見出し画像

オールタイムベストアルバムランキング100(史上最高のアルバム100)(後編)

はじめに

後半50枚。
前半の100~51位までと比べても自分の人生にとって重要な作品が並ぶ。
さすがに上位はどのランキングでも見かける作品も入ってきます。

もう順位とかいよいよ関係ないから。どれも名盤。


ルール


  • 編集盤、ライヴ盤、後年の発掘音源も含む。

  • DJによる所謂「MIX CD」は除外。

  • ワールド系がほぼないのはそんなに熱心に聴いてこなかったから。

  • クラシックは以前の職場での必要な知識しかないのでよくわからないです。

  • 以前行った「70年代ベストアルバムランキング」「80年代ベストアルバムランキング」「邦楽ベストアルバムランキング」「洋楽ロックベストアルバムランキング」で選出した作品も対象。そっちとの整合性は気にしない。そこで取り上げた作品のコメントは短めです。

  • その他のコメントも短めにまとめていますが、長期間に渡り作成しているためその時々のテンションで長くなったり短くなったりしています。

  • ヒップ・ホップに関しては今までもこれからもあんまり語る機会がないと思われるのでここで長めのコメントにしています。


50位~41位

50.Prince/Musiclogy(2004)


あまりの才能のデカさ故に迷走しているようにしか見えなかった90年代の殿下が21世紀に下界に舞い戻った1枚。スライやJB、チャック・D等ファンク闘士の名前を挙げる表題曲の骨組みだけのファンクのカッコ良さよ。ポップでファンクでロックでメロウな曲が詰まった会心作。この後しばらく作品を立て続けにリリースし、「プリンス・イズ・バック」って感じたった。最近はプリンスのことを「殿下」って呼ばなくなったね。


49.Jazz Quintet 60'/S.T.(1962)


ダニッシュ・ジャズの名盤。澤野工房が2000年代にリイシュー。この時期の澤野はヨギ・ジャズ、ミハエル・ナウラ・クインテット等々のレア盤を次々とリリースしていた。アラン・ボッチンスキー、ベント・アクセン、ビヨルネ・ロストヴォルド。素晴らしいメンツでリリカルでロマンチックでしかしハードボイルドなハード・バップを奏でる。

48.Roots/Phreonology(2002)


'90s末~00年代のヒップ・ホップ・シーンを陰から日向から仕切っていたアミア・’クエストラヴ’・トンプソン。レーベル運営~新人発掘、ディアンジェロのメンタル含めたコントロール。Jay-Zら他ミュージシャンのサポート。ベティ・ライトやブッカー・T等ベテラン勢復帰のサポート、プロデュース等…正に八面六臂の大活躍。本作はハードコアあり長尺の実験曲ありヒップ・ホップに囚われないアルバム。JBの「ペイバック」の裏ジャケを思わせるジャケもナイス。

47.福居良/シーナリー(Sceney)(1978)


海外で人気の高い1枚。本場のジャズに比べたら当然クロさはないが、軽快かつ日本人しか持ちえない情緒や哀愁を感じる名盤。

46.Five Corners Quintet/Chasin' The Jazz Gone By(2005)


フィンランドの2000年代NU-JAZZの旗手。もともとはジャズ愛好家のアンチ・エーリカイネンがトーマス・カリオと立ち上げたプロジェクト的な活動だったが徐々にコンボとしての形を作っていく。タイトル通り50年代のジャズへの憧憬を音にしたクールでヒップな作品。マーク・マーフィーやエーロ・コイヴィストイネンといったレジェンドも参加。

45.Pazant Brothers And The Beaufort Express/Loose And Juicy(1975)


編集盤の「Skunk∶Dirty Funk From Big Apple」のほうが思い入れはあるしジャケもいいのだがオリジナルをチョイス。ヴォーカル・グループっぽいジャケだがガッツリファンクでソウルでジャズ・ファンク。もともとはプーチョのバンドにいた兄弟。

44.Dirty Dozen Brass Band/Funeral For A Friend(2004)


初代のチューバ奏者に捧げられたという本作はタイトル通りニュー・オリンズの葬式をイメージしたアルバ厶。スピリチュアルやゴスペルを明るくも切なく聴かせてくれる本作は彼の地のお葬式体験が多少は味わえるのかも。

43.Sly & The Family Stone/Fresh(1973)


出会って20余年。何度聴いても未だに本作の良さがわからない。その謎を解くためまた針を落としてしまう。

42.Frank Foster/Loud Minorty(1974)


1972年説もあるドス黒ジャズ・ファンク。カウント・ベイシー楽団にも在席したというフォスターがエルヴィン・ジョーンズやヤン・ハマー、スタンリー・クラーク等錚々たる面々を迎えた1枚。ディー・ディー・ブリッジウォーターのアジりから一気に真っ黒な音の洪水に飲み込まれる表題曲。続く2曲もハイテンションのがっつり真っ黒ジャズ・ファンク。

41.坂本輝トリオ/海を見ていたジョニー(1981)


「80年代ベストアルバムランキング」にも選出。
陸前高田のジャズ喫茶での実況録音。実にリリカルなピアノの本作もまた日本人にしか出すことのできない音世界。

40位~31位


40.Wilco/Yankee Hotel Foxtrot(2002)


制作の紆余曲折を記録したドキュメンタリー「I Am Trying To Break Your Heart」と一緒に聴きたい。リプリーズとの電話のやり取り、メンバー間の争い、ノンサッチとの契約等が生々しく収録されているフィルム。本作は「Summerteeth」から本格的に始まった脱オルタナ・カントリーを推し進めた1枚。ジム・オルークを迎え当時の「音響派」に接近しつつもよりポップに仕上げた。


39.Miles Davis/On The Corner(1972)


ジャム・セッション的な演奏を延々としてテオ・マセロによって切り貼りされた作品。キモはマイケル・ヘンダーソンのベース。2000年代に出た拡張盤もしっかり押さえたいところ。1971年のライヴ発掘盤「Lost Septet」も最高やん。


38.Herbie Hancock/Flood(1975)


「70年代ベストアルバムランキング」にも選出。
日本でのライヴ。ヘッドハンターズを従えて最高のファンクを聴かせてくれる。

37.Fela Ransome  Kuti And The Africa '70 With Ginger Baker/Live(1972)


「70年代ベストアルバムランキング」には「Kalakuta Show」を選出。
60年代末~70年代初頭はポール・マッカートニー筆頭に多くのロック・ミュージシャンがアフリカへ渡ったがジンジャー・ベイカーもその一人。本作はフェラとの共演盤でトニー・アレンとのドラム・バトルが楽しめる。イゴ・チコもおるよ。

36.Headunters/Survival Of The Fittest(1972)


ハンコックでのバックの時よりフィジカルで暑苦しくなった黒汁溢れるファンク。ややサイケっぽさも漂わせる曲もあるけどより肉体的なファンクが魅力的。

35.Miles Davis/Agharta/Pngaea(1976)



「On The Corner」「Dark Magus」「Get Up With It」等この頃のマイルズはどれも最高で選びきれないのでエレクトリック・マイルズの終着地の日本での実況録音盤、所謂「アガ・パン」で。2枚(正確には4枚というべき?)だけど同日の公演だから一緒にしました。ピート・コージー、レジー・ルーカス、マイケル・アンダーソン、エムトゥーメらと創り上げたファンクの塊。

34.Meters/Struttin'(1970)


所謂「ジョシー3部作」の3枚目。ヴォーカル入り曲もあるがアラン・トゥーサンに「おっ、また’いつものやつ’(Same Old Thing)だ」と言われたという通りのどこを切ってもミーターズ印のファンク。

33.(Richard) Groove Holmes/New Groove(1976)


「70年代ベストアルバムランキング」にも選出。
ドラムはバーナード・’プリティ’・パーディのグルーヴ・マーチャント盤。ヴォーカル入りの激シブ「No Trouble On The Mountain」が鬼過ぎるがその他の曲も最高のジャズ・ファンク。

32.Talking Heads/Stop Making Sence(1984→2000)


「80年代ベストアルバムランキング」にも選出。
「頭」ばっかりで考えた「Remain In Light」からバーニー・ウォーレルらアフリカン・アメリカンのメンバー補強を行い、しなやかな「肉体」を手に入れたライヴ。2000年代に出た拡張盤が最高。舞台演出や衣装、振り付けなどは日本の能や歌舞伎、果てには当時の「竹の子族」からも影響を受けたというジョナサン・デミによるフィルムは有名。

31.Donny Hathway/Extension Of A Man(1973)


「70年代ベストアルバムランキング」にも選出。
息苦しくなるほど「音楽」が詰まった実質遺作。


30位~21位


30.Tower Of Power/Hipper Than Hip(2013)


「70年代ベストアルバムランキング」には「Live In Living Color」を選出。
ベイ・エリアの偉大なるファンク・バンド。2013年発掘の1974年のラジオ・オン・エア用の音源。「Back To Oakland」直後で今でもライヴ定番曲をガッツリ収録。ロッコ&ガリバルディの最強リズム・セクションに乗せて鉄壁のグルーヴを聴かせる。

29.Idea 6/Steppin'Out(2010)


2000年代はクラブ・ジャズの流行が少しあったので、その流れで一部界隈で俄かに盛り上がったユーロ・ジャズ。NU-JAZZとか言われていた。イタリアのパウロ・スコッティのデジャヴ・レコードより、かつてバッソ=バルダンブリーニ楽団で活動していたオスカー・バルダンブリーニが若手と録音した作品。60年代以降ヨーロッパのジャズは(ジャズ後進国故か)各国独自の進化を遂げているが、イタリアはウエスト・コーストの影響が強いものが多い。本作も瑞々しい躍動感溢れた名作。

28.Meters/Rejuvenations(1974)


「70年代ベストアルバムランキング」にも選出。
初期に比べたらだいぶ賑やかな音だが南部の泥の中であることは変わりない。

27.Prince/Sign "☮" The Times(1988)


「80年代ベストアルバムランキング」にも選出。
プリンスは7インチ等シングルにもヴァージョン違いなどの重要曲が多いが昨今乱発されている拡張盤にそれらが収録されているのはとても有り難い。


26.James Brown/Moterlode(1988)


「In the Jungle Groove」の続編ともいえる編集盤は未発表も含む。「In The~」同様DJ向け編集でもあるためファンク密度高め。JBは編集盤もとりあえず全部押さえるべき。


25.Donald Byrd/Places And Spaces(1975)


「70年代ベストアルバムランキング」にも選出。
ミゼル(マイゼル)・ブラザーズとの共同作業の極み。クロいのにさわやか。

24.Pouges/Rum,Sodomy & The Rush(1984)


「80年代ベストアルバムランキング」にも選出。
エルヴィス・コステロをプロデューサーに迎えアイリッシュ・トラッドとパンクの融合を推し進めた2nd。

23.Meters/S.T.(1968)


1st。スカスカでモッタリとした音はニュー・オーリンズの泥の中。多くのカヴァやサンプリングネタを生んだ骨組みだけの彼の地独特のビートはJBともスライとも全く異なるファンクをこれでもかと主張。

22.Fred Wesley and JB's/Damn Right I Am Somebody(1974)


フレッドがリーダー名義になった3rd。後半はメロウな曲もあるが猛烈なファンク揃い。曲間に挟まれるJBがギャーギャー叫ぶ暑苦しいファンク・ナンバーはコンピ「Make It Funky:The Big Payback」に収録。短いけど。

21.Pogues/If I Should Fall Grace With God(1987)



「80年代ベストアルバムランキング」にも選出。
バンドの代表作。荒々しさとメランコリックさが同居した名作。


20位~11位


20.Beatles/Revolver(1966)


「洋楽ロックベストアルバムランキング」にも選出。
バンド史上唯一ジョージの曲で始まるアルバム。

19.Donald Byrd/Ethiopian Knight(1971)


ミゼル・ブラザーズと組む直前でスカイ・ハイ・プロダクションとは異なる骨太なジャズ・ファンクが味わえる。腰に来るドラムとベースの反復がドープな長尺の2曲(全3曲だけど)が最高。個人的にはスカイ・ハイ産よりこっちが好み。

18.Miles Daivis/Live Evil(1972)


「70年代ベストアルバムランキング」にも選出。
ライヴ録音とスタジオ録音。爆走するキース・ジャレットが存分に楽しめる。ケルンとかECMだけがキースではない。

17.Art Blakey Quintet/A Night At Birdland(1954)


これもド定番だけどやっぱりジャズ、ハード・バップ開眼の1枚なので。ジャズって未だに「落ち着く音楽」とか「難解な音楽」とか言われている事が理解できない。ジャズは紛うことなき「ブラック・ミュージック」だ。

16.Parliament/Chocolate City(1974)


「70年代ベストアルバムランキング」にも選出。
ブーツィーらが本格参戦しいよいよP-ファンクの快進撃の始まり。

15.Rolling Stones/Exile On Main Street(1972)


「70年代ベストアルバムランキング」にも選出。
この時期のこのバンドにしか出せないダーティでルーズなロック。

14.Gil Scott-Heron & Brain Jackson/It's Your World(1977)


「70年代ベストアルバムランキング」にも選出。
A面はスタジオ録音で残りはライヴ。最高のファンク、ジャズ・ファンク。


13.James Brown/Payback(1973)


「70年代ベストアルバムランキング」の堂々の1位にも選出。
「JBは、特にファンク全盛時はオリジナル・アルバムは適当な作りなのでライヴ盤と編集盤をきいておけばよい」という大ウソがまかり通る昨今。「It's A Mother」「Popcorn」「Mother Popcorn」「It's A New Day So Let A Man Come In」「Ain't It Funky」「Sex Machine」「Hot Pants」「There It Is」「Super Bad」「Get On The good Foot」そして本作と名盤ばかりやで。「アルバム=トータリティ」というロック的思想を物差しにするのは止めろ下さい。

12.D'angelo/Voodoo(2000)


あまりにも絶賛されすぎて入れなくてもいいと思ってしまう1枚。特に言うことはない。本作を「ネオ・ソウル」という輩がいるが、そんな矮小な枠で語れる作品ではない。あと「ネオ・ソウル」じゃなくて「オルタナティヴ・R&B」な。(どっちでもいい

11.Donny Hathaway/Live!(1972)


「70年代ベストアルバムランキング」には「Extension Of A Man」を選出。問答無用の泣く子も黙る名盤。


10位~1位


10.JB's/Doing It To Death(1971)


「70年代ベストアルバムランキング」にも選出。
自分のファンク開眼の1枚。死ぬまでやり続けろ。

9.Parliament/Earth Tour(1978)


P-ファンク絶頂期のライヴ。(一部スタジオ曲あり)理解するまでに時間はかかったけどハマってしまえばあとは底なし沼に引き摺りこまれた。


8.The Band/S.T.(1969)


「洋楽ロックベストアルバムランキング」も1位に選出。
アメリカン・ルーツ・ミュージックの、いやロックの最高峰。

7.Art Blakey & The Afro Drum Ensemble/African Beat(1962)


ブルー・ノートでアルフレッド・ライオンとともに行った「リズム探求シリーズ」の3作目は前2作にあったジャズの要素をほぼ排除しアフリカン・パーカッションの宴となった。おかげでジャズ・ファンからは今なお完全に無視される様子。ビートルズが世に出た時すでに、ワールド・ミュージックの先鞭をつけていたことはもっともっと語られてしかるべき。

6.Grant Green/Alive!(1970)


70年のライヴ。アイドリス(イドリス)・ムハマンド(akaレオ・モリス)がドラムなので「At Lighthouse」よりもテンポを落としたミドルが心地よい。現行のCDや配信は後年に発掘されコンピ「Blue Note Lost Groove」に収録された曲も含む。クールの「Let The Music Take Your Mind」から最高のグルーヴ。

5.Jimmy Smith/Root Down(1974)


「70年代ベストアルバムランキング」にも選出。
表題曲のベースから始まるイントロからして鳥肌モノ。

4.Art Blakey/Orgy In Rhythm(Vol.1~2)(1957)


「リズム探求シリーズ」の第一歩。ジャズの名盤には出てこずブレイキーの代表作にも挙げられない作品。タイトル通りの「リズムの饗宴」。大好き。

3.Kool And The Gang/Live At P.J'.s(1971)


「70年代ベストアルバムランキング」にも選出。
この頃のクールはほんと最高。クールとアースがディスコ・グループだと言っている奴らは己の無知を恥じよ。

2.Grant Green/Live At Lighthouse(1971)


「70年代ベストアルバムランキング」にも選出。
ミストーンなんぞ微塵も気にせず暴走するギターが熱すぎる。

1.James Brown/In The Jungle Groove(1988)


DJ向けの編集・リミックス盤である本作とJB'sの2ndが自分にとってファンク、そしてブラック・ミュージック開眼のアルバム。こんな企画で編集盤を1位にしてしまうのはどうかと思うけど自分にとって最重要作なのだ。
オリジナルも抑えるべきは当然なのだがJBはスタジオ録音の同じ曲名でも違う演奏だったり、長尺曲を「Part〇」とか表記でバラバラに収録したりして正直わかりにくい。
とりあえず本作、上記の「motherlode」、加えて「Foundations Of Funk」,「Funk Power 1970:A Brand New Thang」,「Make It Funky/Big Payback」,あとはHip-Oからの時系列シングルス集ぐらいは絶対に押さえたうえでJB(のファンク・サイド)を語るべし。
とりあえずJBのファンク入門プレイリストをどうぞ↓



まとめ

その時々で変動するので順位はあんまり気にしない。

次でちょっとデータ的なまとめをしてみようと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?