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お雛様を買いたくなかった。

お雛様選びの投稿をSNSでよく目にしたり、友達に聞かれたりすることが増えた。
我が家もお正月明けにお雛様どうする問題が話題に上がり、決着がついたのでそのときのことをまとめておきたいと思う。

ひな祭りってそもそも何

我が家は夫が「お雛様買ってあげたい」と言い、私は「あんまり買いたくない」と平行線に。

そのときはなんとなく嫌だ、という大きな気持ちがモヤっとあって、でも我が家は家事も育児も自立型(分担ナシ、できることはできる人がやる、で両方結構いい感じにバランスをとっている)なのでどちらの意見が優先とかはナシ。
とにかく夫の意見に一度寄り添い、お雛様について調べてみることにした。

お雛様は一人一人の厄を受けてお守りする身代わりなので、一人一つ持つのが基本。
ただし美術品やインテリアとして持つ人もいるし、受け継ぐ人もいる。
昔から今にかけて意味合いが変遷してきているので、正解・不正解はない。

雛人形については、大方こんなことが書いてある。
たしかに周りでも自分の雛人形を引き継ぐという人が多いし、当たり前だけどどんな考え方を採用するのはその人次第。

桃の節句は、五節句のうちの一つである「上巳の節句」の別称。

この日、水辺に出て不祥を除くための禊(みそぎ)祓(はらえ)を行い、宴会を催してお祝いをしました。古代中国では、初めは巳の日でしたが、魏の時代より3日となったそうです。
中国でのこの行事のいわれは、けがれを祓い清める招魂の意味が強かったようですが、日本独特の祓(はらえ)の思想と結びつきました。

こんな話知ってる?雛人形豆知識

昔は子供が元気に育つのも大変なことで、この日に子供の災厄を祓ったのだとか。

その祓の道具の一つが人形(ひとがた)であり、これと平安時代に上流階級で流行した「ひいな遊び」が一緒になったものが雛人形。
そんな風習が時代を経て一般階級にも広まり、だんだん飾り雛という今広く知られるものになっていったのだそう。

男女を分けて祝う理由は?

一方で、なぜ雛人形を買うことを「なんとなく嫌だ」と思ってしまったのか、理由を整理してみた。

・マンションだし、お雛様の収納場所に困る。
娘にとって重荷になるかもしれない。
・女の子は雛祭り、男の子は子供の日、と男女を分けて祝う必要があるのか不明。
・雛人形は結婚式の様子、結婚して幸せになれるようお祈りするもの……結婚=女の幸せという刷り込みを娘にしたくない。

この娘にとって重荷になるかもしれない、というのが最大の理由だった。
重荷というのは、気持ち的な意味でも収納場所的な意味の両方。
収納については、実際私が結婚したとき親に「持っていきなさい」と言われ、すごく困った&戸惑った経験があり……。
こんな大きい桐箱、どこに置く?私が買ったものじゃないのになぜ?と思ってしまった。
結局「母は嫁入り道具として持たせたかったのだな」と理解・納得して持ってきたし、今となってはよかったなと思うけど、未だに5ミリぐらいは実家に置いたままにしておける方が羨ましい

そして、私のお雛様は母がかなり吟味して買ってくれたものだった。
お顔が美しく、着物も綺麗で毎年飾り大事にしていたのだけど「お雛様は結婚式の様子なんだよ」と教えてもらったことを覚えている。
どんな言葉で語られたか忘れたが、幸せな結婚ができるように飾られているのだと思うと、子供心にすごいプレッシャーを感じた。

さらに大学時代に女性学・ジェンダー論を学んだ身としては、わざわざ男女を分けてお祈りをする必要があるのか疑問に思うところもある。
伝統的なものなのでもちろん一概には言えないが、たとえば女の子として生まれてきた娘が、男性として生きていきたいと思ったら?
自分の性別を男女で分けたくなかったら?
どちらの可能性も十分あり得るのに「女の子だから」と決めきってずっと残るであろうお雛様を買うのは、少なからず抵抗がある。

お雛様を見に行ってみた

でも、調べるうちに「とりあえず見に行ってみよう」と思うようになり、夫とお雛様を実際に見に行ってみることに。
東京の東の方に住んでいるので、百貨店(高島屋・三越)→人形街のある浅草橋をまわった。

正月休み明けの百貨店はどこも(?)雛祭りフェアをやってりいて、広い会場で押し売りもなくゆっくりと眺めることができてよかった。
雛人形は衣装着人形と木目込み人形の2種類があることも初めて知った。

その後行った浅草橋の人形屋では、店員さんからお雛様のことをたくさん聞けるのが魅力的
種類も豊富で、コンパクトな衣装着人形や雛人形をそのまま収納できる「収納飾り」や、そのまま出して飾れる「ケース飾り」もたくさん。
収納に困りがちな、現代のお雛様事情が考えられていた。

コンパクトなお雛様なら、アリかも

お雛様を見ているうちに「娘の健康と幸せを願って両親(私たち)が買ったんだよ、と伝えるのはいいことなんじゃないか」「買える経済状況なら、買ってあげたい」と心境の変化が。
たくさんのお雛様を見る中で、職人技とその美しさに心を奪われたのもある。(大袈裟かもしれないけど、実際見ると本当に綺麗!)

結局、私たちは人形屋でコンパクトな親王飾り(男雛と女雛のペア)の雛人形を買った
ちなみに「女の雛人形だけ買うことってできますか?」と聞いたらそれはできないそうだった。
災厄を引き受けるためなら、別に結婚式の形を取らずとも一体でもいいのでは?と思ったんだけどなぁ……!

ちなみに、いろんなお店で話を聞く中で「実は周りの飾りはそれほど大切ではないんですよ。桃の節句の日は、本物の桃の木の枝と菱餅を飾れば、それも素敵です」というお話に納得、素敵だと思い、夫婦で飾りを買うつもりはあまりなかった。
でも、購入したお店でいらないと伝えたところ、おまけでつけてくれるということだったので一緒にいただいた。
代わりに、自分のお雛様の屏風や車などの飾りはこれを機に処分することにした。

購入したのは、令和元年の天皇陛下御即位礼で天皇皇后両陛下がお召しになられた装束を再現した衣装着人形。
娘が生まれたのは令和3年、娘にあなたが生まれた時代はね、と話すきっかけにも記念にもなるのも決め手だった。

性別問題は未解決

お雛様を購入しました、はいおしまい。ではない。
私たちは娘に女らしさを強要したくない思いから、名前も性別を選ばない響き・漢字で名付けた。
これからは娘に雛祭りをどう伝えるかが大切になると思う。
日本の伝統と雛祭りがどんな思いで子に与えられてきたか、ということを伝えたいし、願わくば娘が「愛されて育ったんだなぁ」と思う日がくれば幸せ!

出し入れが楽なケース飾りにも心惹かれたものの、お雛様を娘と一緒に出す・しまうのも、面倒だけど豊かな時間だなぁ、と憧れてしまい普通のものにした。
いつか面倒になること必至だけど、私が面倒がる姿見せたら娘も面倒がること間違いなしなので頑張ります。
「しまうのが遅くなると結婚遅れるからどうこう」とかは絶対に言わない!
早く結婚するも結婚しないも娘の自由だ。


その後、お雛様を華やかに見せる吊るし雛と、娘の名入りの名前札を母が買ってくれた。
これからは毎年(娘が嫌と言わない限りは)、我が家では二つのお雛様を飾ることになる。
小さな金屏風のお雛様と、慣れ親しんだ私のお雛様。
娘が生まれてから初めて見る自分のお雛様に「無事こんなに大きく育ちました、ありがとう」と思うだろうし、娘のお雛様を見ては「今度はどうか娘をお守りください」と願うことだろう。

もしかしたら「お雛様」でこんなに語る奴いないんじゃないかと思うけど……私は、買うことを決める前にたくさん調べ考える機会ができて良かったと思うし、その結果納得のいく形で雛人形を飾ることになり本当に良かった。

こうやって悩んだことも、娘にいつか伝えようと思う。


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