社内向けサービスのプロダクトマネジメントについてのしゃべり場
こんにちは、中原です。
3月になって暖かくなったと思ったら、風がビュンビュンふきあれ、
花粉がドンドコ舞っています。
今年は例年の倍だとか。
花粉症が花粉症と言われる前から花粉症の僕にとっては、例年の何倍かに関わらず毎年つらい季節です。
何のブログか?
さてさて、そんな折ですが同じく花粉症と闘うLINEの伊藤さん、大手製造業の細谷さんとで『社内サービスや開発支援ツールでもプロダクトマネージメントはちゃんと考えないといかんよね』というお話をしました。
きっかけはRSGT 2021の伊藤さんの発表。
伊藤さんのブログに発表後の感想も書かれています。
「この発表の内容について話そう!」って細谷さんが伊藤さんに話しかけていたのを見て、「僕も立ち聞きさせてもらっても良いですか?」とお願いしたところご快諾頂き参加させて頂きました。
今回はどんなお話をしたのかをまとめたいと思います。
(伊藤さん、細谷さん、ありがとうございます!!)
1. まず最初に近況の共有
まずはお久しぶりなので、近況の共有を行いました。
・伊藤さん
LINEさんでSET(Software Engineer in Test)チームとして活躍中
開発チームの助けになる開発環境やツールの開発をされているとのこと
お悩みは、チームの技術指向が強いため顧客価値や仮説検証が
置いてけぼりになる事。
・細谷さん
幅広いドメインを対象に、横断的にソフトウェア設計の質の
向上や効率UP、コードの依存関係可視化からアジャイルの導入などを
ご担当。
「助けてくれ~」という声がかかったら、すかさず登場する社内コンサル。
・中原
コニカミノルタでアジャイルの組織展開、定着に向けた社内の
コーチング、組織変革を推進。
20年度からは社内コーチのチームを作り、組織的に社内のアジャイル導入
を進めています。
一方で、要求開発を社内に展開し、教育や実践支援を進めています。
2. プロダクト開発(社内向けツールやサービス含む)に対するそれぞれの見解
各自のプロダクト開発に対する見解と導入・実践のポイントを共有しました。
何を大事にするかって事ですね。
ここでいう「プロダクト開発」には、社内向けツールや支援などのサービスを含みます。
● 伊藤さん
・仮設設定と検証(James Coplien型スクラム)が大事
細谷さんも私もほぼ同じ認識でした。
伊藤さんのベースラインは、2010年以降の海外含むアジャイルの経験と
の事でした。
・プロダクトマネジメント
海外の現場での経験から学習されたとのこと。
また、書籍『INSPIRED』に影響を受けられたとのこと。
・今の組織は開発者が強すぎ&「自分たちがユーザ」という
思い込みが強い。
そこで下記を実施。
○ 社内ツールの開発にプロダクトマネージメントを導入
○ プロダクトマネージメントをできる人を育成
● 伊藤さんのプロダクトマネジメント導入のポイント
・仮設設定・検証による、何を作るのが正しいのかを定義し、
継続的に改善する
・社内宣伝はプレゼン練習の一環でしよう!と発破をかけているところ
➡ LTなどの練習の場を設けている(月1で実施)
➡ メンバーには難易度が高い場合もあるので、段階的に成熟度を
高めていっても良いかも(細谷さん)
・ プロダクトマーケティングは広報活動としてプロダクトマネジメント
から切り離して考えた(INSPIREDから)
➡ これは私から伊藤さんに「プロダクトマネージメントには
マーケティングなども含まれると思うのですが、そこまで含むと
学ぶべきことが多岐にわたりませんか?
短期間でプロダクトマネージメントを考えられる人を育成するの
にどんな工夫をされていますか?」
と質問をしたのがきっかけで、このような話になりました。
● 細谷さんのプロダクトマネジメント導入のポイント
・匠Methodを活用した価値の明確化
細谷さんは細谷さん達の社内支援の活動の価値や内容を明確にするため
に匠メソッドを導入
➡ ステークホルダーを明確化
➡ ステークホルダーがどうすると幸せになるかを明確化
・これからはデザイン思考も活用
➡ オモシロいアイデアを出すために、これからは社内支援にもデザイン思考を導入しよとしてている
➡ 社内支援のテーマに向けて自チームがデザイン思考を実践する事
で、デザイン思考の実践者が増える
➡ 社内支援では社内の人にアクセス(インタビューしたり)するので
敷居とコストが安く取り組みやすい
細谷さんは、上記のような取り組みが伊藤さんの最近の活動と近いと感じられ、今回のお話しを持ち掛けられたとの事でした。
3. 「組織変革のパターンは有効だよね」について
伊藤さんから「皆さんが発表しているものや書籍にあるものは、適宜参照して活用しています。一方で、自力で解決に至ったと思っていたアイデアの多くが、Fearless Changeなどに書かれていることにあとで気づいて、『結局パターンの再発明では?』と思いました」というお話がありました。
僕は伊藤さんの発表を参考にさせて頂く事がどても多いです(^^;
その事について細谷さんは「自分の場合はFearless Changeの日本語版を読んだときに、自分がやってきたことが書いてあってびっくりした。やっぱそうだよね~と感じた」との事でした。
ほんと、さすがっすね!!
パターン活用の利点としては「気付きを得られる」点が良い所である一方、「型をなぞるだけでやった気になってしまいそこで終わってしまうという注意点もあるよねぇ~。」
と、伊藤さんのご発言。
私も激しくアグリーです。
課題を解決して最終目標に近づくことを目指してやっているはずが、いつの間にかやる事が目的になっている現場をよく見ます。
やっぱり施策を講じたら効果を計測しないといけないよなぁ、と思います。
これについてもお2人の素晴らしい『アジャイルメトリクスのパターン』という論文があるので、ご紹介します。
元ネタのプレゼン by 伊藤さん:
また組織改善とパターンについては、細谷さんがJaSST'17 Tokaiで『はじめの一歩、やってみる現場改善』として発表されています。
この発表ではパタンやパタンランゲージについての解説から、実際に現場で見出したナレッジをパターン化するところまでが解説されていて、とても参考になりました。
『はじめの一歩、やってみる現場改善』 By 細谷さん
(下記のリンクで資料を閲覧できます。)
http://www.jasst.jp/symposium/jasst17tokai/pdf/S1.pdf
ちなみに、私も社内の組織改善や変革を進めています。
先日(21/02/25)「分散アジャイルチームを考える会」で発表した資料が近いので掲載します。
4. 結論
『社内サービスや開発支援ツール、社内システムにおけるプロダクトマネジメントのパターンを創りませう!』
ということで、やっぱり『社内サービスや開発支援ツールでもプロダクトマネージメントはちゃんと考えないといかんよね』は、正しい。
今後も情報交換しつつ、パターンを考えたり創ったりしようぜ~との話しになりました。
5. 今回のしゃべり場を通しての感想
私としては参考になる事がとても多く、目からウロコでした。
その中でも、伊藤さんがされているように「社内広報の練習として
LTを月1やる」とか「書籍や社外発表で収集した良さげな事はためす」ってのを取り入れていきたいと思いました。
また、細谷さんがされている「社内支援をプロダクトやサービスに見立てて提供価値を考える」ってはまさしくその通りだと思いました。
こちらも早速取り組んでいこうと思います。
仮説検証アプローチと短いフィードバックサイクルを社内に伝えているのに、自分の仕事が仮説検証になっていない事が良くあります。
お2人の活動を参考に、もっともっと意識して取り組んでいこうと思いました。
一方で、「社内向けの活動もプロダクトマネージントする」ってのは、組織変革のパターンとすごくつながるなぁ~って思いました。
そして、組織変革のパターンって先に紹介したもの以外で、パターンランゲージになっていなくても、コッターの企業変革の8段階とか、ADKARとか沢山あります。
Jason Little の「Lean Change Management」とかも参考になると思います
けど、もっともっと泥臭いのも多くあると思うんですよね~。
そこで「社内向けの活動でもプロダクトマネージメントを考える」事を通して「組織を変革する」泥臭いパターンも出せればと思います。
今後も継続的にお二方と情報交換を行い、皆さんに参考にしてもらえるようなパターンを創りたいなぁと思いました。
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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