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【実例付】Chat-GPTの使い倒し方 10[ プロンプト入力26の原則]を読み解く⑧回答の「出だし」をリクエスト

 モハメド・ビン・ザイード人工知能大学 (MBZUAI) の研究者グループが発表した、大規模言語モデル(LLM)とのインタラクションを最適化するための「26の原則」

 この原則の補足説明、今回は⑳です。

⑳出力プライマーの使用:期待される出力の始まりでプロンプトを終える→〇 プロンプトテクニックも省ける

 これは、「こんな風に答えてほしい」という場合に使うプロンプトです。

 Chat-GPTに質問したら、「あれ? そうじゃないんだけど」という回答が返ってくることがあるかもしれません。いきなり難しいことを、長々と回答しはじめるとか……。

 そうなってしまう理由は、プロンプト(質問)が適切でない悪い場合も多いのですが、「では、どんな質問方法がいいのか」と考える時間も、もったいない。

 そんなときは、いっそのこと、「こんな感じで答えてよ」、と、自分の希望する回答の出だしを作ってしまう方が、早く回答にたどり着けることもあります。

 実はこれによって、今まで僕が解説してきたような、プロンプトテクニックを使う手間が省ける場合もあるんですよね 笑。

 やり方として、「こういうことから回答を始めてください」、という指定の仕方でもいいですし、具体的な回答の出だしそのものを、指定する方法でも大丈夫です。

【実例】「こういうことから、回答を始めてください」の例

 「最初に、回答を理解するうえで、私が知っておくべき重要な背景や基礎知識から回答を始めてください。」
 
 これは、Chat-GPTがいきなり難しい回答をしがちな場合の質問をするときに便利です。いきなり核心の説明をするのではなく、まずは基本的ことや、その回答の背景から説明してね、とお願いする。

 これによって、段階的に答えてくれます。

入力プロンプト例

「最近注目を浴びている、NVIDIAという企業について教えて下さい。まず最初に、回答を理解するうえで、私が知っておくべき重要な背景や基礎知識から回答を始めて下さい。」

 こんな感じで、回答の手順や、具体的に知りたいこと、焦点を絞りたいことがあれば、XXから説明して、とお願いするのはいい方法です。

 そのほかの例としては、

直接的な事実提供を求める出だし:

 「最初に、事実だけを挙げて、XXについて説明してください。」
  ハルシネーション(AIが、事実に基づかない情報を生成する現象)の防止にも役立ちます。

回答のレベルを指定する出だし:

 「最初に、初心者にも分かるように、XXについて説明してください。」
  「最初に、小学生にもわかるように」は、僕も使っています 笑。

比喩や例えを使った説明を求める出だし:

 「XXを、最初に、簡単な比喩や例えを使って説明してください。」
  難しい質問するとき、例えで説明してもらうと理解しやすいです。


回答の出だしを直接指定する

 もう1つは、回答の出だしを直接指定する方法です。

 よくあるのは、ブログや詩を作る時などに、出だしだけ自分で作って、あとはChat-GPTに作ってもらう。これで意外に、いい感じの文章を書いてくれる時があります。

 例えば、最近の日本株の上昇についてのブログを書くときに、


♯日本の株価が再び上昇の兆しを見せ始めています。多くの投資家がこの変動に注目していますが、経済全体としてはそれほど良好とは言えない状況の中、なぜこれほど株価が上がっているのでしょうか?#から始まる、最近の日本株の上昇についてのブログの記事を200文字程度で書いて下さい。」

GPT
日本の株価が再び上昇の兆しを見せ始めています。多くの投資家がこの変動に注目していますが、経済全体としてはそれほど良好とは言えない状況の中、なぜこれほど株価が上がっているのでしょうか?この疑問に答えるためには、現在の株価が反映しているのは短期的な市場心理や期待値であり、実際の経済状態とは必ずしも一致しないことを理解する必要があります。特に、中央銀行による金融緩和政策や、コロナ後の回復期待が投資家の楽観主義を駆り立てています。しかし、この株価上昇は持続可能なのか、それとも将来的な調整が必要になるのか、慎重に見極めることが重要です。経済の基盤と株価の動きの間には、しばしば乖離が生じますが、その理由を深堀りすることで、より賢明な投資判断が可能になります。

 まぁまぁですが、これをたたき台にして修正することで、記事が書けそうですね。ダメな場合は、「あと10本、記事を書いて」と指示すればいいですよ。Chat-GPTは、嫌な顔せず、無限に案を作ってくれますから。

【実例】出だしの指定を「する」「しない」の比較

 では、回答の出だしを指定するのと指定しないのとでは、どの程度差が出るか試してみましょう。


「英語のリスニング能力を向上させるためにはどうすればいいですか?」

GPT
「英語のリスニング能力を向上させるためには、以下の方法を試してみることが役立つでしょう:

  1. 英語の音声を頻繁に聞く: 英語のポッドキャスト、オーディオブック、ラジオ、音声付きのニュースや映画など、様々なソースから英語の音声を聞く習慣を身につけましょう。

  2. リスニング練習のアクティビティを行う: リスニング理解を高めるために、短い音声や動画を聞いてから内容を要約する、リスニング問題を解く、音声を書き起こすなどのアクティビティを行います。

  3. 英語の会話を聞く: ネイティブスピーカー同士の会話や、英会話のレッスンの音声など、リアルな英語の会話を聞くことで、自然な発音や言い回しを身につけられます。

  4. アクセントを理解する: 英語には様々なアクセントがあります。様々な地域のネイティブスピーカーが話す英語を聞くことで、異なるアクセントに慣れることが重要です。

  5. 字幕を活用する: 最初は字幕を使いながら聞くことで、理解しやすくなります。徐々に字幕を外して聞く練習をすると、リスニング能力が向上します。

これらの方法を組み合わせて、徐々に英語のリスニング能力を向上させていきましょう。」

 うーん。どれもよさそうな方法ですけど、全部できないし、何をするといいのか。これだと、具体的なアクションプランが立てられませんね。

 では、質問方法を変えてみましょう。


「英語のリスニング能力を向上させるためにはどうすればいいですか? 『リスニング能力をあげるのに、最も効果的な方法は』から始まる回答をして下さい。」

GPT
「リスニング能力をあげるのに、最も効果的な方法は、日常的に英語を聞く習慣を身につけることです。
日常的な状況での英語の会話やニュース、ポッドキャストなど、リアルな音声を頻繁に聞くことで、耳が英語のリズムや発音に慣れていきます。
また、聞き取れなかった部分や難しかった表現を振り返り、何度も繰り返し聞くことも効果的です。
さらに、異なるアクセントやスピードの英語を聞くことも重要です。」

 なるほど。日常的に英語を聞く、習慣をつけるのが一番いいのですね。かつ、端的ですが実行しやすい、具体的な回答をしてくれました。

「話を短く」はテクニックの1つ

 有料版のChat-GPT4は、何か質問すると長々と回答する癖があるのです。しかもレスポンスが遅いので、待ち時間がかかります。

 ですので、この「最も効果的な」から回答を始めてもらうと、あれこれ回答してきません。なにげに使えるテクニックで、僕は多用しています。
 Chat-GPT4と会話していると、ほんと、話が長いんですよね 笑。

 特に、長時間、有料版のChat-GPTと話すときは、時間当たりのトークン数に制限があるので、長話はできないので、なるべく話を短くするのは、実は大切なテクニックの1つです

大規模言語モデル(LLM)とのインタラクションを最適化するための「26の原則」

①礼儀を省く:「お願いします」などの礼儀用語は不要
②対象者を明示:「専門家向け」など返答を受ける対象者を明示
③複雑なタスク分割:複雑なタスクを簡単なプロンプトに分ける
④肯定的指示の使用:否定的な言葉ではなく肯定的な言葉を使用
⑤明確化のための指示:「簡単な言葉で」「中学生にも分かるように」等
⑥報酬の提示:「良い解答には報酬を出す」と示す
⑦事例を提示:既存の事例を使用
⑧プロンプトのフォーマット:###Instruction###」で始め、適宜「###Example###」や「###Question###」を含める。
⑨明確なタスク指示:「あなたのタスクは」と指示。
⑩ペナルティの提示:「ペナルティあり」と伝える。
⑪自然言語による回答指示:「自然言語で回答して」と指示。
⑫先導的な言葉の使用:「ステップバイステップで考えて」と指示。
⑬偏見の排除:「偏見を持たず、ステレオタイプに依存しない」と指示。
⑭ユーザーとの対話促進:問題解決までモデルに質問させる。
⑮テストを含む指導:テストを出してもらい、自分の理解度を試す。
⑯モデルへの役割割り当て:モデルに特定の役割を割り当てる。
⑰デリミターの使用:特定の区切り文字を使用。
⑱繰り返しの使用:特定の単語やフレーズを複数回使用。
⑲思考の連鎖:中間ステップを生成し、事例を組み合わせる。
⑳出力プライマーの使用:期待される出力の始まりでプロンプトを終える。
㉑詳細なテキストの作成指示:「詳細に書いて」と指示。
㉒スタイル変更の防止:「スタイルを変更しない」と指示。
㉓複数ファイル対応のコーディングプロンプト:複数のファイルにまたがるコーディング作業の効率化のために、自動的に新しいファイルを作成し、生成されたコードを適切なファイルに挿入するスクリプトの作成を提案。
㉔特定の言葉で続ける:「与えられた言葉で完成させて」と指示。
㉕モデルの要件の明示:コンテンツを制作するためにモデルが守らなければならない要件を、キーワード、規定、ヒント、指示などの形で明示。
㉖サンプルに基づくテキスト作成:サンプルと同じ言語で書くよう指示。


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