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300円雑記【水のような言葉】

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2018年12月の記事一覧

領収書とごめんなさい

領収書とごめんなさい

あの人は何回謝ったんやろうか。
男性で、年齢はたぶん70歳過ぎくらいだったと思う。

とあるクリーニング屋に会社の横断幕を引き取りに行った際に私はお金を支払い、そして領収書を要求した。

少額ながらもこれは経費だから領収書が必要だ。
ところがそのおじさんの表情が不意に曇った。

「領収書ですか、、」

おや?面倒だと思われたのだろうか。いや違った。

「とても時間がかかります。ごめんなさい。」

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5歳の娘が漫画を描いた【日記】

5歳の娘が漫画を描いた【日記】

純粋さはとっても単純であわや真理に近しい存在だとあらためて思い知らされた。

ホワイトボードに日々描かれる娘のイラスト。彼女は5歳になるが、昨晩はストーリーを付けてお話してくれた。おぼつかないながらもそれは立派な人生譚だった。
ちょっと紹介しようと思う。

◇◇◇

私が生まれる前にパパとママが結婚した。

一緒に暮らして、、

私が産まれた。きっとこんな感じで抱かれてたんだ。

今は幼稚園だけど

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『たぶんこれで大丈夫』で生きている  【エッセイ】

『たぶんこれで大丈夫』で生きている 【エッセイ】

ある日のこと「カメラ撮ってくれへん?」と路上の占師に呼び止められた。半ば強引だったがスマホを手渡されたので、占師とそのお客さんであろう人のツーショットを撮影した。

お客さんがツーショットを希望するぐらいだから有名な占師なのかもしれない。

パシャリ。結構いい写真が撮れたのでスマホを返すと二人から礼を言われた。用もないのでその場を離れようとしたらその占師から一言、
「兄ちゃん、ええ顔してるなー」と

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あの小さな窓からは月が見えない【エッセイ】

あの小さな窓からは月が見えない【エッセイ】

寒暖差はげしく冷え込む夜に遅めの帰宅。
家族が寝静まっているのを確認すると私は風呂に入る準備をした。

バスタブの湯を温め直す。ちゃぷんと浸かる。気持ちいい。そしてこうした遅い時間に湯船に入るときに私は小さな贅沢をする。

バスルームの小窓を開けて入浴を楽しむのだ。

冷たい空気が浴室に入り込み私の頬に触れる。この感じはアレだ。露天風呂の感覚を即席で味わっていると言っても良い。最後の入浴者にのみ許

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