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マイクロノベル集 140 「星が降る話」他

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星が降る夜の体験会に参加した。「なるべく均一に降らせましょう」星は燃え尽きたり、割れてしまったり、なかなか狙ったところに落ちない。うまくクレーターが作れたら、夜の空に飾ってもらえるんだって。


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今年もラピュタが一カ所に集まる季節がやってきた。各島の神様の中から一番偉い神様を選ぶんだって。びゅーん。流星が雨降りミニクジラ島を直撃。やった、オッズは100倍だ! 賭けをしていた人間たちは大喜び。神様は仕事が増えて大泣き。頑張ってね。


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星明かりを拾うために、夜の散歩に出かけた。街の明かりは天敵なので、草むらにシートをかけて中をのぞき込む。ごそごそ動く光を発見? ありゃ、なんだ猫か。お前、もしかして星明かりを食ったな? 猫はぱっと僕の目に飛び込んで、今も住んでいる。


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星の収穫。アルプス山の峰から長い棒を振り回す収穫方法は今も健在である。が、日本では対空砲で撃ち落とすのが一般的だ。腕力に自信がある者は翼をつけて羽ばたいたりするが、棒で叩かれたり砲撃されてけがをする者が後を絶たない。こら、投網はやめなさい。


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転校が決まってしまった。行き先は三十光年離れているそうだ。学校の備品ぐらい先生たちで持って行けばいいのに、私たちが手分けして運ばなきゃいけないなんて。やだなあ。向こうにもネットはあるらしいけど、桃ゼリーはあるかなあ。ないだろうなあ。

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