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しまコト広島講座【2】 〜文化を伝える〜

”定住や移住ができなくても、島根と関わり続ける方法は?”
そんな自分なりの関わり方を探すために始まった「しまコトアカデミー広島講座」。


講座の説明や講座初日の様子ついて書いた説明した、しまコト広島講座【1】は下記をご覧ください。



講師はローカルメディア界でも有名な、あの編集長

さて、今回は10月某日に開催された、第2回目しまコト広島講座。
会場は、島根県大田市大森町・石見銀山です。


講師を担当してくださったのは、大森町のライフスタイル企業「石見銀山生活文化研究所」で広報を担当されている三浦類さん。企業広報誌でもある「三浦編集室」の編集長をされています。

ローカルメディアとしても注目されている「三浦編集室」について、恥ずかしながら今回しまコトに参加して初めて存在を知りました。でもせっかくだから事前にお会いする前に色々と調べていたら、かなり多くの取材を受けていらっしゃる”売れっ子さん”でした!


文章やご自身のことばを通じて、大森町の文化や企業理念を伝えてこられた三浦さん。特に「三浦編集室」は広報誌にも関わらず、「この商品がおすすめ!」みたいなことは一切書かれていない、珍しいスタイル媒体です。


でも紙面全体から、大森町の人々や暮らしが香ってきます。地域や文化を大切にしている石見銀山文化研究所の姿勢を、「三浦編集室」はさりげなく伝えてくれています。ローカルメディアとしても注目されているようなので、ぜひ読んでみて欲しいです!(わたしは三浦さんみたいな文才はないので、「三浦編集室、おすすめです!」とここで強く主張しておきます。笑)

↓全国で配布されているそうなので、参考にリンクは貼っておきます


ちなみに今回一緒にご紹介したいのが、三浦さんのnoteです。
これが本当に面白くて、(特にワイフの記事。笑えるのに愛情が感じられる、本当に素敵なnoteです)久しぶりに声を出して笑いました!

このnoteを読んで、ますます参加するのが楽しみだった講座の一つでした。


日本の里山の美しい生活文化

三浦さんの紹介が長くなってしまいましたが、早速講座の様子を。
今回は、石見銀山生活文化研究所の本社社屋やその周辺地域、宿泊施設の「他郷阿部家」、そして雑貨販売やカフェ運営をされている「群言堂本店」を見学させていただきました。


中でも本社社屋とその周辺は山や田んぼが広がっていて、昔ながらの原風景が広がっています。石見銀山生活文化研究所が大事にされている「日本の里山の美しい生活文化」そのものです。


本社社屋は、大きな茅葺き屋根でつくられています。かなり立派なので、一から作ったにしてはあまりにもリアルだなーと思いながらお話を聞いてみると、広島県世羅町からわざわざ持ってきた廃屋&茅葺きなのだとか!
途中で葺き替えもしながら、大切にされている建物だからこそ感じる”リアルさ”だったんですね。


でも、実際に中に入ってみると”会社”なのです。デスクもあるし、ぱっと見た印象は倉庫に近い見た目です。もちろんインターネットやセキュリティーもバッチリです。
三浦さんのお話によると、外から見たときには大森の景観に馴染むように、でも中に入ると快適に仕事がしやすいように設計・デザインされている建物だそう。
昔ながらの里山文化を、現代でも生かし続けるヒントだなーと感じました。


そしてさらにお話を聞いてみると、実はこの景色はまず「周辺環境づくり」から始めたというのです!小川や田んぼなど、昔ながらの風景から手をつけ始め、周辺環境が出来上がってから、最後にようやくあの茅葺きの本社が作られたとのこと。

”地元産”にもこだわっていらっしゃる石見生活文化研究所の建物たちは、効率・スピード重視の現代においては時間もコストもかなりかかっているはずです。それでも地域や里山暮らしを大切に守る姿勢を貫いていて、「丁寧な暮らしってこういうことだよな〜」と”本物”を見せつけられた感覚でした。

そしてただ観光客として訪れただけでは、「想い」や「理念」など細かい話はなかなか聞けません。さらに企業広報として「言語化する・伝えること」にまっすぐ取り組んでこられた三浦さんから聞けたからこそ、まっすぐ刺さったんだと思います。受講生も「すごいなぁ・・・」と静かに感動していました。
しまコト事務局の人選、さすがです!


経済発展か?文化継承か?

石見銀山がある大森町には住民憲章なるものがあることを、講座中に初めて知りました。石見銀山が世界遺産に登録された翌月、2017年8月に制定されたもので、住民憲章が書かれた看板も大森町内にに数カ所設置されているそうです。


住民憲章には、

このまちには暮らしがあります。
私たちの暮らしがあるからこそ
世界に誇れる良いまちなのです。
わたしたちはこのまちで暮らしながら
人との絆と石見銀山を未来に引き継ぎます。

と書かれています。


世界遺産登録をきっかけに観光化・商業化が進む地域も多い中で、大森では役所も、民間も、みんなで協力をしながらまちづくりに取り組もうという意識を、わたしはこの住民憲章から感じました。


話は少しそれてしまいますが…。
実はわたし、大学では「中国の観光化・まちの商業化」をテーマに卒論を書きました。経済的な豊かさを優先するのか?どこまで伝統を守るのか?いろんな利害も絡み合うまちづくり例も、たくさん見てきました。
当時のわたしは「生活を豊かにしたいと思う人間的な欲求」「伝統・文化を守るための大きな視点」という間でなんだかモヤモヤしながら卒論を書いていました。
どちらも大事。どちらも間違っていない。
でも経済と文化をうまく両立している地域は本当に少ない。

そんな学生時代を思い出し、なおさら大森の人たちが「暮らしがあるからこそ世界に誇れる良いまちなのです」と定義した住民憲章にすごく心を打たれました。
月並みですが、本当に素敵です。感動しました。


今回の講座で感じたこと

今回の講座を通じてわたしが感じたこと。

まちづくりにおいて、「絶対的に正しい答え」なんてあまり存在しない。
でもだからこそみんなで「最適解」を決めることが、まちづくりの一歩なのかな。
大森町のように、大切にしたいものを大切にするために。
だからまずは、自分自身の大切にしたいことを見つめ直すことから始めたいな。

そんなことを、感じました。

わたしは何を大切にしたいんだろう?
どんな風に生きていきたいんだろう?
そしてどんな風に地域と関わっていきたいだろう?


自分にしか答えはありません。途方もない問いです。
でも「自分なりの、地域との関わり方」を見つけるしまコトも、自分というものを見つめ直す、”最適解”を見つける時間”だなと感じました。


どうしても「正しい答え」を探そうとして、頭もガチガチになってしまう。だからもっと感性をゆる〜っと緩めて、”今の最適解”を微調整しながら決めていこうと思いました。


大森町にお邪魔して、三浦さんの話を聞いて、「わたしは何か大切なものを見落としているかもしれない」とハッとさせられた1日でした。
充実感でいっぱいだった、第2回講座。
個人的なキャリアプランという視点でも、三浦さんからすごくヒントをいただきました。収穫たっぷりでしたが、ひとまずしまコトの記録としてはここまで。


次回以降の更新も、マガジン「しまコトアカデミー広島講座」でお届けします。お楽しみに!


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