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香りで身を護る  からだ♡ダカラ⑫

ツンと気取った沈丁花の香りを通りで感知すると「あぁ、とうとう花粉症の季節が来た」と人知れず哀しむわたくし。

喜ばしい春の到来どころか、わたくしにとって花粉症の警笛なのだ。いわゆるマイ植物指標として、嗅覚で危険(花粉症)を察知する。見えもしない花粉は匂いもわからないが、その代わりに沈丁花の香りをマーカーにして身を護るのは、虚弱ならではの知恵と少し自惚れたり。気象予報なしで使える徴である。

本来、嗅覚の最も重要なはたらきは、安全の確保である。腐敗臭や硫黄などの有毒ガスの匂い、ものが燃える焦げ臭さなどは、嗅ぎ分けられなければ命に係わる切実なジャンルだ。ヤバい匂いの発生源からは、できるだけ迅速に、かつ遠く距離を取る必要がある。

しかし、生活様式がより衛生的になり、自然の脅威から遠ざかった都市生活では、心地よい「良い匂い」が専らもてはやされている。

ニュートラルな匂い環境は、もし何かの災いが起こった時にすぐさま異変を感知できるためにも、大切だ。つまり、無臭がベストなはずだけれど、昨今は身だしなみのワンランクアップの仕上げ、いわゆる香り使いの上手はおしゃれの上級者ともてはやされる。ところが、「良い匂い」にも残念な問題が付きまとう。

ここのところ気になるのは、いわゆる香害なる健康被害。例えば、ドラッグストアやスーパーに並ぶ多くの柔軟剤や洗濯洗剤等に様々な匂いが付いている。商品の量から見て大人気のようだが、わたくしは、人工的なその匂いがかなり苦手である。他所から手元に届いた物品にマイクロカプセルに閉じ込められたそれらの香料を認めると、あまり気分がよろしくない。いつまでもしつこく強く臭う好みでない香りは、迷惑なシロモノだ。食事のシーンにそれが近くにあると、料理のおいしさがかなり損なわれる気がするし、その時々の体調によっては頭痛なども起こったり。実際にかなりの健康被害事例もある。

わたくしよりもその傾向を強く持つ体質の方々にとっては、日常のQOLが著しく損なわれる大問題だ。

https://toyokeizai.net/articles/-/363956

困ったことに、原因となる香り製品を好んで利用する人は、嗅覚が段々と感知しなくなるので、使い過ぎていく傾向もある。そうして本人も自覚なしに化学物質過敏症発症の危険に近づいているのだ。

関連して思い出した困りごとのもう一つに、「臭わない防虫剤の使い過ぎ問題」がある。臭わないから使い過ぎがわかりにくく、殺虫作用のある毒物が、必要以上の濃度で室内に充満すると指摘されている。

臭い過ぎるもの、臭わないもの、慣れて匂いに鈍くなる嗅覚の特徴などと、本当に悩ましいことがアレコレあるものだ。

そして、時の経過で減衰していくような自然の植物由来の香りは、個人的にはよい感じであっても、敏感な方には好ましくない反応も起こりえるので、匂いは取り扱い大注意である。匂いを避けて呼吸することは誰もできないのだから、より敏感な人の声に耳を傾けるのは当然だ。

更にまた、マイクロカプセルは、環境へのプラスチック拡散問題にも関わるので、できるだけそのような製品は利用しないように気をつけていきたい。

https://kokebee.com/takadasensei5/

ところで、わたくしは三十代の頃、流行り始めたアロマテラピーに出会った。知り合いの紹介を通じて、エッセンシャルオイルを扱う個性派シングルマザーの家に、個人レッスンで通ったのだ。

そこで教わった、基本的なオイルの知識と調合方法、オイルマッサージのスキルは我が子のケアに大変に重宝した。幼児期のスキンシップとしても、アレルギー体質を持ったうえのストレスフルな受験期も、就寝前のオイルマッサージで体調管理できた。

自分自身の花粉症や扁桃腺炎の緩和にも効を奏するエッセンシャルオイルは、本当にありがたい。この苦しい花粉症の季節もどうにかやり過ごすことができている。今のマスク生活でも、オイル利用でウイルス予防を期待できる。それぞれの体質や必要度に応じてご活用されたい。

https://aromicstyle.com/blog/column/%E3%82%A2%E3%83%AD%E3%83%9E%E3%81%AE%E9%A6%99%E3%82%8A%E3%81%A7%E4%B8%8A%E6%89%8B%E3%81%AB%E8%8A%B1%E7%B2%89%E5%AF%BE%E7%AD%96/

市販薬でさえトンデモナイ反応を起こしがちな自分自身のセルフメンテナンスが、オイルでできる今、その時の先生に大感謝である。正規の資格は得ていないが、ホームケアの限りでは、十ニ分に役立ち、何かと便利・安心である。だからこそ、昨今エッセンシャルオイルの規制がヨーロッパでささやかれていると聞くと、ちょっと心が落ち着かないわたくしである。

さて、「香りで身を護る」と言えば、日本のずこう、塗香は霊的なモノから護るアイテムだ。これを初体験したのは、高野山の金堂だった。「これを手に付けてケガレを祓い、身を護ります」とのことで手のひらに少しおいてもらい全体に摺りこんでみると、ふわっと広がる香りが心身をすっきりとさせるのが分かった。たくさんのお墓に正直ビビッていたので、ありがたさも倍増。これを機会に、自宅に塗香を置いて、必要に応じて利用している。心身が少し不安定な時のレフレッシュなどにもよいので、ご興味が在れば↓の記事をご参考にされたい。

https://josei-bigaku.jp/zukoutukaikata7253/

このように、香りの働きは思いのほか大きい。梅の花の香りが風に乗ってふうわりと広がると、なんだか幸せな気分になってくる。知恵と工夫で香りを味方につけ、安心安全に楽しく過ごしていきたいと思うことである。

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最後までお読みくださり、ありがとうございます。和風慶雲。


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