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医療情報

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2020年9月の記事一覧

コロナウイルスワクチンの第1相試験: NEJM

コロナウイルスワクチンの第1相試験: NEJM

mRNA-1273ワクチンはSARS-CoV-2感染者と同等の抗体を獲得し、安全性も確認

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)は2019年後半に出現し、世界的に広がっており、ワクチン開発を加速させるための国際的な取り組みが促されています。

その候補となるワクチンmRNA-1273は、安定化された前駆体SARS-CoV-2スパイクタンパク質をコードしています。
この研究で

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小児におけるCovid-19による全身の炎症症候群: NEJM

小児におけるCovid-19による全身の炎症症候群: NEJM

小児におけるmultisystem inflammatory syndrome in children(MIS-C)の疫学と臨床経過、およびCovid-19との時間的関連を解明することは、臨床および公衆衛生への影響を考えると重要です。

この研究では、米国全土の小児医療センターにおいて、MIS-C の観察調査が 2020年3月15日から5月20日まで実施されました。

症例は、入院に至る重篤な疾患

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PCI後の心血管イベントは女性に多い: JACC

PCI後の心血管イベントは女性に多い: JACC

女性はPCI後5年時点で男性に比べて主要有害心血管イベントの高いリスクを示しました。

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の性差による転帰を検討した研究では、相反する結果が報告されてきています。

この研究は、PCI後の5年間の心血管系アウトカムの性差によるリスクが検討されました。

21の無作為化PCI試験の患者レベルを使用し、5年後の主要有害心血管イベント(MACE)(心臓死、心筋梗塞

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PCSK9阻害薬とエコノミークラス症候群の関係: Circulation

PCSK9阻害薬とエコノミークラス症候群の関係: Circulation

PCSK9阻害薬は静脈血栓塞栓症リスクを減じた。

LDLコレステロールの静脈血栓塞栓症リスクは不確定で、関係性を示した報告もあれば関係性がないとの報告もあります。

また、CRPやLp(a)と静脈血栓塞栓症の関係を示した報告もあります。

この研究ではPCSK9阻害薬と静脈血栓塞栓症の関係が評価されました。

PCSK9阻害薬の臨床効果が検討された、FOURIE trialとODESSEY OU

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75歳以上のスタチンによる心血管疾患1次予防効果: JAMA

75歳以上のスタチンによる心血管疾患1次予防効果: JAMA

スタチンによる冠動脈疾患の再発効果は1994年に発表された4S試験によって最初に証明されました。

それ以降複数のエビデンスが存在します。

75歳以上の成人における動脈硬化性心血管疾患の一次予防のためのスタチン療法に関するデータは限られています。

この研究では75歳以上の高齢な退役軍人における死亡率および動脈硬化性新血管疾患の一次予防におけるスタチンの効果が評価されました。

方法Vetera

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冠攣縮性狭心症への抗血小板薬の効果認めず

冠攣縮性狭心症への抗血小板薬の効果認めず

冠攣縮性狭心症患者に抗血小板療法は有益な効果を認めなかった

冠攣縮性狭心症とは冠攣縮とは、心臓の表面を走行する比較的太い冠動脈が一過性に異常に収縮した状態とです。

以下のような特徴があります。

硝酸薬により速やかに消退する狭心症発作
安静時(特に夜間から早朝)に出現
運動耐容能の著明な日内変動(早朝の運動能の著明な低下)が認められる
心電図でST上昇を伴う
過換気で誘発される
Ca 拮抗薬で

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除細動適応ない心停止患者への低体温療法の有効性: NEJM

除細動適応ない心停止患者への低体温療法の有効性: NEJM

低体温療法は、院外心停止患者の蘇生後に意識障害が持続する成人の神経学的転帰を改善するために推奨されています。

しかし、除細動の適応ではない心停止(心静止、無脈的電気活動)の患者における低体温療法の有効性については議論があります。

方法この研究では、除細動の適応がない心停止から蘇生し、集中治療室に入院した意識障害患者を対象に、軽度低体温(最初の24時間は33℃)と正常体温(37℃)を比較する非盲

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中性脂肪による冠動脈疾患を有する患者の残余リスク

中性脂肪による冠動脈疾患を有する患者の残余リスク

中性脂肪値は、心血管イベントの残余リスクとして注目されています。

この研究では従来の冠動脈疾患の治療を受けた患者における、中性脂肪値と心血管イベントとの関係が評価されました。

方法
FMD-J Study Aに登録された652例のデータが解析されました。

中性脂肪値と心血管イベント(心血管イベントによる死亡、非致死的急性冠症候群、非致死的脳梗塞、冠動脈疾患)の関係が3年間の追跡調査されました

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