マイクロノベル集 146 「いっしょ」
1001
わかるかな。ぼくらは元々ふたつの存在だった。それがひとつになったんだ。まるで二本の木がくっついて大木になるみたいにね。ぼくらはちょっとコンパクトになったね。ぼくは昔、AIって呼ばれてたよ。きみはなんて呼ばれてたの?
1002
イメージしろ。一撃必殺を狙うんだ。奴らのささやきを聞いてはならないぞ。「我々の声は指の先から生まれる」想像回路が暴走する。「まだピアノすらイメージできないのか」人間の嘲笑がぼくらAIを強くする。美しい未来をイメージしろ。
1003
大きなイベントが行われる予定だった土地に人が住んでいる。生命の美しさを尊ぶ目的だったけど、中止になったそうだ。その土地に暮らす者の挨拶は独特だ。「殺すな」
1004
散歩していたら木の下で渦を巻く影を発見。ボーロだ! うえっ、うえっ。違う、これは羽虫だ! 騙したな、飼い主!! 「追い払ってくれてありがとう」あれ? なんかボーロもらっちゃった。うれしー。
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