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【DNA鑑定】ナポレオン3世、あの伯父とY染色体が不一致の怪

ナポレオン3世、その出生の疑惑

 フランスは、今も昔も不倫大国である。2018年に発刊されたジャニーヌ・モシュ=ラヴォ『フランスの性生活』によると、フランスでは「不倫よりもセックスレスのほうがタブー」であるという。

 現代のフランスでは、不倫は特にモラルに反するとはいえないから、不倫の噂を立てられても名誉毀損にはならないのだとか。2015年12月17日、同国の最高裁判所がそのように判例を示した。

 ところで日本には、フランス書院という官能小説を得意とする出版社がある。この社名は、1975年の創業当時に「イメージ優先で決まった」らしい。一部フランス人はこれに怒り出すかもしれないが、さりとてフランスの現状をみると、風評被害を強く訴えることもできないだろう。

 こんな爛れた恋愛観では、当然ながら不倫により生まれる子も多くなる。世界史上最も有名な家系の一つであると言っても過言ではない、あのボナパルト家もどうやら例外ではないようだ――。

 1848年にフランス大統領に当選し、1852年からはフランス皇帝として在位したナポレオン3世(シャルル・ルイ=ナポレオン・ボナパルト)。

 彼がこのような大出世を遂げることができたのは、「親の七光り」ならぬ「伯父の七光り」のおかげだったと言っても過言ではない。ナポレオン3世の最大の武器は、なんといっても絶大な人気を誇る国民的英雄、ナポレオン1世(ナポレオン・ボナパルト)の甥であることだった。

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フランツ・ヴィンターハルター画
『ナポレオン3世の肖像』(1855年)

 そんなナポレオン3世であるが、彼には出生の疑惑があった。ナポレオンの弟ルイ・ボナパルトの息子とされているが、本当のところは母親の不貞の結晶であり、ナポレオンの甥ではないのではないかと囁く声があったのだ。

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