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命を救うドローンの活躍 - 6月10日のDearMedia NewsLetter

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アフリカの地域では、妊産婦の死亡率が高いことが問題になっています。

2017年の国連の統計によると、欧州では出産にともなって亡くなる方は6,500人に1人の割合ですが、サハラ以南の南アフリカでは37人に1人と、50倍近くも高い割合です。

そのような状況の中、帝王切開などによる出血多量の状況で、病院にストックしてあった血液が足りなくなった時などに、車で4時間かかる道のりを15分で届けてくれるサービスを開始した会社があります。

Ziplineというその会社は、カリフォルニアで生まれてルワンダで大きくなったドローン医療スタートアップです。

ルワンダでは、地上から行くと4時間かかる道を、空のルートを使い15分で到着します。

一方、米国におけるドローン配送は、連邦航空局の承認が必要となっており
Ziplineは、ノースカロライナ州とのUAS統合パイロットプログラム(IPP)の参加企業のうちの1社です。

パンデミックの対応で非接触配送が急務となり、ZiplineはNovant Health Medical Centerに、医療用品とマスクなどの保護具のドローン配送を5月にスタートしました。

これは、米国で承認された最長距離のドローン配送サービスで
初めての緊急ドローン物流オペレーションとなるそうです。

【本日のピックアップニュース】

5月27日、Ziplineはノースカロライナ州のNovant Health Medical Centerに、医療用品とマスクなどの保護具をドローンで配送を開始したと発表しました。

これは、病院における最初の”緊急ドローン物流オペレーション”であり、米国で承認された最長距離のドローン配送サービスでもあります。

このサービスは、ノースカロライナ州カナポリスの倉庫から、Novant Health社の医療センターに物資を届けるものです。

ドローンは目的地に到着すると、パラシュートを使って物資を落下させます。このドローンは約4ポンド(1.8kg)の貨物を時速80マイル(128km/h)で運ぶことができ、配送は完全に非接触で行われます。


Ziplineは2016年から、ルワンダで初の国家的なドローン配送システムとして、血液の配送を開始しました2019年にはガーナにも業務を拡大し、これまで合計で、180万マイル(約290万km)以上の飛行を行っています。

今では両国のパンデミックへの対応を支援する目的でも、ドローンを使用しているそうです。

ZiplineとNovant Health社以外にも、北米で医療品を配送するためにドローンを使用している企業があります。

5月上旬に、UPS(運送会社)とCVS(アメリカ最大の薬局チェーン)がパートナーシップを結び、フロリダの老人ホームに処方薬を届け始めました。Ziplineのドローンは医療施設に直接配送するのに対し、CVSはピックアップ場所に配送し、UPSが入居者まで荷物を運ぶというモデルです。

またAlphabet(Googleの親会社)のWingというサービスも、バージニア州でドローン配送を行っています。
こちらは医療品ではなく、食料品などの家庭用品がメインです。

Ziplineは今後2年間で、医療施設や患者の自宅まで、完全に配送できるようになるサービスを目指しています。

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Ziplineがルワンダでどのようにサービスを行っているかは
Cnetさんの記事で詳しく紹介されています。


動画撮影につかうようなドローンではなく、人の大きさと同じくらいのもので、フライト中のルートなどは専用のタブレットから確認できます。

パラシュートで物資を落下させますが、同社によると、自動車2台分くらいの誤差で落下させることができるとのことです。

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Ziplineのサイトより

ルワンダは“千の丘の国”と呼ばれるほど山や丘が多くて、高低差も激しいので、荷物を運ぶこと自体が簡単ではない地形。そのため道路の状況に左右されないドローンが重宝されています。

病院側がZiplineに支払う費用は無料。
配送にともなう費用はルワンダ政府の保健省が負担するという国をあげてのサービスになっています。


技術の進化は誰かを助けるものですが、Ziplineは事業の作り方から発信するPRまで一貫して上手いな、と思います。

Ziplineが2016年にルワンダで事業を開始したときの記事は
「妊産婦死亡率」をフックにしたものが多く見られます。

これは彼らがそのような発信をしたからですが、今生きている人は全て妊婦さんから生まれたので、そこで共感を作り、良い印象を与えます

次第に実績を積み、世界中の企業から出資を受け(今では企業価値が1300億円とも言われ、日本からは豊田通商や神戸市とのつながりが深いようです)、そこから日本のメディアでもいくつも記事が見られるようになりました。

今回のパンデミックでも、一番支えなければならない医療機関を「非接触」という切り口で支援する形で米国でも実績ができつつあります。

解決したい課題に対して
技術、ビジネスモデル、スタッフ、情報発信が綺麗に繋がって効果を上げているお手本みたいな会社だなと思います。

このような分析ができるようになるとひとつの記事から紐解いて解釈する方向がとても多くなってきます。

もし興味のある方はやり方をnoteに書こうかなと思うので
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