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アフリカビジネスモデル図解vol.01「Ari.farm/世界中からソマリアの畜産市場にアクセス可能に」

ベナンからコンバンハ。ナイケルこと、内藤獅友(@Naikel0311)です。


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アフリカビジネスモデル図解とは、アフリカ歴6年目で会社とNPOを経営している僕が、アフリカの主にスタートアップを中心にビジネスモデルを図解化し、そのユニークかつビジョナリーなイケてるアフリカ起業家をご紹介するシリーズです。


記念すべき、第一回は「Ari.farm」というスタートアップ企業です。

こちらに全てまとめたマガジンがございます。


登場人物(企業・市場)は大きく分けると4つです。

Ari.farm、ユーザー、遊牧民、ローカルマーケットとなっています。

では、一体どんなサービスが提供されて、どんなお金の流れが起こっているのか、図解を使ってご紹介していきましょう。番号が振ってありますので、文中にも番号を使って説明をしています。


お金とサービスの流れ

戻るの面倒だと思うので何度も載せます

Ari.farmはスマホアプリを提供しています。スマホからユーザーは何が出来るかといいますと、①ソマリアの家畜(ヤギ、羊、ラクダ)などを購入(投資)することが出来ます。

アプリ内では、毎週Ari.farmが最新の家畜の相場価格を提示しており、それを見てユーザーが好きな動物を購入(投資)する訳です。投資としているのは、最後までお読みいただけると、ご納得いただけるかと思います。

ソマリアについてですが、アフリカの中でも政治的に不安定な国で、気軽に渡航できるような状況ではありません。そんな国の畜産産業をIT技術で世界にアクセスできるようにした素晴らしいサービスですね。

そして、ユーザーが支払ったお金は、②Ari.farmが代行でノマドと呼ばれる遊牧民が育てている家畜動物の購入費として使われます。

Ari.farm内には、プロの畜産家がおり、彼らがユーザーの代わりにその家畜を育てるのです。

育てている間、それぞれの家畜からは乳が取れますので、それらの③乳製品をローカルマーケットにAri.farmが売ってお金に変えます。

④そこで得た利益の一部を、Ari.farmから定期的にユーザーに還元していきます。

ユーザーが家畜相場をみて売りたいと判断したら⑤売り注文をスマホを通じてAri.farmに行います。

⑥Ari.farmが実際にローカルマーケットで売り注文時の価格で販売が終了したら、⑦一部の利益がAri.farmに入り、残りの利益がユーザーに入ってきます。


Ari.farmの儲かる仕組みとビジネスモデル

戻るの面倒だと思うので何度も載せます

Ari.farmの儲かる仕組みは3点あり、その為に導入しているビジネスモデルは2つあります。


1つ目のビジネスモデルが「小売モデル」です。

小売モデルとは、自社製品ではなく他社製品を仕入れて販売するモデル。主にコンビニエンスストアのPBブランド以外がこれにあたります。

①と②で見受けられるように、Ari.farmが遊牧民から家畜を仕入れて、ユーザーに購入してもらうという流れになっています。Ari.farmの賢い所は実際は仕入れておらず、オーダーが入ってから購入していますので、在庫リスクがないというのも優れたポイントになっています。

キャッシュポイントとしては、この時点では手数料は取っていないようです。しかし、おそらく実際の相場価格よりも少し安い金額で購入し、その差額分を利益として受け取っているだろうと推測されます。


2つ目のビジネスモデルが「代行モデル」です。

代行モデルとは、本来はユーザーがやるべき業務を代行することで、その利益の一部を得るモデル。コインパーキングなどで使われます。

③④の乳製品をAri.farmがユーザーの代わりに生産・販売代行をしています。さらに⑤⑥⑦の流れのように、ユーザーが売りたい家畜を代行でローカルマーケットで販売していますね。

キャッシュポイントは2ヶ所あります。1つ目は、生産して販売した乳製品の利益の一部。2つ目は、家畜を売った時の利益分の3割を手数料としてもらっています。

まとめると、在庫リスクがなく家畜を購入して利益を得て、代行で乳製品を生産販売して利益を得て、代行で家畜を売って利益を得るという儲けの仕組みとなっている訳ですね。


創業者とビジョンの紹介

創業者についても知っておきましょう。ちなみに僕は基本的にアフリカ人によるアフリカスタートアップしか研究しません。

理由は、アフリカ人スタートアップの方が、創業への想いや経緯が圧倒的に面白いのと、個人的に「Africa by Africans(アフリカ人によるアフリカ発展)」を目指していますので、それに沿った企業を選んでおります。

創業者はMohamed M Jimaleというソマリア人遊牧民です。このサービスに登場する遊牧民(ノマド)出身という訳ですね。なんとソマリアは人口の半分ほどが遊牧民と言われています。

2010年に、彼は難民としてスウェーデンに移り、国連で働きました。

その後2016年に、ソマリア深刻な干ばつに襲われ、多くの遊牧民の生活を苦しめました。

それを機に、彼は遊牧民と彼のITスキルを掛け合わせて、世界中の人々がソマリアの遊牧民から山羊や羊などの動物を買うことを可能にするアプリ構築することに決めました。

開発に成功した彼は、社名とサービス名をAri.Farm (「Ari」はソマリア語で「ヤギ」を意味する)と名付けました。

彼は、このAri.farmのサービスについてこう話しています。

私たちの使命は、新しい世代の農家を創造し、地域の食糧安全保障に貢献し、雇用を創出することです。私たちのビジョンは、畜産を含む農業産業全体をより効率的かつ繁栄させることです。

今後は農家の土地にユーザーが投資をして、一定期間以降に農作物の利益で儲けを生み出すサービスを提供予定なのと、ケニアでもサービス展開をしていくようです。


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