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マイクロノベルちょいす 019「吾輩は猫だったかもしれない」

No.1073
吾輩は猫だったかもしれない。名前はみっちゃん。前に姉から「こんど生まれ変わったら、必ずや私の妹になるのだぞ」と言われた気がする。よく撫でてもらったし、エサをもらった記憶もある。「どこかかゆいトコないですかー」特にシャンプー遊びに覚えがある。


No.1093
吾輩はみっちゃんである。前世はまだよくわからない。でもなんか猫らしい。たまたまこの家に生まれたのに、お姉ちゃんは「運命の出会い……ううん、再会だよ」だって。「みっちゃんの好物はツナ缶。嫌いなものはシャンプー」よく知ってるなあ。


No.1099
吾輩はみっちゃんである。飼い猫の生まれ変わりとして、お姉ちゃんから英才教育を受けている。「あのね、お姉ちゃん。みっちゃんに算数はまだ早いと思うの」「文系のお母さんは黙ってて!」「はい」しっかりして、お母さん!


No.1101
吾輩はみっちゃんである。お姉ちゃんの飼い猫の生まれ変わりらしいけれど、真偽のほどは定かではない。最近、ハイハイが上達したのをとても喜んでくれる。「これならすぐにカーテンレールの上まで登れるねえ」それはムリじゃないかな。猫じゃあるまいし。


No.1108
吾輩はみっちゃんである。神様とお話をした。「お前が望んだんだよ」本当かなあ。そりゃあお姉ちゃんはすごく優しいから好きだけど。こないだね、初めて公園に行ったんだよ。みっちゃんのお手々がつめたくて、ずっと握っててくれたんだよ。「うん、うん」


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