見出し画像

面倒くさいヤツになるとフリーは終わる【月刊(本当は週刊だけど)お気楽フリーランス論Vol.16】発注主が困っていたらどうするか/年下・年上との付き合い方

唐津城へ行ってきました。普段はネコがたくさんいるのですが、今日はあまりいなかったですね。前回「ハイブリッド人材になる」について書きました。その中でこんな記述をしました。

そして今は「ネットで消耗し東京を脱出した人」「セミリタイア界の若手」という意味不明のハイブリッド人材になったことで、なぜかお仕事をいただいております。

これが不思議な話で、「寄稿依頼」「取材依頼」「コメント依頼」と3つの仕事が次々といただけるようになったんですよ。今書いている本(すいません、遅れまくっております……)にもこの件については入れておりまして、フリーランスがなんらかの仕事を得るためには、「分かりやすいハイブリッド人材」の称号が必要なんだな、と改めて思った次第です。上記のような取材をしていただく時は「東京から唐津に引っ越した」という分かりやすい画(え)が必要なため、私と唐津城、という写真を撮っていただきます。この橋からの唐津城、かなりカッコイイですよ。

画像1

今回は、「腹が立つ発注相手との付き合い方」から入ります。時々とんでもなくエラソーな発注者っているんですよね。フリーランスのことを便利屋扱いするような社員が。私の場合は某大手出版社のAという男がそれにあたるのですが、取材をさせるだけだったらまだしも、たまたま編集部にいたら「ちょっと朝日新聞に行って写真を24枚買ってきて。これが足りない写真だからさ。複数あった場合はお前に選択は任せるからさ。まぁ、こんなの埋め草みたいなもんだからお前の判断でいいから」なんて言うわけです。

私は「お仕事くださってありがとうございます!」という立場ですから「ははーっ、承りました!」なんて当時思っていたため、この突然のオーダーにも応えます。朝日新聞の写真センターみたいなところに行き、24枚の写真を選ぶのは1時間半ぐらいはかかってましたね。往復1時間はかかるため、2時間半を費やすわけです。

これ、ギャラに上乗せされてるかな♪ 1万円ぐらいはもらえるよね♪ と思っていたのですが、この分は無料。それでいて、写真を1枚借りると1万円を払う。あのさ、オレのこの仕事、写真1枚分の価値さえないのかよ! 写真23枚にして、オレに1万円くれよ!

こんな思いを次々とこのAという男からはさせられました。そこで思ったのは「よし、こいつよりも世間的な立場では上になってやる」という密かな野望です。私の場合、20代後半のフリーランス時代にこの手の理不尽な扱いというものは受け続けてきたのですが、そのたびに「コンチクショー! お前を見返してやる」と怒りを毎度たぎらせ、「いつかお前に会った時、この扱いをしたことを後悔させてやる」と心の中で思っていたのでした。

Aとの再会、果たして修羅場は来るか!

Aとはあれから15年後、会いました。すっかり白髪だらけになっていましたが、この時は私に対して「はじめまして! まぁまぁ、ここは一つ、まぁ、よろしくお願いしますね。いやぁ~、中川さんにお願いできて安心しましたよ!」なんて言う。

なんだよ~「あの時は小間使いのように扱ってしまい申し訳ありませんでした……」なんて言うかと思ったのにまさかの「はじめまして!」だよ。しかしながら、打ち合わせの間、私は「このオヤジに『15年前はよくしてくれましたね。朝日に写真を買いに行かせてノーギャラだったり、オレが書いたページもすべて某氏が書いた原稿ってことにしたり、本当に親切にしていただきましたね』と言ってやるか」なんてことを思いましたが、大人なのでやめました。

Aが私のことを忘れていたことは若干ムカついたものの、Aに対して「コンチクショー!」と思い続けていたことも自分が売れることに繋がったので、この仕事は笑顔で終わらせました。というわけなので、今回は「面倒くさいヤツになるとフリーは終わる」という件について。私はこの場で面倒くさいヤツになることはできました。しかし、やめた。それから5年後、Aの後任になった方から書籍を一冊書くオファーをいただき、現在書いています。それが冒頭で述べた「遅れていてごめんなさい……」の本なわけです。あぁ、面倒くさい人間にならなくて良かった。

私自身、「ツイッター人格」では案外面倒くさいヤツですが、仕事相手に対してはたいへん腰が低く、礼儀が正しく感じが良いです(自分で言うな、オイ!)。しかし、これは相手からほぼ毎回言われることです。それは「面倒くさいヤツ」を見続けて、彼らが失脚ないしは売れなくなっていく様を見てきたからこそ反面教師にしてきた面があります。

面倒くさいヤツにはいくつかのタイプがあります

ここから先は

7,488字 / 7画像
この記事のみ ¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?