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メンバーシップ型の問題の本質は「定年制」にあるのではないか?と思った話。

次のスライドは、経済産業省が2017年12月に「人生100年時代の企業の在り方」と題して発表した資料の一部である。

プレゼンテーション11

あることを調べていて辿り着いた資料なのだが、「定年後は再雇用しか道がない」という言葉が気になった。

人生100年時代なのであれば、再雇用ではなく、定年を100歳近くまで延長すればいいだけの話ではないだろうか?

ところが、この疑問を持つ人はほぼいない。

恐らく、誰もが、60歳近くの人の賃金が市場価格を上回っている可能性が高いことを認識しているからだろう。だから、60歳で一度、定年という名目で賃金を清算する必要があるのである。

当然、60歳まで高い賃金を払っていられないという企業も出てくるので、早期退職(リストラ)を実行する。だいたい、40歳以上が対象になることから、賃金と市場価値が逆転するのが40歳くらいなのだと思われる。

また、昨年改正された高年齢者雇用安定法も70歳までの雇用を努力義務化したものの、定年延長のみを義務付けたわけではなく、継続雇用で10年もOK、またフリーランスで働くことや起業支援もOKとしている。

つまり、社会全体が60歳の時の賃金が市場価格を上回っていることを容認しているのだ。

ただ、それ自体は問題ではなく、労働契約が個別契約に基づいていることに鑑みれば問題はない。問題なのは、経済産業省の資料から推測するに、そのようなキャリアは「低付加価値労働」とされ、「定年で終わりという意識の社員が多い(定年がゴール)」という意識が暗に広がっているということだろう。

人生100年時代に、60歳がゴールでは余りにも余生が長すぎる。
だけど、60歳になった瞬間に「再雇用」しか道が閉ざされる。

メンバーシップ型の問題の本質は、人生100年時代に、60歳で定年(賃金を清算)するしか道がないということなのだと思う。




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