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1980年代ベストアルバムランキング

はじめに


私は自分が幼年期を過ごした80年代の音楽には猛烈なコンプレックスがある。かる~いドラム音やギターのカッティング、チョコマカと動き回るベース。軽薄なシンセサイザーに安っぽい打ち込みのビート。全般的に「軽い」という印象が強い。

そんな音を聴くと当時の記憶がフラッシュバックするのだ。別にトラウマがあるわけではないけど、リアルタイムでそういった音を聴いていたので幼少期の思い出と重なって、なんだかとっても「古臭い」と思ってしまうのだ。

それ故に80年代の音楽は積極的に触れずに過ごしてきた。それこそメディアが何度も何度も「80年代ブーム」を仕掛けても、そんなものには乗っからずに過ごしてきた。

そんな私が選ぶ「80年代ベストアルバムランキング」。殊ロックに関してはメジャーな作品をようよう聴いて良しとしてきただけに、案の定浅い選盤になった。

次点 Steve parks/movin' in the right direction


変なオッサンが変な服を着て海で気取っている。夏っぽい爽やかな内容で、ヴォーカルはなんかエロいオジサンっぽい。要するにジャケが全てを物語る名盤。裏ジャケも要チェックや。


30位 Slave/stone jam


メタル・グループばりに「鋼鉄」という表現がよく使われるヘヴィなファンク・バンド。マーク・アダムスのバッキバキのスラップ(世代的にはチョッパーという言い方のがしっくりくる)が有名。


29位 阿川泰子/sunglow


ジャパニーズ・ラテン・フュージョンの有名盤。クラブ・クラシックとしても知られるヴィヴァ・ブラジルの①を同じくカヴァーした女性フージョン/クロスオーヴァー・グループのAlive!、とどちらをランクインさせようか迷ったが私は日本人なので世界に誇れる日本人を選出。ジャケットに写るメイクやファッションは小学生時代の自分や友人の母親を思い出させて辛い。


28位 Rick james/street songs


順調にいけばプリンスとマイケルと並び立つはずだったのに。世代的にはMCハマーのネタとして聴いていた思い出が強い。


27位 Joy division/closer


音からジャケットから全てイアン・カーティスの死を連想させる。暗い。でも好き。


26位 Sylvia striplin/give me your love


ロイ・エアーズのプロデュースで彼のレーベルより。当時のエアーズらしいしなやかなサウンド。まあ70年代の方が好きだけどさ。


25位 The clash/sandinista!


こんな下手くそなパクり音楽聴くよりオリジナルのワールド・ミュージックを聴くべしという意見に異議はない。でもこんな下手くそなパクり音楽こそがパンクでありロックだろ。


24位 Zapp/S.T.


80年代に当時代的な音を巧みに取り入れながらも熱いファンク魂を継承した数少ない男、ロジャー・トラウトマン。どのアルバムも似たようなもんだといえばその通りだけど1stが粗削りで勢いがあって好き。


23位 Rivage/sittin' on it 


レア・グルーヴの大本命、マイティ・ライダースのメンバーによるグループ。爽やかでメロウネス。


22位 今田勝/アンダルシアの風


全編通して軽快なリズムに心躍る。思いっきりアンダルシアなのは表題曲ぐらい。まだギリギリ、フュージョン色が強くなりすぎていないのが良い。


21位 Brief encounter/we want to play


軽快なソウル・ダンサーととろけるメロウネス。でもあくまでB級。それをいいと思えると貴方も立派なレア・グルーヴ好き。


20位 The simths/queen is dead


素晴らしいメロディに素晴らしいギター。ヤケクソな歌詞。国内盤の増井修のロキノン全開のライナーノーツも10代の自分にとっては最高だった。


19位 U2/rattle and hum


スタジオ曲とライヴ曲が入り乱れるから統一感はない。でもアメリカン・ルーツ・ミュージックに憧れた彼ららしい真っ直ぐな想いが良い。


18位 The stone roses/S.T.


ボーナストラックの「エレファント・ストーン」で「グルーヴ」というものを知った19歳。


17位 板橋文夫/渡良瀬


ニューヨークでの経験を経て「日本人にしかできないピアノを弾く」と考えるようになったという1982年作。美しい「和」を感じさせるタイトル曲が素晴らしい。


16位 David wertman sun ensemble/wide eye culture


オリエンタルなムード漂う曲と上手いのか下手なのかよくわからないヴォーカル。スピリチュアルな雰囲気もあるがどこか牧歌的な魅力溢れる作品。


15位 Nimbus/children of the earth


パーカスやエレピが実に心地良い。まんまスタカンな曲もある(こちらが先)。フリー・ソウル的なわかりやすい内容なのに結構地味な扱いを受ける1枚。


14位 坂元輝トリオ/海を見ていたジョニー


フュージョンだのAORだのシティポップだの80年代のジャズシーンはアレだが、こんな素晴らしい作品もある。海外での評価が高い様子。東日本大震災の後はまた新しい意味を持って聴いてしまう。


13位 E.W. wainwright/african roots of jazz


ほんとに80年代?とツッコまずにはおれないジャケ。レコ屋でこのジャケとタイトルを発見して即レジに持って行かないやつとは仲良くなれない。つまり世の中の8〜9割の人とは仲良くなれないって事かもしれん。


12位 Universal togetherness band/S.T.


ヌメロによる発掘盤。79~82年の音源でリリースは21世紀になってからなので反則気味ランクイン。グループ名からするに大学生のアマ・バンド?時代的にディスコ・ブギー的なファンク、ソウル・ナンバー多し。


11位 Don blackman/S.T.


ウェルドン・アーヴィンの「I love you」の人と、必ず言われるドン・ブラックマン。ド頭からPファンク風味強めだが上手くアク抜きしたファンク。かっこ余。


10位 Shamek farrah&folks/la dee la la

ストラタ・イーストからの1stからずいぶん遠い所に辿り着いた聴きやすい3rd。何だかトロピカルな雰囲気漂うスピリチュアル。これ80年代なんだね。


9位 Neville brothers/yellow moon


ダニエル・ラノワによる音響処理でロック系リスナーには聴き易いかもしれないがファンク好きにはやや物足りないかも。かくいう私もロックばっかり聴いている時期にこのアルバムを聴いて徐々にブラック・ミュージックにはまっていったわけなので。それでも①からパーカスが鳴りニューオリンズの怪しげなヴードゥー感が漂う。③⑫は期待通りのファンク。


8位 Talking heads/stop making sense


「リメイン・イン・ライト」がやたら評価されてるけどあれは頭でっかち過ぎ。メンバーを補強した本ライヴ盤で心技体が揃った。知識や技術だけじゃ「ファンク」にはならないんだよ、肉体が伴わないと。ディスコ以降~今に至るまで肉体が伴なっていないのに「ファンク」と呼ばれる音楽が多すぎ。後年に出た拡張盤が最適。


7位 The pogues/ if i should fall from grace with god


一般的にポーグスと言えば本作。英国では「クリスマスソングの代表曲」にて1,2を争う代表曲④を収録。整理された分それまでの勢いがやや殺がれているのは止む無しか。でも間違いなく名盤。


6位 Twilight/still loving you


こいつも爽やかアンドメロウ。こんな聴きやすいのにとんでもなくマイナー。同ジャケのアール・ワシントンという人のアルバムもある。どっちもレアグルで人気。


5位 Francisco mora/mora!


サン・ラ・アーケストラにも参加していたドラマー。デトロイト録音だけあってストラタ(イーストではない)創立者のケニー・コックスやトライブからのリリースで知られるマーカス・ベルグレイヴも参加。カリブ海〜南米が聴こえるサウンド。現行のCD、配信とも2005年の「mora!Ⅱ」2枚併せてのリリース形態の様子。


4位 Real shoobeedoo/reminiscing

変な名前を名乗るベーシスト。トライブの諸作やサン・ラ・アーケストラにも参加している。唸るベースとエレピの絡みがかっこ良い。


3位 Uncle funkenstein/together again


これもほんとに80年代か?とツッコミたくなるジャケと内容。バド・パウエルに負けない表題曲ジャズ・ファンク3連発が鬼。後半は割とストリートアヘッドなジャズ。


2位 Prince/sign o' the times


「ザ・80年代」の音のプリンスだけどそんなしがらみを払ってくれる程のかっこよさ。アルバム全部ランクインさせたくなるのを我慢して本作1枚に。リアルタイムでは自分は小学生。マイケルは普通に聴けたけどプリンスは見た目含めて「なんか気持ち悪くて怖い人」で近寄りがたい存在だった。それはある意味プリンスの狙い通りかも。


1位 The pogues/rum,sodomy &the lash

自分にとって80年代のロックはこのバンドだけで十分と言い切ってしまってもいい。ルーツミュージックへの限りない愛情と自分たちの新しい表現。そして何よりもストリート目線、虐げれらる弱者としての視点、泥にまみれてどれだけ頑張ってなんにもうまくいかねぇ。それでも生きていくという開き直りのヤケクソポジティヴィティ。ロックはアートなんかじゃねえ、生き様よ。

まとめ


ブラックものは70年代だと思って聴いていたけどよくよく調べてみると80年代だった、という作品ばっかり。自分でランキングしておいてまさかロックが1位になるとは思わなかった。

ランキングのために久々にロックを色々聴き直したのだけど、自分にとって「ロック」とはザ・バンドとポーグスがあれば完結するな…という発見があった。ポーグスなんて世間一般では3rdが辛うじて80年代の名盤リストに入るか入らないか程度の評価でしかないけど。

案の定「ザ・エイティーズ」って感じの作品は少ないランキングになりました。

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