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僕らが目指す加工食品のプラットフォーム事業の面白さについて

今年から自分たちの事業を「食品業界のプラットフォーム事業」から
「加工食品のプラットフォーム事業」と定義し直しています。

事業領域を「加工食品」にフォーカスしたことで、生鮮の肉・魚・野菜は取り扱わず、加工食品一本勝負になるということになります。

食品業界で18年。

よくよく振り返ってみれば、僕は加工食品を川上から川下まで経験してきたし、どっぷりとその魅力に嵌ってきました。

改めて、自分が魅了され、得意としてきた場所でプラットフォームを作ることで全国の工場で製造される食品が全国に広く流通され、人々の仕事や暮らしを豊かにするという未来を作りたいと思っています。

自己紹介も兼ねて、僕がどういう経緯で加工食品と関わり、どのように魅了されていったかを書いてみたいと思います。


「食品原材料の魔術師」時代

僕の食品業界のキャリアは18年前に妻の実家の食品原材料問屋に入ったことからスタートします。

工場に食品原材料を販売する仕事で、その中でも主に食品添加物を中心に販売を行っていました。

パッケージの裏側の「原材料名」に書いてある酵母エキス、増粘多糖類、香料、パプリカ色素などの一般の方に馴染みのないものを広く取り扱っていました。

食品添加物は、pHや水分活性やイオンなど化学的な要素や人間の味覚についての生物的な要素も絡んできて、高校まで理系だった僕にはかなり面白い分野でした。

工場の開発の方と「ゼリーの食感を変えるには?」「煮豆の輝きを良くするには?」
などというマニアックな事に取り組んでいて、原材料の組み合わせで、味・食感・香り・見た目を自由自在に表現できることにワクワクしました。

当時は、仲間から「食品添加物の魔術師」というニックネームで紹介されていました。
実は今でも、マニアックで一番好きな領域かもしれません。


PB・OEM商品をひたすら作っていた時代

ただ、「原材料の卸売」は事業として1点難点がありました。

食品添加物は、食品に1%とか0.1%程度しか入れないので、あまり売上が上がる事業でなかったということです。

例えば、1%の添加量のものを10kg納品すると最終商品は1000kg出来てしまいます。
¥1,000/kg×10kg=¥10,000の売上なのにです。

年間で150商品の原材料を販売しても数千万の売上にしかなりませんでした。

これは、何か新しい事業を考えなければと、入社して2年後には考えていました。

食品原材料の知識と納品先の工場のネットワークを活用して、
何か新しいことが出来ないだろうか?

妻の会社に入る前は、新卒で英会話教室のNOVAの広告の部署にいました。
僕が辞めた後にNOVAは悲しい結果になりましたが、当時は会社も元気な時でした。

NOVAうさぎのCMが、今でいう「バズった」時に現場にいたので、NOVAうさぎのかばんを作ったり、シールを作ったり、着メロを作ったり、ぬいぐるみを作ったり、何でも作る部署にいて、「ものづくり」のノウハウは何となく掴んでいました。

そこで食品で何でも作れる会社があったら需要があるのではないか?
と考えて、営業を開始しました。

食品を開発したいけど工場を知らない、加工食品のノウハウがないということで困っている会社は沢山あって、最初から大きな手応えがありました。

クライアントから様々な依頼を受け、今まで原料を納品していた工場に依頼して、商品開発を行い、納品していく。

このモデルは当時は新しく、集客用のWEBサイトを立ち上げて、SEOを効かせて集客もしていたので一気に売上が上がっていきました。

スーパー・外食の惣菜、健康食品、アーティストのコンサートグッズ、土産品などありとあらゆる商品開発を通じて、沢山の工場と知り合うことが出来、沢山の商品開発のノウハウを溜めていきました。

EXILEやしょこたんのグッズなどでは、芸能事務所など異業種の方との仕事も刺激的で、首都圏のバイヤーと一緒に商品を次々と開発していきました。

フェリシモさんとの商品開発で本当の面白さに気付く

その中でも、神戸にある通販会社のフェリシモさんとの商品開発は僕に加工食品の本当の面白さを教えてくれました。

加工食品は何でも自由に開発できる面白さがある代わりに、ニーズがない商品を開発してしまうと全く売れないという恐ろしい事態になります。

野菜、魚、肉はそもそもそれを食べるというベーシックなニーズがあるので、全く売れないということはありませんが、加工食品は売上0円があり得るシビアな世界です。

プロダクトアウトで商品作りを行うのは極めて危険だと感じました。

フェリシモさんとの商品開発は、徹底したマーケットインでの商品開発でした。
ただのマーケットインではなく、「ともにしあわせになるしあわせ」というビジョンが商品開発にも浸透していました。

「この商品は20代の女性がターゲット」くらいは僕も考えてきたことがありましたが、フェリシモさんの商品開発は、「誰が」「いつ」「どこで」「どのように食べて」「どのような気持ちになるのか?」「それはその人をどのように幸せにするのか?」を徹底的に考えるものでした。

土曜日の13時くらいに平日頑張ってきたOLさんが自分へのご褒美に食べる野菜たっぷりのスープで、食べながらアジアのおしゃれなカフェに行った気分になれるエスニックテイストにする。

12ヶ月のお菓子キットを提供することで、12ヶ月後にはお菓子作りの知識がつき、その人の成長につながる。

などとコンセプトを決めてから商品開発を行います。

ここまで決めると商品開発はスムーズで迷いがなくなります。
1袋を何gにするべきか、パッケージの外装はどうするのがいいか、スパイス感はどれくらいがいいかなどが1直線に決まっていきます。

売れた商品も売れなかった商品もありましたが、売れなかった時でも仮説を立てているのでどこが間違っていたのかが分かりやすく、商品開発はどんどんと楽しくなっていきました。

加工食品の開発を通じての学び

加工食品の開発を通じて、「人間とは何か?」ということを深く考えるようになりました。

「20代の女性」というターゲットは本当は存在しなくて、ターゲットにするべきなのは「人間の感情」だということ。

月曜日の朝起きた時、土曜日の昼下がり、日曜日の夕方。。。
同じ人でもその時々で感情が違います。

落ち込んでいたり、頑張ろうと思っていたり。。。

食品の商品開発は、この感情にアクセスし、その気分を上げてあげたり、癒やしてあげたり、時には励ましてあげたりするものだということを学びました。

食品の開発というフィルターを通して、人間を理解し、ビジネスを理解し、食品業界にある大きな課題を理解していきました。

食品業界の課題を解決する仕組みを作りたいと思い、リンクアンドシェアを創業しました。

加工食品のプラットフォームをつくること

「食品業界に新しい街をつくる」これが僕らのVISIONです。

加工食品のプラットフォームは、左手にOEM委託工場、右手に加工食品を使いたい人がいます。加工食品を使いたい人の課題にアクセスしながら、食品工場にもメリットがある事業にしていこうと日々新しいチャレンジを行っています。

原材料のことを教えてくれた技術者の人、食品工場の加工について教えてくれた工場長、商品開発について教えてくれたクライアントの人たち。

僕に沢山のことを教えてくれた全ての人が幸せになるプラットフォームを作っていきたいと考えています。

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