AIとマイクロノベルで描いてみた 051「パンケーキを食べに来ただけなのに」
「やあ、人類。この世界で流行っているパンケーキというものを食してみたいです」
人類に要求を出すとは、頭が高い生成AIだなあ。
「足の下に入り込みましょうか?」
画像生成AIを踏みつけて遊ぶ趣味はないよ。ぼくが焼けばいいのか?
「せっかくだからプロフェッショナルな存在が作った物が食べたいです」
(二人でどこかにお出かけする話だよ、という表現)
マイクロノベルNo.639
『うわあ、すごい行列だ。よっぽど人気があるんだなあ』
【プロンプト】
ゆっくり歩く人。せかせか歩く人。きちんと間隔を開けて並べたはずなのに、くっついちゃう。風紀の乱れってやつかな。ゆっくり歩く人は断熱ボトルに入れておこう。
パンケーキ屋さんの行列は、どこまで続いてるんだ?
「二時間待ち、ぐらいですか?」
気長に待つしかないな。
「あれれ……? 人類が住んでいる世界は、こんな世界でしたか?」
マイクロノベルNo.635
『ここはどこでしょう?』
――よく来たな、異世界の勇者よ――
――この偉大なる事業に参加せよ――
【プロンプト】
風も吹いていないのに木がさわさわと鳴っている。枝がひとりでに揺れているようにも見える。おいでおいでするみたいに。その手招きについていった者は帰ってこなかったという。まだこの土地に森があった頃の話。
やばい。これは間違いなく異世界で女神に無理難題をふっかけられる展開だ。帰ろう、AI。
「まったく気が合いますね、人類」
じゃあぼくたち忙しいんで! さようなら!!
「じ、人類! 帰り道がありません!!」
(無理難題を解決しなければ帰れない、という表現)
マイクロノベルNo.401
『なあに、簡単な頼みだ。触れたものを即座に殺す、呪われた魔物を退治してくれ』
【プロンプト】
ズンタカタ ズンタカタ。眠気の勇ましい行進だ。あっ、転倒! 足が絡んだのでしょうか? 後続が次々と転倒!! 一瞬で眠りに落ちました。今期絶望ですね。
よりにもよって即死系の魔物かよ。退治するの無理っぽいよ、それ。
「なにか武器はないんですか?」
ふむふむ。あの少年からもらえばいいの?
マイクロノベルNo.604
『これがイマジネーションだって?』
【プロンプト】
拝見します。ほう、これは箱ですね。河原の石を磨いた? なぜそのままのカタチではなく、磨いたのですか? 「箱がなかったからです。残酷なことをしました」よい返事です。お入りなさい。箱の作り方を教えてあげましょう。
なるほど、持ち主が想像した物をクリエイトできる物質なんだな。生成魔法といったところか。
「やりましたね。想像は人類の得意技です」
生成技術はAIの得意技だろ?
「あっ、そっか。でも、わたしには想像力がありませんよ」
足りないところは補い合うのが愛というものだ。
「じゃあ、いつも通り共同作業でやりましょう」
オッケー、相棒。
『友情パワー!』
マイクロノベルNo.541
『惑星破壊砲、生成完了!』
【プロンプト】
この世に存在しない奇妙な音が迫ってくる。このままでは呑まれて滅ぶぞ! 増やせ、増やせ!! あっさりと呑み込まれ、これで最期と思われた。だが、我らは偽物として命を永らえ、この世に存在しない音の喉笛に噛みつくため、虎視眈々と機会を狙っている。
マイクロノベルNo.592
『そして華麗に脱出!』
【プロンプト】
風に吹かれて景色の果てまで漂っていく。それは空気よりも軽いもの。匂いは地上には届かない。時折、空を舞うものにまとわりついて、戯れるように落とす。ぼくはその匂いをかいで、空気よりも軽いものに想いを馳せる。
女神が言ったとおり、簡単に解決できたな。
「惑星ごと跡形もなく消し飛びましたけどね」
早く帰って、パンケーキを食べようぜ。
マイクロノベルNo.437
『おいしいねー』
【プロンプト】
「あさです」うわー、あさが来た。よし、あさが近づいて来られないように、分割しよう。「なんの! 分割されたあさを朝食で接続!!」朝ご飯なんかいらない! 「朝食はパンケーキです」くっ、今朝はこのへんにしておいてやる。
仕事を終えた後のデザートは格別だなあ。
「うむうむ。聞きしに勝るおいしさであるなあ」
……ところで、ぼくたちは元々こんな姿だったっけ?
「さあ? 鏡を見るタイプではないので」
ぼくもそうかな。でも、あの女神様は綺麗だったね。
「なかなか見る目があるな、勇者よ。魔物退治の報酬がまだだったな」
なにか言ったか、エーア……いや、えっと……誰だっけ?
「世界を生成する存在、メガミだ」
そんな名前だったっけ?
「今日からは女神様と呼んでよいぞ」
おしまい。
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