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「風」を読むことがカネを生む。ネットは見まくった方がいい【月刊お気楽フリーランス論Vol.23】得意ジャンルにはオタク的にハマろう。あと、フリー人生の良さについて

本日、3月11日は東日本大震災に伴う大地震と東京電力福島第一原子力発電所の事故から10年です。原発については複数日にかけて爆発が起きたりしましたが、とにかくあの大地震と津波は3月11日でした。2月5日、原発の取材に行ってきました。その時のレポートは本日「現代ビジネス」にて掲載されます。すいません、本稿執筆段階ではまだ掲載されていないので、ワシが前に書いた「セミリタイアフリーランス」記事へのリンクです。

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あの時何をやっていたか、というのは関東以北の人間にとってはいまでも語り草になっています。私の場合、前年9月29日に開始したばかりのNEWSポストセブンの記事制作に向け、東京メトロ半蔵門線に乗っていました。15時開始なのですが、地震が発生した14時46分、電車は青山一丁目の手前で緊急停止。すぐに電車がグワングワンと揺れました。電車はさほど混んでいなかったのでパニックにはならなかったのですが、「こりゃすげぇ揺れ方だ」という風には思った。

電車はなんとか青山一丁目まで行ってくれましたが、あの揺れであれば電車の復旧はあり得ないだろうということは分かっていた。だとすれば神保町の小学館まではタクシーに乗るしかないとは思ったものの、数分間のロスがあったため、もはやタクシーには乗れないことは分かっていた。案の定外に出たらすでに渋滞が発生しており、人々が青山一丁目のホンダのある角に大集結していた。

こりゃ腹くくって歩くしかねぇな、とばかりに歩き始めましたが、驚くことに私と同様、皆さん歩いているんですよ。結局赤坂見附→半蔵門→皇居のお堀沿い→毎日新聞→小学館という流れで1時間半ほど歩いてようやく到着。人の流れが途切れることはなく、皆さん「仕事に行かねば!」の使命感を持っていたのでしょう。かくして私も1時間半遅れで作業を開始することができたのでした。

世間の「風」を読む重要性について

さて、今回は「風」をいかに読むか、ということです。小池百合子氏は「政界風見鶏」と呼ばれるほど風を読むことに長けた人物です。そんな彼女は毎度「コレこそ私の支持率を上げる!」と読み、手を打ってくる。それが「築地市場の豊洲への移転延期」や「緊急事態宣言要求」などなのですね。

フリーで仕事をしている場合もこの「風を読む力」がとても大切です。そのために何をすべきか、といえば、「5ちゃんねるのスレッドの見出し・Yahoo!ニュースの見出しを見るだけでどんな論調になっているかを瞬時に予想できる」トレーニングをすべきです。たとえば3月11日、カズ今季初出場!出場僅かも最年長更新54歳12日(日刊スポーツ)という記事が出ました。

これに対しては「若手の貴重な枠を奪うな」「出場僅かなのに記録のために出続けるのはどうか?」「カズのどこがすごいか全盛期を知らない若い私は知らない」「晩節を汚すな」といった意見だらけだろうな、と一瞬にして分かるわけですね。そして実際にコメント欄を見てみると、そのような意見だらけです。

コレなんですよ! 結局、カネを稼ぐ企画・原稿というものは、「世間の『風』に合っている」ということに尽きます。だからたとえばPRや広告の企画をするにしても、「ジェンダー意識を持とう」という流れをベースに考えるべきなのです。とにかく「風」が大事です。

小泉進次郎・環境大臣は「セクシー発言」以降完全に「ポエム大臣」「バカ」扱いをされています。一時期は「総理候補」なんて持てはやされましたが、もはや見る陰もない。決定的だったのは2020年7月の「レジ袋有料化」ですね。どちらにせよレジ袋というものは自宅ではゴミ箱に突っ込んだりして使うもの。コロナの時代にマイバッグを持つとは何事だ! で、これで本質的にプラスチックごみを減らせるのか? と大ブーイングになりました。

そんな同氏は今度は「コンビニでのスプーン有料化」を宣言し、「Myスプーン」持ち歩きを提唱しました。日本最強の5ちゃんねるまとめサイト「痛いニュース」でも〈小泉環境相「スプーン有料化で、自分でスプーンを持ち歩く人が増えていく。ライフスタイルを変化させたい」〉と当然この話題は出るわけですが、私はこんな意見が出るだろう、と予測します。

・不衛生だろ

・なんでコンビニばかり狙い撃ちするんだ

・もうカレーは食わねぇ

・果たして効果あるのか?

まぁ、予想通りでした。こんな感じです。「風を読む」ということは、いわば「社会が求めているものが何かを知る」ということに他なりません。そうした企画を提案できるフリーランスには当然仕事が殺到します。たとえばコンペ(競合プレゼン)があったとしても、「この企画は世間の〇〇のような『風』に従っています」と言えれば説得力は増す。インターネットはとにかく「世論・風を読むにあたって最適なツール」であると考えています

だからこそ私はそれに従って記事の見出しをつけてきたし、企画もしてきた。あとは「週刊ポスト」や「女性セブン」の記事をネットに転載するにあたっては、「これは『紙文脈』『定期購読読者』文脈だったらアリだけど、誰もが見られる『ネット文脈』だとアウトかな……」というものはその部分を削除したり書き換えたりしていました。

何を見れば「風」は読めるか?

具体的には、締めの文章で「この際、もう安倍首相には退陣してもらうしかない」などとポストは書くわけですよ。しかし、この部分はあくまでもポストの主張なわけで、ネットユーザーは「自ら主張したい。ネットで意見を書きたい」わけですから、この締めは余計なもの。バシッと私は削除しちゃいます。

ちなみに、5ちゃんねるの論調を見るのに最適なサイトはコレです。書き込みの勢いが速いスレッドを一覧にする「2nn.jp」です。

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このタイトルを見るだけで「どんな『風』が吹いているか」ということは分かるもの。コメントを予想して実際にこれらのスレッドの書き込みを見るとほぼ自分の予想通りの論調になっています。

こうした論調=風、を予測できると本当にお金を稼ぐことができるようになります。NEWSポストセブンについては、元々「ネットの風を読む編集をしなくてはならない」と小学館のK氏に私が主張し、開始しました。本当にポスト・セブン・SAPIO・マネーポストの4誌をそのままネットに出していたら余計な炎上をしていたと思いますが、それを回避する必要があった。

そんな時にネットを見続けてきた私をはじめ、弊社の吉河未布、アメーバニュース時代からずっと付き合いのあったライターのY氏とA氏がスタッフに加わることにより、サイトは10年以上続いてこれたのです。

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