「ファインディング・ニモの悲劇」 #20字小説 +育児日記(小説「白い春」執筆裏話)
ニモ怖い!いらない、もうやだ、ママ嫌い!
【完】(20字)
#20字小説
本稿は、「#20字小説」の作品です。
「20文字で小説を書く」というルールに沿って仕上げました。
実際に起きた出来事から、創った作品になります。
【育児日記(小説「白い春」執筆裏話)】
※一部、映画『ファインディング・ニモ』のネタバレが入ります。
予めご了承ください。
我が家の娘は3歳。
可愛くも手がかかる真っ盛りです。
最近では、夏風邪を引いたのか、お腹を壊したり、微熱を出したりと、幼稚園を欠席することも多かった娘。
小さなお子様をお持ちのご家庭ならお分かりかと思いますが、
子どもがいるのといないのでは、在宅での仕事の進み方も全然違います!
泣いたり、爆笑したり、叫んだり。
まるで山の天気のように機嫌がコロコロ変わります。
私のように在宅ワークでライティング業をやっていると、子どもを家で見ながら作業できる、と思われがちですが、実は全然そんなことはありません。笑
一つの事に頭を集中させる世界なので、子どものペースに呑まれると、全く集中することはできません。
今回、それがさらに顕著になったのが、小説。
小説を書くとなると、自分以外の人格を作り出し、現実世界ではない物語の世界に入り込まないといけません。
私の感覚で言うと、普通に記事を書くよりもさらに没入感が必要で、現実世界からの介入が入ると、とたんに執筆が進まなくなる、という状態でした。
締切を控えている中、子どもが体調不良で幼稚園をお休みする、となると、当たり前ですが、執筆スピードが格段に落ちます。
先週、娘が体調不良で幼稚園を休んだ時は、創作大賞という締切があったため、小説【白い春〜君に贈る歌〜】執筆の真っ盛り。
幼い子どもにとって長時間のテレビ鑑賞はよくない、と分かってはいます。
しかし、子どもがいる状況で執筆時間を編み出さなければならない。
そこで、やむを得ず、子ども用のアニメ映画を一本観せて、その間に執筆を進めようと考えました。
私が娘のために選んだのは、ディズニー映画の『ファインディング・ニモ』。
小さな子どもから観れるイメージだったので、初めて観せることにしました。
ニモの本編をスタートし、娘は「おさかなさーん!」とご機嫌に映画鑑賞開始。
よしよし、大丈夫だな、今のうちに。
と私はパソコンを開きます。
ところが……
「ママ、これ怖い!」
始まって15分もしないうちに、娘が映画を怖がり始め、膝の上に乗ってきます。
え?ニモって子ども向けじゃなかったんだっけ?
不思議に思って映画本編を見ると……
確かに!
カクレクマノミのニモは、オーストラリアのグレートバリアリーフの海で、卵として孵ります。
ニモがまだ卵時代だった頃。
両親と400匹の卵と共に、孵化の時を待っていました。
両親が子どもの名前を「ニモがいいね」と話していたところで、背後からオニカマス(大きな魚)が襲いかかります……!
なんということでしょう。
開始早々、大きな魚が襲ってきて、母親とほとんどの子供たちが亡くなってしまう、という悲劇から始まる物語だったのです!
「怖い〜!」
と、涙をポロポロ流す娘。
そりゃ、怖いわな😱、と思いつつ、「きっと最初のシーンだけだよ」と自分たちに言い聞かせ、娘を膝の上に載せながら、鑑賞を継続します。
もちろん、小説の執筆も継続。
私はあっという間に「白い春」の世界に戻り、ニモの世界を忘れていきます。
すると……また10分も経たないうちに。
「ママ〜!やっぱりこれ怖い!」
娘からの泣きの抗議が入ります。
ん?どれどれ?今度は何が怖いんだ?
私はしぶしぶ小説の世界から抜け出し、映画のストーリー確認に入ります。
すると……確かに!
今度は、卵から孵化し、子どもの魚となったニモが、ダイバーに捕獲されてしまうシーンでした!
魚目線から見た時の、人間のダイバーの迫り方の怖いこと!
「もう〜ニモ怖い!嫌だ!」
娘は再び、ボロボロ泣いています。
3歳の子ども目線から見たら、ひたすら怖いシーンの連続。
あらまあ。
こんな怖い話だとは、ママも知らなかったよ。
あまりにも娘が泣くので、小説の執筆は一時中断。
怖いシーンを早送りして、平和なシーンを見つけようと、私はようやく重い腰を上げ、リモコン操作に向かいます。
ニモが捕獲され、父親とはぐれる今のシーンを早送りすれば、再び娘はニモの世界に集中してくれるだろう。
そう思っている、浅はかな自分でした。
ところが、早送りをしても、出るわ出るわ、怖いシーン!
不幸にも、次に再生したシーンは……
ニモの父・マーリンがサメに襲われるシーン。
「もう、ママやだ!嫌い!」
娘の金切り声が部屋内に響き渡ります。
娘よ、ごめん。
そんなつもりでは決してないのだけど……。
焦った私は、さらにシーンをスキップします。
すると、次に再生されたシーンは……
マーリンと友人の魚ドリーが、クジラに飲み込まれるシーン。
「ギャ〜!もう、ニモやめてぇー!!」
娘、発狂。
嘘でしょ?と思いつつも、私は性懲りもなく、早送りを進めます。
すると、次のシーンは……
人間の世界に囚われたニモが、歯医者の水槽に入れられています。
矯正のワイヤーで恐ろしい歯並びに見える女の子に、ギロッと睨まれるシーン。
「ギャ〜!もう、ママ嫌い!ニモ嫌い!怖い!全然楽しくない〜!」
もはやママも、娘の金切り声と映画内の女の子の金切り声に挟まれて、全てを諦めつつあります。
小説の執筆など、遠い過去の話です。
もう、ニモ鑑賞による執筆時間の捻出は無理だな、と分かりつつ、好奇心から、次のシーンにスキップしてしまう私。
すると、次のシーンは……
マーリンがペリカンに襲われるシーン。
「ギャ〜!!」
ダメだこりゃ。
さらにスキップ。
次のシーンは……
海に戻って一件落着したはずのニモが、漁船の網に捕まってしまうシーン。
「もう、ニモおしまい!ママ嫌い!全部ダメー!」
確かにそうだ。
物語のクライマックスですが、これがまた生死の境目をさまような話ですので、音楽も恐怖心を煽るような、恐ろしげな音楽。
残る「めでたしめでたし」のシーンは、最後の5分ほど。
娘は完全にニモ恐怖症になってしまいました。笑
「なんでこんなものNちゃんに見せたんだよ!もう、ママのバカ!」
散々な罵られようです。笑
娘はその後も、ニモパニックが続き、大粒の涙を流しながら、
「ニモ怖い!いらない、もうやだ、ママ嫌い!」
と訳の分からない言葉を叫び続けること20分。
オニカマスに襲われたニモの巣以上に、我が家のリビングはぐちゃぐちゃになり、娘の鎮静化と部屋の片付けに、さらなる時間を割くことになりました…💦
という訳で、ニモ鑑賞で小説「白い春」の執筆時間を捻出しようと思った私の企みは、敢えなく失敗。
その代わり、異常な疲労感と無力感に襲われたので、病床の紗良の心境を書くのには良かったかもしれません😌💦笑
執筆業を生業としている方を改めて尊敬する、貴重な機会となりました。
小さなお子様のいる皆さん。
まとまった時間捻出のためにテレビや映画の力を借りるなら、くれぐれも子どもが喜ぶような内容の作品を観せることをおすすめします。
どうしても静かにしていて欲しい時は、間違っても、「新しい作品を観せてみようかな〜」なんてチャレンジはせず、見慣れているお気に入りの作品を観せることを強くおすすめします!
僭越ながら、白い春執筆&子育てにあたっての、私のドタバタ裏話でした。
楽しんでいただけましたなら、幸いです!
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
ニモ&娘と格闘しながらも、生み出された小説【白い春~君に贈る歌~】はこちら。
今からでも遅くない!一気読みも大歓迎です🥰
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