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「学校=教育の場」だけではないはず。

あっという間に10月も最終日。
10月から秋学期が始まり、来年1月上旬締切の修士論文も仕上げに向けてだんだん忙しくなってきました。
大学院修士課程の学生はこれを提出しないと卒業できないですし、修論の一章を切り出して、学術誌に載せる論文にしたりするので、気合が要ります。

それはさておき最近、コロナ関係のある研究会に参加させてもらっていて、その勉強の関係で読んだ本がちょっと興味深かったので紹介。

末富芳、2022、『一斉休校 ―そのとき教育委員会・学校はどう動いたか?』明石書店

そうそう、コロナが広まって、学校が突然一斉休校になったり、緊急事態宣言があって…という2020年の春先の話。この本以外にも、研究者が機動的に動いて、コロナ禍の中、子どもや学校がどういう影響を受けたかという調査は、いくつか行われています。すごい研究者魂を感じる…!!

あの頃というと私は、共働き家庭のお母さんたちが、「突然休校!子どもが家で一人になっちゃうどうしよう!」と困っていたのが印象深く思い出されます。日中、家に子どもを見てくれるお母さんが必ずしもいるわけではない、ということをどれだけ政治は把握していたのでしょう…やはり、育児についてあまり考慮されていない印象はぬぐえません。。

しかし、教育社会学の分野でも、「学校が子どもを預かる➝だから親が働ける」という面については、近年あまり議論されていないのではないかという気がしています。

先ほど紹介した、上の本の中では、「子どもの預かり機能」、「学校の居場所利用」という言葉が使われていました。

どうも聞きなれない言葉なのですが、その理由ってまさに、「学校=教育の場」という図式が強すぎるからなのでは?!と。

構図は変わりますが、幼いきょうだいを年長の子どもが子守をしていた時代は、子守だけでなく勉強ができるように、と学校に託児所が併設されたわけで、学校で「子どもを預かる」ことで子どもの面倒をみる人が自分の時間を活用できたわけです。

女性の就業支援に保育所や子どもを預かるサービスが重要なのも同じ話でしょう。「学校=教育の場」という方程式では、学校が日中、子どもを預かっているから親が働けるというこの重要な点が見逃されがちなのではないでしょうか。

そう考えてみると、教育は文部科学省管轄で、保育は厚生労働省管轄という縦割り行政が及ぼしている影響、根深い…!って思うのでした。

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