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Dark Fantasy-Kanye West 和訳 (解説付き)

Dark fantasy


You might think you’ve peeped the scene

シーンを覗いたつもりになってるんだろうけど


You haven’t, the real one’s far too mean

見ていない、本物はもっとタチが悪い


The watered down one, the one you know

あなたが知っている水で薄められたものは


Was made up centuries ago

何世紀も前に作られたものだ


They made it sound all wack and corny

彼らのサウンドは全てつまらなくて古臭い


Yes, It’s awful, blasted boring

そう、それはひどいもので、ひどく退屈で


Twisted fictions, sick addiction

捻じ曲げられた虚構、病的な中毒


Well, gather ‘round, children, Zip it, listen

さあ 集まってくれ 子供たち お口チャックして聞きなさい

(このニッキーミナージュによるイントロはRoald DahiのRevolting Rhymesをオマージュしたもの。(Revolting Rhymesは、1982年に出版されたRoald Dahlの詩のコレクションで、Dahlは、詩の伝統的な民話のパロディーで、6つの有名なおとぎ話の再解釈を提供する。)I guess you think you know this story.
You don’t. The real one’s much more gory.
The phony one, the one you know,
Was cooked up years and years ago,
And made to sound all soft and sappy
Just to keep the children happy.

ニッキのイントロは、このアルバムのテーマを予感させるもので、名声に対する私たちの誤った認識をゆさぶり、カニエの名声の本当の運命をリスナーに知らせています。

ロアルド・ダール版では、シンデレラの王子は、シンデレラの義姉たちを冷酷に斬首した後、最後には暴君であることが明らかにされます。王子の本当の姿に幻滅したシンデレラは、妖精のゴッドマザーに素朴な男を願い、ジャム職人と別の幸せを手に入れることになる。同様に、カニエは名声を華やかな舞踏会と素朴に捉えていたが、やがて名声の真の暴虐性が明らかになる。)




Can we get much higher? So high

もっともっと高みに到達できるか?(とても高く)


Oh, oh, oh

Oh, oh, oh, oh

Oh, oh


Can we get much higher? So high

もっともっと高みに到達できるか?(とても高く)


Oh, oh, oh

Oh, oh, oh, oh

Oh, oh


Can we get much higher? So high

もっともっと高みに到達できるか?(とても高く)


Oh, oh, oh

Oh, oh, oh, oh

Oh, oh


Can we get much higher? So high

もっともっと高みに到達できるか?(とても高く)


Oh, oh, oh

Oh, oh, oh, oh

Oh, oh




Yeah, yeah, yeah, yeah

I fantasized ‘bout this back in Chicago

俺はシカゴにいた頃からこれを夢想してた


Mercy, mercy me, that Murcielago

許してくれ “mercy, mercy me” あのムルシエラゴは

(環境破壊を批判したマーヴィンゲイの”mercy, mercy me”という曲にかけて大量にガスを排出するランボルギーニのムルシエラゴに乗る自分を許してくれと言っている。)

Murcielago


That’s me, the first year that I blow

あれは俺だ、初めてエンジンをふかした年だ


How you say broke in Spanish? Me, no hablo

スペイン語でbroke(貧乏)ってなんていうんだ?俺はしゃべれない

(Mi no habloはスペイン語で喋れないという意味)



Me drown sorrow in that Diablo

俺はディアブロの中でやけ酒する

(ディアブロはランボルギーニのスーパーカーであり、スペイン語で悪魔の意味があり、悪魔はこのアルバムのテーマの一つである。直前のMi no habloと同じ音のmeで始めている)


Me found bravery in my bravado

俺は虚勢の中に勇気を見つけた。


DJs need to listen to the modeles

D J達はモデルに耳を貸す必要がある。


“you ain’t got no fuckin’ Yeezy in your serato?”

お前ら“yeezy”をたったの一つもセラートの中に入れてないのか?

(セラートは、ターンテーブルを通じてデジタル化された膨大な音楽コレクションにアクセスし、再生、コントロールすることができるDJツールである。女性はカニエの音楽に合わせて踊るのが好きで、イエの元彼女はモデルのアンバー・ローズである。)

Yeとアンバーローズ


Stupid, but what the hell do I know?

馬鹿だな、でも俺は何を知ってるんだ?


I’m just a Chi-town nigga with a Nas flow

俺はナズのフロウを持ったただのシカゴの黒人だ。

(カニエは自分のスタイルをNas(ヒップホップの大御所)と比較し、中西部(シカゴ)のアクセントで「ナイス」という言葉をもじったものである。Nasは只者ではないので、結果ただのシカゴの黒人ではないことを暗に示している。)


And my chick in that new Phebe Philo

そして俺の若い女の子はフィービーファ色の新作を着て

(フィービー・ファイロは、フランスの女性向けブランド「セリーヌ」のクリエイティブ・ディレクターを務めていたイギリス人ファッションデザイナー)

当時のセリーヌの新作


So much head, I woke up to Sleepy Hollow

たくさんのフェラ(head)、俺はスリーピーホロウで目覚めた。

(Yeは、首なし騎兵が登場する「スリーピー・ホロウの伝説」(首無し連続殺人事件の話)にちなんだオーラルセックスのダジャレを披露しています。"woke up "と "sleepy "の語感の良さを使っている)


アルバムジャケットの一つ



Can we get much higher? So high

Oh, oh, oh

Oh, oh, oh, oh

Oh, oh




Look like a fat booty Celine Dion

太ったセリーヌディオンのようだ」

(実際のセリーヌディオンは痩せている)


Sex is on fire, I’m the king of Leon-a Lewis

熱いセックス、俺はking of Leona Lewisだ

(「Sex on Fire」を歌うKings Of Leonと音楽オーディション番組の「X factor」で優勝したLeona Lewisの名前を組み合わせて、自分を音楽業界の王として戴いています。さらに、これは1番の歌詞の最後と、当時のメディアや一般大衆がカニエに対して抱いていた意見ともリンクしている。自分が彼らに首をはねられたことを指摘し、首をはねられることの代名詞であるルイ16世(セリフの中で「王」と「ルイス」が使われていることに注目)、その行為は『POWER』のジャケット・アートにも描かれている。)


Beyond the truest, hey, teacher, teacher

Tell me, how do you respond to students?

真実を越えて

Hey, 先生教えてよ 

生徒にどうやって応対するのか

(Slick Rickの "Teacher, Teacher "からの引用)




And refresh the page and restart the memory?

どうやってページを更新して、メモリを再起動するのか

(パソコンのページとメモリの話)


Re-spark the soul and rebuild the energy?

どうやって魂をまた輝かせて、エネルギーをまた作り出すのか


We stopped the ignorance, we killed the enemies

我々は無知であることをやめて、敵を倒した。

(私たちの社会は、文字通り指先ひとつで大量の情報にアクセスできる。教育者、指導者、そして親でさえも、自分が伝授できる以上の情報にアクセスできると信じている人に印象を与えることは難しい。

カニエは、過去の世代のアメリカにあったイノベーションとハングリー精神の欠如を指摘し、どうすれば若者を再び活性化させ、何かを信じさせることができるかを問いかけている。

最後の一行は、彼の問いかけに対する答えの役割を果たしている。我々は、国家としての欠点をすべて克服し、達成すべきことは何も残っていないと信じている。)


Sorry for the night demons still visit me

まだ自分によってくる夜の悪魔についてはごめんよ

(たまに悪い行動をしてしまうのはしょうがないと開き直っている)




The plan was to drink until the pain over

プランは痛みが消えるまで飲むこと


But what’s worse, the pain or the hangover?

でもどっちの方が悪い?痛みか二日酔いか


Fresh air, rollin’ down the window

新鮮な空気、窓を開けて

(飲み過ぎで新鮮な空気を探している)


Too many urkels on your team, that’s why your wins low

たくさんのUrkelsがお前のチームにいる。それが価値が少ない理由だ

(Kanyeは、"Winslow "と "wins low "の同音異義語を使っている。90年代のヒット番組「Family Matters」に登場するWinslow家の隣人のオタク、Steve Urkelsが彼らのチームに入っているのだ。この番組では、UrkelsはMr.WInslowの娘、Rola Winslowに熱烈な思いを寄せる弱いオタクとして描かれている。

これも同音異義語で、winds-lowと同じように聞こえるので、過去のセリフから窓を下げた理由になっている。)

左がSteve Urkel で、右がMr. Winslow



Don’t make me pull the toys out, huh

俺におもちゃを取り出させないでくれ

(このおもちゃは自分のことをよく子供に例えることからそのままの意味や、銃などの武器などが連想される)


Don’t make me pull the toys

俺におもちゃを取り出させないでくれ


And fire up the engines, huh

そしてエンジンをふかして

(銃を打つとも解釈できる。カニエが自分にエンジンをかけて本気を出しているというようにも考えられる。)


And then they make noise

そして彼らは大きな声をあげる

(銃に驚いた悲鳴や、観客のカニエへの歓声とも解釈できる)




Can we get much higher? So high

Oh, oh, oh

Oh, oh, oh, oh

Oh, oh




At mall, there was a séance

モールでは降霊会があった。

(降霊会とは、霊と交信しようとする人々の集まりのことです。

これは、彼のダークでひねくれたファンタジーが現実以上のものを含み、それを前進させるために超自然的な介入が必要だという考え、彼がこの曲に込めたイメージとリンクしています。)

a séanceの様子

Just kids, no parents

子供だけで親はいない

(Kanyeが「kids, no parents」という言葉を使ったのは、若い世代に向けた言葉であり、彼らの心や野心は、すでに自分のやり方に固執し、特定の考え方に運命づけられている人々よりもずっと簡単に型にはめることができるということを暗に示している。この言葉は、彼がこのアルバムのヴィジョンを語る上で、最も重要な言葉のひとつだろう。)


Then the sky filled with herons

そして空はサギで満たされる。

(これは、巨悪の代表である悪魔と、エジプト神話で光と善の象徴であるサギを単純に並べたものかもしれない。それかヘロインを意味するのかもしれない。あるいはこの「herons」は、カニエがアルバムのエンディングに起用したギル=スコット・ヘロンのことなのだろうか。このように解釈すると、ギル=スコット・ヘロンはカニエの音楽にとって「光の鳥」の比喩となる。彼は「空がヘロインで満たされた」と言い、ラクーンが『ナレッジ・ゴッド』で使ったのと同じイメージと発音を思い起こさせる(「ニューヨークは古代バビロンで、空はヘロインのようにグレーの色のままだと主張する」)。子供たちは降霊術を始め、それによって空は不吉な曇りと灰色に変わり、悪魔自身がやってきた。)


I saw the devil, In a Chrysler LeBaron

クライスラーレバロンの中で悪魔を見た。

悪魔は、皮肉にも「christ(キリスト)-ler」に乗ってやってくるという「クライスラー」の言葉遊びを利用しているのかもしれない。


Chrysler LeBaron


And the hell, it wouldn’t spare us

そして、地獄は容赦しない


And the fire did declare us

そして、火は我々を宣言した


But after that, took pills, kissed an heiress

だがその後、薬を飲んで、相続人にキスをした。


And woke up back in Paris

そしてパリで目が覚めた。

(Yeezyは2009年、Taylor Swiftの事件の余波でポップカルチャーから1年間追放されていた間、パリで多くの時間を過ごした。有名セレブでヒルトンホテルの相続人であるパリスヒルトンともかけている)

パリスヒルトン



Can we get much higher? So high

Oh, oh, oh

Oh, oh, oh, oh

Oh, oh


Can we get much higher? So high

Oh, oh, oh

Oh, oh, oh, oh

Oh, oh


Can we get much higher? So high

Oh, oh, oh

Oh, oh, oh, oh

Oh, oh


Can we get much higher? So high

Oh, oh, oh

Oh, oh, oh, oh

Oh, oh


Can we get much higher? So high

Oh, oh, oh

Oh, oh, oh, oh

Oh, oh



解説

Dark Fantasy」は、アメリカのヒップホップ・アーティストでプロデューサーのKanye Westが、5枚目のスタジオ・アルバム『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』(2010年)に収録した曲である。アルバムのオープニングを飾るこの曲は、West、Ernest Wilson、Jeff Bhasker、Mike Dean、Robert Diggsによって書かれたものである。この曲は、ラッパーのNicki Minajがオープニングの語りを担当し、歌手のTeyana TaylorとJustin Vernonが曲のフックとバック・ボーカルを担当しているのが特徴である。マイク・オールドフィールドの「In High Places」(歌:ジョン・アンダーソン)を大きくサンプリングしています。この曲は、アルバムで提示されたテーマのいくつかを紹介しており、多数のポップカルチャーの引用、ゴスペルにインスパイアされた制作スタイル、ピアノを中心とした作曲を特徴としています。この曲は音楽評論家から高い評価を受け、「My Beautiful Dark Twisted Fantasy」の強力なオープニングとして、ウェストのヴォーカルと曲のプロダクションを補完するものとして評価された。


シングルとしてリリースされなかったにもかかわらず、「My Beautiful Dark Twisted Fantasy」のリリースによって生じたハイプにより、この曲はビルボードホット100の60位にランクインした。コーチェラ音楽祭でのウェストの2011年セットリストのオープニング曲であり、「Vevo Presents GOOD Music」音楽会場で演奏された。Dark Fantasy」は、Westの短編映画「Runaway」のオープニングで、Westが雰囲気のある森をドライブするシーンで使用された。


この曲は『マイ・ビューティフル・ダーク・ツイスト・ファンタジー』の大部分と同様に、ハワイのオアフ島で録音された。いくつかのメディアで物議を醸した後、ウェストは次のアルバムを、自分が親しいと考えるアーティストとだけ協力して控えめに録音することにした。グループ、ボン・イヴェールのジャスティン・ヴァーノンがこのトラックのバックボーカルで参加し、アルバムでは最初の声となっている。ウエストはボン・イヴェールのアルバム『For Emma, Forever Ago』のファンであり、彼をハワイに招いて一緒にレコーディングした。 そこで作業している間に2人は友人となり、一緒にセッションする間に10曲を制作したと言われている ヴァーノンはそのプロセスを非常に芸術的な性質と表現し、1日14時間という録音スケジュールは多くの楽しみと創造性を可能にすると述べている。


この曲はヒップホップグループのウータン・クランのRZAによるプロデュースを特徴としており、彼は「ダークファンタジー」が彼とウェストがコラボレーションした多くの作曲の一つであるとコメントしている。彼によると、ウェストは「ビーツの山」を持ち、すでに録音した多くの素材でできるだけ生産的になろうとしたとのことであった。作曲のスタイルはプロデューサーのRZAに深く影響を受けており、彼は曲の制作に彼の「ブリングザラックス」の美学を導入している。ニッキー・ミナージュは曲の冒頭に話し言葉による紹介を依頼されたが、彼女は当時ウエストと録音を行っていたラッパー、ジェイ・Zのファンだったためその依頼に興奮した。ミナージュはジェイ・Zとウエスト両方を「アイコン」として表現し、彼らと働くことは恵まれていると述べている。


プロデューサーのNo I.D.は、このビートの歴史について、ウェストが最終的に自分で使うことを決める前に、ドレイクとジェイ・Zの両方に提供されたことを述べた。彼によると、プロデューサーのRZAとピート・ロックがすでに曲の一部を録音していて、彼とウェストはコーラス部分を録音したという。あの曲は僕のお気に入りのレコードのひとつなんだ。


この曲は、作家ロアルド・ダールの「シンデレラ」の詩的な再編集の再話として機能する、イギリス英語のアクセントで話すミナージュの物語で導入されていますウエストは「I fantasized 'bout this back in Chicago」のリフレインを持つ彼のヴァースを開始します。 これは、退廃と快楽主義に関するコメントを含む、『マイ・ビューティフル・ダーク・ツイスト・ファンタジー』の大部分で参照されるテーマを導入し、ウェストは「計画は痛みが終わるまで飲むことだった/しかし、何が悪い、痛みまたは二日酔い?という。 この曲の歌詞には、「マーシー・マーシー・ミー(エコロジー)」、スポーツカー「ランボルギーニ・ムルシエラゴ」、ラッパーのNas、ファッションデザイナーのPhoebe Philo、短編小説「スリーピー・ホロウ伝説」、バンドのKings Of Leonとその曲「セックス・オン・ファイア」、歌手Celine DionとLeona Lewis、テレビのキャラクターSteve Urkelへの言及など多くの音楽や文化に関する言及がある。




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