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Lyrics #79 それから

三陸自動車道を利用したことを機会に、震災のことをテーマにした作品を前作「Lyrics #78 これから」として投稿させていただきました。

何度か三陸を訪れたことは前作の前書でもふれましたが、その都度、橋や道路、港や防波堤、街並みなど物理的な復興の経過も見てきましたし、度々各地の「道の駅」に立ち寄ると、生産や物流の復活によって、店頭に並んできた産物や製品も変化していて、それを体現できました。
また、ボランティア活動はわずかでしたが、特に宿泊した時には現地の人とふれあう時間も多くもつことができて、人々の暮らしぶりの変化や、気持ちの変化も感じてきたつもりでした。

ただ、あれから10年余、この間何度か三陸を訪れて、今になって振り返ると、自分の記憶の中でその何度かの記憶が混じったり、交錯していることに気づきました。
下書きしている時に、時間軸に並べて思い出してみた記憶が、前後していたのです。

時間軸の線の自分の立ち位置は、あれから、それから、これから・・・と、変わるのですが、それぞれの時間軸においていた自分の記憶、その時感じていた思いが交錯していて、とても戸惑ってしまいました。

前作の前書に記したように「人の命も暮らしも、全てを失うという点ではこんな災害は戦争と同じなんだ」と言う人の言葉を思い出し、この震災の想像を超える大きさと、そして再生復興の力、これもまた戦後と同じように信じられない大きな力、時間を要していて、人ひとりの認識力、記憶力ではまともに受け止められないものと・・・。

作品の下書きメモには、僕の三陸への想いからか、あのとき、あれから、そのとき、それから、が入り混じり、時間が経つと、そのメモにたくさんの出来事が前後して交錯していることに驚き、こんなことを感じたのです。
今回、メモに残した言葉のどれにも鮮明な記憶や思い出があり、物語や背景がつながっていて、1つの作品にして残りを捨てきれず、結局あと2つの作品を追加して、僕の稚拙な歌詞ですが「三陸三部作」としてみることにしました。


「Lyrics #78 これから」に続き、「Lyrics #79 それから」、「Lyrics #80 あれれから」の2つの歌詞を作りましたので、今回 #79 を投稿させていただきます。

なお、どちらの写真も #78 の色調を変えた写真にしてみました。
よろしければ、#78 ~ #80 をご覧ください。


Lyrics #79 それから

私がこの海を 見つめていると
いつも心配そうに のぞく彼
寝ぐせのまま 昨日と同じ服で
朝早くまた 飛んでいく彼は
二人で決めた この街と
この空と この海が
あの頃と違う 景色だとしても
それから たくさんの思い出と
それから たくさんの優しさと
もう一度 生きていこうと


私がこの海に 涙ながしたら
下を向いて 黙ってしまう彼
無理をしないでと 口癖のように
私もまた同じ 気持ちなのよ
二人で決めた この暮らしと
この空と この海が
少しずつ いつか少しずつきっと
それから たくさんの思い出と
それから たくさんの優しさと
また愛して 生きていこうと


二人で決めた この街と
この空と この海が
あの頃と違う 景色だとしても
それから たくさんの思い出と
それから たくさんの優しさと
もう一度 生きていこうと

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