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ハンガリーの大貴族エステルハージ家、財産を乗っ取られる!

File:Eisenstadt - Schloss Esterhazy.JPG©Bwag(CC BY-SA 3.0)を改変し作成

過去の栄光

 エステルハージ家。――それは、ハプスブルク史に詳しい者ならば誰でも知っているであろう、ハンガリー屈指の名門貴族の家系だ。

 ハプスブルク君主国の国歌『神よ、皇帝フランツを守り給え』などで有名なクラシック作曲家、ハイドンを長く召し抱えていたことでも知られる。

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フランツ・ヨーゼフ・ハイドンの肖像画

 同家が贅を凝らしてフェルトゥード(Fertőd)の地に造営したエステルハージ宮殿は、「ハンガリーのヴェルサイユ宮殿」という異名を持つ。ここで催されていたオペラは絶品であったらしく、「女帝」ことマリア・テレジアが「素晴らしい音楽を聴きたいのなら、エステルハージ宮殿に参ろうぞ」と手放しで称賛したほどだ。

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「ハンガリーのヴェルサイユ宮殿」ことフェルトゥードのエステルハージ宮殿
©Thaler(CC BY-SA 3.0)

 エステルハージ家の収入は、時としてオーストリア皇帝を凌駕した。ニコラウス・エステルハージは次のように豪語したという。「皇帝にできることで、私にできないことなど何一つない」

 エステルハージ家の輝かしい歴史とその遺産の数々は、今なお天下の耳目を惹くところである。――その一方で、現代のエステルハージ家の動向は、一般的にはあまり興味・関心の対象にはなっていない。実は、厄介な騒動の当事者となっていた。

エステルハージ家なきエステルハージ財団

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