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マイクロノベルちょいす 018「恋かも?」

No.1067
「人間って似てないね」それが彼女の口癖。遺伝子レベルで見れば「似てる」の範囲内だと思うけど。観察が偏ってるんじゃないかな? 「そうかもしれない。私はあなたを三年も観察してるから」そろそろ飽きてきた? 「肯定」怖いこと言うなあ。


No.1071
「それなら、あと少しだけ一緒にいる」彼女はぼくに神経を接続する。歩くとか、お茶を飲むことなんてAI任せでいいけれど、ぼくの心の機微を知っているのは彼女だけだから。「あなたは欲張りだから困る」彼女は頬を膨らませる。ぼくは頬を引きつらせて苦笑する。


No.1074
「統一しちゃえばいいのよ」彼女はお姫様みたいに笑う。「顔と姿、声もそうね。みんなバラバラだから喧嘩になるのよ」そりゃあ人気者の君は荒事とは無縁だろうけど。「私にも苦労があったのよ」そう言えば彼女って何者だっけ。覚えてない。統一しようかな?


No.1077
お掃除ロボットがメンテナンスを求めて集まってくる。俺はエンジニアじゃないのに。出勤中は自動運転車に追い回されたし、誰かと勘違いされてるのかな? 困っているのを察して、受付ロボットがやってくる。「好きです」もしかして、モテ期ってコト?


No.1103
人間にできないことはAIにおまかせ。夏休みの宿題も、懸賞はがきをポストに投函するのもお手の物。えっ、恋人に浮気を疑われているから誤解を解いてほしい? 原因は、手紙の筆跡が明らかに異性のそれだった? あらまあ。一緒に謝るぐらいならできるけど。

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