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バイオリンを楽しむための維持費は?

バイオリンをきちんと楽しむために必要な維持費とは?

バイオリンやフルート...お高くとまってそうなこの二つの楽器。探せばおよそ6万円程度で基本的なものを揃えることができます。実はオーケストラの楽器の中では最も身近に感じられる楽器と言えます。

バイオリンの場合、ピアノと違って調弦は自分で行いますし、管楽器と違って細かなメンテナンスを行わなくても音は出ます。しかし、これが落とし穴。
健全な耳、健全な技術のために楽器の状態はしっかり維持したいものです。
問題は、どれくらい維持費がかかるものか、です。
いずれも提供元により大きく差があるため、経験から感覚的に書いてみます。

<グループ1>------------------------------------------------------------------------
弦...例)1セット約5000円
切れたら替えるもの、というのは誤りです。
弦の銘柄によりますが、毎日弾いているならせめて半年に一回は交換したいもの。音程も合いにくくなりますし、何より楽器の振動も変わります。つまり左手にも右手にも影響します。

弓の毛の毛替え...例)一回約6000円
こちらも消耗品。馬の尻尾のキューティクルが擦れてくると摩擦がなくなるので、音が出しにくく、せっかくの右手の訓練も台無しに。出来れば湿度が変わる夏前と冬前の年二回。せめて年一回は!

湿度調整/乾燥剤...例)約1,000円
夏場は楽器が湿度で変形します。積み重なるとグループ3の修理になる。これを防ぐための保険と思えば安いもの。

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ここまでがよくあるお話。
年に約25,000円くらいでしょうか。
どちらも年一回に抑えるとおよそ15,000円。

さてここからが本題。

<グループ2>------------------------------------------------------------------------
駒交換、調整...例)約5000円
割れたりすることはほぼありませんが、反ってしまったり、弦の圧力で縮んだり、弦の溝が掘れてくると振動に問題あり。数年に一回。

指板調整...例)約15,000円
指板も真っ直ぐではなくて、コーニッシュというカーヴがついています。これは音色の面でも、音程の面でも侮れません。数年に一回。
なんども削る訳にはいきませんので、10年くらい使うと指板交換です。

上ナット調整...例)約5000円
ここも弦が溝を掘っていきます。音程やノイズの問題につながります。ここも、簡易的な埋め方があるものの、何回目かで交換です。

魂柱交換...例)約5,000円
楽器には弦の圧力が数十キロかかります。それを支える部品の一つが魂柱。長さの調節が必要なことがあります。数年に一回。

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これらは、本体の各部品ですがやはり木である以上擦り減りますから消耗品。それぞれ早くて五年に一回くらいでしょうか。

5年から10年で約30,000円。

そして、ここからがちょっと大掛かり。

<グループ3>------------------------------------------------------------------------
ネックリセット...例)10万円オーバー覚悟
湿度調整をきちんとしないとやってくる。ネックをボディから抜いて正しい角度で挿し直します。これには指板や駒、魂柱、上ナットが基本的についてくるので大修理。
お気付きの方もいる通り、仮に6万円で購入した楽器でネックリセットをするでしょうか?割に合いません!つまり、正攻法ではない修理ももう少し安価で存在します。

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ここまでグループを分けて、ざっと挙げてみましたが、これはあくまでも基本のメンテナンス。日頃の維持管理をキチンとしていればグループ3は不要です。

そう考えてみると、

仮に10年弾くとして...本体の購入を入れても約25万円〜。

1か月約2,000円〜。

すごくフレンドリーな感じがしませんか?
どこにでも連れて行ける。
人といっしょに弾ける。
人と繋がって行ける。

バイオリンはそんな存在なのです^ - ^ 

お坊ちゃんお嬢様イメージは捨てましょう。

同じご予算でアコースティックのピアノを買って、10年間調律できるでしょうか?おそらく無理です。別にピアノを否定するわけじゃないですよ!

もちろん木の材質や作り、弦や毛、こだわり始めたらキリはないですが、初めての方もしっかり楽しめるラインで考えてみたところ、こんな感じでした。改めて書いておくと、ヴァイオリンの調整...整体のようなものですね...正しいセットアップには技術が要ります。その技術料だけで数万円です。だとすると、1万円の楽器って...( ゚д゚)車検を通っていない車と同じです。

※修理代はあくまでも一例です。技術料だとしても楽器店の立地によってその土地代、材料も問屋さんを経由している場合、仲介者の利益が上乗せされているため同じ程度の仕上がりでもお値段が全然違うことがあります。

※次はプロ仕様の楽器や、がっぽりバイオリンにハマり、どっぷり浸かった場合のお話を書こうかなと思います。


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