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≪続:③≫女性が全国転勤で働くということ~見知らぬ土地で強く、楽しく過ごす方法について~

■KIKI、グレるの巻:私の人生は誰のもの??


 
 25歳、周りが自分の道を着実に選び、進み始めている姿を横目にただただ漠然とした焦りを感じていたころ。

 
 再び、KIKIに転勤の予告がやってきます。



 この時は、前回と違い、異動先の希望面談が組まれました。
(キャリア面談ではなく、あくまで赴任地希望ヒアリング面談。)

 東京に戻ってきて半年、部屋も借りたばかりです。元々、弊社に入社した理由は、事業も職種も幅広く多様であり、様々な経験を積めると思ったからです。営業以外の職種も経験してみたい。その為には、営業以外の職種が在る東京に残ることが一番の近道のような気もしていました。

 一方で、東京以外に異動になってしまう場合を考慮にいれ、「東京でキャリアを積みたい。どうしても地方に異動しなければならないのであれば、仕事で地元に貢献したいという気持ちもあるので、福岡であれば頑張れる。」と伝えます。

 かつての地方支社での生活を振り返りながら、東京残留にせよ、福岡異動にせよ、見知らぬ土地で働く生活とはもうしばらく縁が無くなるだろうと、感傷に浸っていました。



 そして、数日後、上司との面談が組まれ、異動先について告知がなされます。



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結果
東京でも、地元福岡でもなく、また私が行ったことのない地方への配属。
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 え。。。???!!!


 2回聞き直しました。



 どっからその候補出てきたんwww
 なんのための面談やったんwww



 意味の分からなさと「まあそう上手くは行かないよなw」と妙な納得感に大笑いしていました。
 自分ではどうしようもないことが起きてしまったときには笑ってしまうくせがあります。

 もうどうしようもないと笑いながら「頑張ります」というと、上司は「そう言ってくれてよかった」とほっとした様子で、「同じく希望せず地方異動が決まったAさんが本当に暗い顔をしていたから、心配なんだよね」と別の子のことをよっぽど心配していました。

 
 正直ね、私だって、大丈夫じゃないですよ。ぜんっぜん。

 どのくらい大丈夫じゃなかったって?
何を思ったか、配属言い渡された3日後くらいには、突然髪を金色に染めていましたw 美容師さんも仕事大丈夫なの?と心配しまくってました(笑) 今振り返っても当時のよく分からないこの行動にまつわる心情は思い出せません。深い意味はありませんが、普段の私ならやらなかったですね。かなり真面目な部類に生きてきたと思いますが、「グレる」ときってこんな感じなんだろうなと思いました(笑)

 「KIKIちゃんならどこに行ってもやっていけるよ」と、東京から地方に転勤したことない先輩から言われたときに心の底から沸きあがるどす黒い気持ちw

 「地方行ったら、うちの会社の規模だと、結構チヤホヤされると思うよ」と、女性が地方転勤することの現実を知らない男性の先輩からの励ましに心の底から湧き上がるどす黒い気持ちw

 「大変だね~」と同情してくれる方がまだマシです。 

 そして何より救われないのが、その異動による自分のキャリアへの意味、影響が全く持って見えないことでした。事実として、今回の異動の背景は、配属先にいた年次の近い先輩が、配偶者の都合で東京に戻らざるを得ず、代わりの人員が必要だったということでした。そして転勤先の環境は、私がかつて散々悩みに悩んだときと同じ、全国転勤者がいない環境でした。

 そうであるならば、配置希望ヒアリング面談ではなく、相談ベースで良かったのではないか?「○○に行ってほしい。行けるか?」それでよかったのではないか?体裁的に希望を聞いたふりをして、何も反映をせず、全く持って論外の場所に配置するのはあまりにも横暴ではないか。

 「私の人生なはずなのに、私の希望や考えが1つも汲まれないのはなぜなのか」そんな気持ちでいっぱいでした。




 ただ、1つ言えること。それは、転勤ばかりですべての成り行きが会社に委ねられている今の会社を選んだことも、自分の勤務地やキャリアに対する要望を強く訴え、通してもらえるほどの交渉力や圧倒的な実績がないことも、すべては自分に起因しているということです。

 異動が決まった当初は到底そんなことを思えるほど、冷静ではなかったですが、今となっては、そしてある1冊の本に出逢ってからはそのように反省出来るようになりました(その本については追々書こうと思います)。


KeyPoint④:私の人生は誰のものか。全ての結果の起因は自分にある。


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 こんな具合で、不安と不満盛りだくさんで始まった新天地での生活。
金髪で新しい部署の皆様へのご挨拶をするという、今考えたら寒気がする謎の行為で幕を開けました。


 また苦労の日々が始まると覚悟をしていましたが、意外や意外、かつての地方支社での葛藤とは異なり、すぐに前向きになることが出来ました。

 その要因の1つはこの記事の第1篇に書いた、「終わりを意識する」ということ。新しい場所に赴任したその瞬間にここで頑張る期限は2年とはっきり決めました。かつてと同じように「いつまでいるのか分からない」「先が見えない」という不安に悩む理由をきっぱりと断ちました。


 そしてもう一つの大きな要因。それはKIKIと同じように東京から転勤でやって来ていた、とあるお兄さんとの出会いのおかげでした。


■大切な出逢い:見知らぬ土地で強く、楽しく過ごす方法について



 彼もどちらかといえば不本意、且つ予想外の転勤だったようです(飛ばされたんだよね~はははと笑っていました)。彼は、結婚を考えていた恋人と、転勤を機に破局してしまったそうで、プライベートへのダメージもかなり大きかったと思います。(私はというと、東京で友人に組んでもらうはずだった人生初合コンがお蔵入りしたくらいだったので、その点まだ傷は浅かったですw)


 私より5歳上のそのお兄さんは1年先に転勤で来ていましたが、既に様々なことに詳しく、私にも色々なことを教えて下さいました。
 一緒に食事に行ける友人が出来たことを非常に喜んで下さいましたが、そうでなくても十分仕事もプライベートも楽しんでいることがひしひしと伝わってきました。



 一体、何が彼をそうさせているのか。


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<キャリア面> 
 ・自分が将来どんな人物になりたいのか
 ・どんなキャリアを積んでいきたいのか
 ・どんな人生を送りたいのか(家族のことも含め)
を分かっている。
転勤はそれを左右してしまう大きな要素ではなく、あくまで1つの経験だと捉えている。そう捉えられるような育てられる職能を身に着けている。結果・実績・自信がある。(自分だけでは消化できない恋愛・結婚はこの限りではないので、難しいが。)
 +
<プライベート面>
 ・熱中している/自分の時間を費やせる趣味がある
 ・失敗したとき、泣きたくなった時の人に頼らない発散の仕方を知っている 
 ・知的好奇心が尋常じゃない
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 振り返ってみれば、甲信越雪国勤務時代に可愛がってもらった転勤族のお姉さん(※「女性が全国転勤で働くということ」参照)も同じような特徴を持っていました。
 
 2人とも程度の差はあれど、自分のしてきた仕事に自信ややりがいを持っており、仕事熱心でした。お兄さんの職種はかなり多忙で休みがないこともしばしば、お姉さんの仕事も変則的で案件によっては、かなり遠くの地域へ長期間泊まり込みで向かい、夜中2時や明け方まで働いていることも。そんな2人の話を聞きながら、すごいなあ私には出来ないわ~と思っていましたが、きっと2人が頑張れていた理由は、自信の持てる職能を身に付けていて、自分の目標やキャリアプランがはっきりしていたからだと思います。

 お姉さんは2次元のアイドルとゲームが大好きでオタ活に生きていました。仲良くなるまでは少しも感じさせない人でしたが、語りだしたら止まらない人でした(笑) そしてお兄さんは車好き&ゴルフにドはまり中と、かなりの熱量で時間を費やせる趣味がありました。

 2人ともクロスバイクに乗っていて、1人でも構わず、思い立った時にどこかに出かけたりするのが好き。なので2人とも何気ない日常の中に好きな景色を持っていました(夕刻のあそこからの景色が綺麗だよ、とかあの場所からの眺めが素敵だよとか)。さらに唐突に買ったという電子ピアノが家にあるというところも共通していたかも(確か二人とも元々ピアノをがっつりやっていたという訳ではなく、始めてみたって感じだった気がする(笑))。

 知的好奇心が旺盛で、その土地の食やお酒、気になるスポットに関する情報も多く、新しいスポットや地元ならではの場所を開拓するのが好きな方々でした。この点は私も負けておらず、2人と馬が合い、仲良くなれたきっかけでもあります。

 2人とも「超絶アクティブオタク系バリキャリ美人/イケメン」でした。
自分で自分を満足させられる方法を知っている。文字通り「自立した」人生の先輩方でした。



 お姉さんとは、地方で「転勤族の女性」に向けられる男性からの冷ややかな対応について、一緒に悩んでいました。


 尊敬していたお姉さんとも解消できなかったそのコンプレックスをいとも簡単にぶち壊してくれたのが、今回の転勤で出逢ったお兄さんでした。


 「単身で違う土地で頑張ってるのすごいね。自立していてかっこいいと思うよ。KIKIはきっとどんどんハンサムウーマンになるね^^」

 
 一見普通で、ライトなこの一言に私がどれだけ救われたか。

 このただのお世辞のような肯定の言葉が、男性から私に対して向けられることが、これまでの転勤生活でいかに珍しいことであったか。



 「転勤して働いている女性は褒められるべき、それだけで自立している、すごい。」そういうことを言いたいのか、言ってほしいのか? 違う、そうじゃない。
「女性が社会進出しやすいように、男性のこういった考え方が広まるべき」などということが言いたいのか。違う、そうじゃない。
何かを訴えたいわけでも、否定したいわけでもない。


 ただ、KIKIという1人の人間として、今自分が歩み、励んでいる経験を肯定してもらえたこと、「女性」という属性のためだけに、否定され、傷つけられなかったことへの喜びがそこにはありました。

 ただただ今まで私がコンプレックスに感じてきたそのすべてをお兄さんのこの一言が吹き飛ばしてくれたのです。

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 同じ境遇の先輩がいない支社ばかりに配属され、なかなかロールモデルを社内で見つけられなかったKIKIでしたが、社外で偶然出会った彼らが今の私のロールモデルとなります。

 まずは形から(笑) 2人の真似をして、クロスバイクをレンタルして(まだ買う勇気はなかったので)、中距離サイクリングに出かけてみたり、1人でスポット開拓してみたり、おかげで配属序盤から前向きに生活を楽しむことが出来ています。

 かつての雪国支社にいた時から心がけていた、その土地に興味関心を持ち、好きになり、楽しもうとする姿勢。これがお兄さんとの出逢いの影響でより強化されました。

 初めて自分で行ってみたスポットや発見した新しい場所を楽しんでいることを職場で話をすることで、「もっと面白いところがあるよ」「ここが良いよ」と、現地の先輩方との距離も一気に縮まる副次効果も早い段階で実感しました。

 1人の転勤生活をしたことない人々、というか大半の人には、「え、そんんなとこ1人で行ったの?」なんて、半ば哀れみの反応をされることもあるけれど、「同期がいない・友達がいない・一緒に過ごしてくれる人がいない」、他人ありきでそう嘆きながら過ごしていたかつての転勤族生活よりずっとずっと素敵で前向きな生活を送れている気がします。

 「1人が好き」「1人が楽しい」のではなくて、1人でいても、誰かといても、自分のパワーで楽しむことが出来る、人を楽しませることが出来る、前向きにさせることが出来る、そんなお兄さんとお姉さんのような人になりたいという理想像を得られたことが、3年半のばたばた転勤生活の産物だと思います。

 私にまだ足りていないのは、自分のキャリアをどうして行きたいのか、仕事を通してどのような人間になり、どのような人生を送っていきたいのかという仕事面においての暫定の自分の軸です。

 この記事での前編でも書きましたが、就活の時期にその思考をしきれなかったことが、今の不満や不安の1つの要因になっていると思います。

 やはり今の私にとっては「転勤」自体は悪ではないながらも、「会社に振り回されている」そんな感覚に陥るのは、どんな状況にも左右されない、自分の仕事へのやりがい・実績・信念・目標、そういったものが言語化出来ないまま進んできてしまったことが1つの要因だと感じています。

 当時は「よく分からない」で突き詰めることが出来ませんでしたが、自分の軸を持つことの重要性を身をもって理解した今、転職も視野に入れて、私はもう一度自分を見つめなおしている真っ最中です。

 自分自身を十分に知ったうえで就活をすることがいかに大切であったか、まずそれに気づけたことが仕事面での成長であり、そして私の人生の中での数少ない後悔の1つです。

最後のKeypoint:自分で自分を満足させられる方法を知る。

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 お兄さんはよく「自分は運が良いからここまでやって来れたんだよ。」と言っていました。不本意で決まった異動のことも、別れてしまった大切な恋人のことも、他人の私からすると到底運が良いなんて思えませんが、すべてを幸運に変えるその力は、お兄さんの中にあるブレない軸と強さだろうと思います。

 
  KIKIは目先の仕事にもプライベートにも悩み、迷い、まだまだ未熟なことだらけですが、この重要な節目でまたお兄さんのような素敵な人物と出逢えたこと、刺激をもらえたことは、「なんだかんだでやっぱ私も最強運だな★」と思い、本当に本当に感謝しています。



                                KIKI


あとがき)
この記事の冒頭、転勤が言い渡された時のくだりの回想を書いているときには、思い出しながら、マイナスな気持ちがふつふつと湧いてきていましたが、お兄さんとお姉さんのことを書いていると次第に口角が緩み、とっても暖かい気持ちでいっぱいになっていました。
私が自己満足で書く理由はここにあります。
文字にすることで、思い返すことで、また大切な感情や思い出に触れ、パワーをもらうことが出来ます。

お姉さんは今遠く離れた土地にいて、コロナ禍でなかなか会うことが出来ませんが、落ち着いたときには、胸をはって会いに行けるように、あともう少しの辛抱です。
お兄さんは訳あって(笑)もうもしかしたら、会うことは叶わないかもしれませんが、もしまた会えたなら、心からたくさんの感謝の気持ちを伝えたい、そしてお兄さんに教えてもらった美味しい地酒を飲みながら、お兄さんに負けないくらい自分の熱中してることや人生への熱い思いを語りたいと思います(笑)

どんなかたちでも2人にいつか恩返しができるよう、
そして私も誰かにとって、2人のような存在になれるよう、その第1歩として綴ります。

<終>

 


 

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