死にゆく恋人との「幸福」を探し求めて✨堀辰雄の『風立ちぬ』④
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7月第1作目には、堀辰雄の自伝小説、『風立ちぬ』を取り上げます。
『風立ちぬ』は昭和十年代文学の代表作として高い評価を得ています。
近年では、宮崎駿監督による長編アニメーション映画『風立ちぬ』が公開されて大きな話題となりましたが、小説とはストーリーの異なるオリジナル作品となります。
「風立ちぬ」――死と直面しながら、二人の「幸福」を探し求める自伝小説
堀辰雄(1904~1953)
【書き出し】
それらの夏の日々、一面に薄の生い茂った草原の中で、お前が立ったまま熱心に絵を描いていると、私はいつもその傍らの一本の白樺の木陰に身を横たえていたものだった。
【名言】
「風立ちぬ、いざ生きめやも」
(ポール・ヴァレリーの詩「海辺の墓地」より)
「私、なんだか急に生きたくなったのね……」
「あなたのお陰で」
※あらすじは、第一回・第二回解説をご参照ください🌸↓↓
※死にゆくヒロイン像は、共作小説「白い春」でも追及しています🌸
どうぞよろしくお願い致します!
共作小説「白い春」全編まとめはこちら!↓↓
【解説】
・ヒロインとの死別
「風立ちぬ」のヒロイン・節子と「私」との死別の時。
死の間際の様子はどのように描かれているのか、見て行きましょう。
なんと、『風立ちぬ』において、節子の死の瞬間は描かれていません。
ただし、このように、山にかかる闇と光についての情景描写、彼女とともに共有した死への恐怖が描かれて、二人の最後の場面となっています。
え?これで終わりでいいの?
と拍子抜けしてしまうぐらいの書き方ですが、愛する人の死の瞬間というのは、逆にリアルに描きたくはないものかもしれません。
その代わり、情景描写で死の影を匂わせる、という高等テクニックが使われています。
・死をどのように乗り越えるか
最終章。
「私」は自分が一人暮らしをしている小屋のある谷を、「死のかげの谷」と呼んでいました。
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