことになってとても良い。

1合目

まずはマウンテンサウナの中段でゆるやかに体を温め、汗を流した後は水風呂無しでラウンジの絨毯にて寝そべって休憩。

2合目

続いてはベンベルグサウナでしっかり目に身体を温め、水風呂ではなく不感風呂にてゆるやかに休憩。この時点で身体は温まりつつもサウナ浴の気持ち良さも同時に体感できる感覚が近づいてくる。

3合目

最後の〆はテルマリウムにて限界まで自分を熱した後、ドイツ発祥のクナイプ冷水療法をスタッフにて実施してもらえる。程良いスチームサウナなので、限界までと言っても無理なく身体の芯まで温めることができる。

ちなみに本当に限界まで温めた同行者曰く、「早く水風呂に入りたくて気が狂いそうだった」とのことなので、普段のサウナ浴の3セット目に長めにキメるサウナ、ぐらいの限界を目指した方が良いかもしれない。

冷水を全身に浴びて、まるで全身が水風呂に徐々に包まれていくような不思議な感覚を味わった後は、念願のクールダウンということで水風呂にダイブ(潜水可)。

その後は不感湯にてととのうもよし、ラウンジで休憩するもよし、ノーマルにととのい椅子で休憩するもよし。いずれにせよゆったりと時間をかけて身体を温めた後の念願の温冷交代浴の気持ち良さはヒトシオである。

総評

まるでフルコース料理のようなサウナ体験、という看板に偽りはなかった。大変満足度の高いサウナ施設でスタッフのホスピタリティも良い。ホテルのようなハイクオリティの接客というわけでは決してないが、カジュアルな接客ながらサウナが好きなことが随所で伝わり、とても心地良かった。

予約時は体験利用でも5hという時間設定に驚いたが、食事の時間も含めて本当に丁度良い時間設定だった。宿泊などで一日利用すればBBQなどキャンプ体験に近い楽しみ方もでき、本当にまだまだポテンシャルを秘めた施設であることが感じられた。

大自然のなかにここまで大規模なハイクオリティサウナ施設を設営したのは本当にチャレンジングな試みだと思う。入浴グッズを販売するメーカーが運営しているとのことだったので、広告宣伝費も兼ねているのだろう。

スタッフによるアテンドを受けるタイプのサウナは自由に入りたい人にとっては障壁に感じられることもあるが、この施設は押しつけがましさは一切なく、好みに合わせたサウナ体験ができるのでサウナに不慣れな人でも十分に楽しめるだろう(ただし、余りにも唯一無二なコンセプトの施設なので、ココでサウナにハマったとしても、ココ以外の施設に行けるかはわからないが笑)。

ただ、個人的にはサウナ初期のととのい至上主義時代を経て、サウナ中期以降のととのいが遠のいてきてより強い刺激を求めがちなタイミングでこそ刺さる施設に感じた。

そんな時にこそ、この施設を訪れれば、刺激やととのいを追い求めるだけがサウナ体験ではないことを教えてくれるだろう。

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